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6月5日 PK戦

 本来であれば、今日は紅白戦のはずだった。しかし、まさかのPK戦。この後、紅白戦が行われるかすらわからなかった。そして、なぜか、キッカーに選ばれている。自分でもよくわからなかった。

 なぜかコートには、大勢の生徒が集まっていた。野球部からは、橘や橋本、そして定本も来ていた。しかし、どれだけ探しても、沢田はいなかった。何してんだろうか?アイツは?

 横から、辰巳、富山、相田たちが俺と宝来の対決を見守ろうとしていた。、俺たちと同じようにコイツらも最後の夏になる。負けたら次はない。そう思うと、胸が痛くなった。宝来は、嫌いじゃない。でも、その宝来はというと、一人で、リフティングをしていた。久しぶりに練習に来たのか、浮いている様に感じた。

 俺は、アップが完了した。黒色の上着を脱ぎ、足を鼓舞するように叩いていた。こんなに緊張するのは、春の大会以来だろうか?いつもは、明るい唐沢だが、今日は、どこか神妙な面持ちだった。すると、1歩、2歩と中沢が前に出てきた。"唐沢、宝来!!"。

 手に持ったボールを落とさないように、俺は前へと歩いていく。一方、宝来は、リフティングをしながら、中沢の前にやって来た。


それにしても、まだ、沢田はやってこない。どういうことだろうか?

  

 中沢「じゃあ、今からルールを説明するな」

 俺 「ああ」


 俺が返事をしている間、宝来は、リフティングをしており話を聞いていなかった。


 中沢「試合は、5本勝負。先に3本取った方の勝ちだ」

 俺 「わかった。先攻か後攻かどうやって決める?」

 中沢「トスでいく」

 

 首を縦に振った。中沢は、ポケットからコインを取り出し、コイントスをした。


 中沢「宝来!」

 宝来「裏」


 宝来が「裏」ということは、俺が表か。中沢は、手をあげた。コインは、裏だった。


 中沢「どっちする?」

 宝来「あとで」


 なんか、この感じが嫌だった。もう、既に宝来のペースになっているんじゃないかという気がしていたのだった。宝来は、リフティングをしていたボールを、辰巳の方に蹴り、ポケットからゴールキーパーの手袋を取り出した。

 俺は、手袋を持ち蹴る場所まで向かった。同時に審判の中沢は、ボールをセットして離れた。そして、俺と宝来の間くらいの位置にたった。俺は、さっき中沢がセットしたボールをもう一度持ち上げた。特に意味はなかったけど、相手のペースに呑まれたくなかった。

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