表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/75

6月4日 交渉

 今日が、今後のサッカー部の運命を変えるなんて今は、思いもしなかった。昨日の沢田が話してた通り、宝来との話し合いに、沢田が6組に向かっていた。掃除が終わった中沢、辰巳、俺は、少し離れたところから、二人を見守っていた。


 沢田「で、どうするんだ?」

 宝来「何がだよ」

 沢田「練習に決まってるだろ。お前もサッカーしたいだろ?」

 宝来「は?」


 いきなり、立ち上がり沢田の胸ぐらをつかんだ。すると、宝来の席の近くにいた井上と畠が立ち上がり、止めようとしていた。


 井上「もうやめとけって」

 宝来「うるせぇ、どけ。はやく」

 

 宝来のスイッチが完全に入っていた。このままだと、宝来は、戻ってこない気がする。勇気をふりしぼり、俺は前に出ることにした。


 俺 「で、どうしてほしいの?」


 中沢の横から、少し前に出て、宝来の方を向いた。俺の方を向くと、イラだった顔を見せた。ここに居続けたら、殴られるんじゃないかとすら思っている。


 宝来「だから、今日の練習は行かねぇって言ってんだろ」


 俺は、ここでひけない。昨日、中沢が沢田に言っていたように、俺たちは勝つために全力で練習している。そうじゃないヤツらがいるなら、、、、、、、。


 俺 「行かねぇのは、お前の勝手だからいいけど、"聖淮戦"は、スタメンから外すっていうだけだからいいんじゃね?」


 俺の発言で、宝来の顔色が変わる。さっきまでの表情よりもさらに険しくなる。もう、元には戻れない。それでも、仕方がねぇ。俺は、言ったことに後悔はない。

 

 宝来「なんで、そうなるんだよ。ふざけんなよ」


 沢田から俺の方に狙いを変えた。少し前を出てきたとこを井上たちに抑えられる。


 唐沢「そんなにキレるなよ」


 言わなくてもいい一言だった。"おい!!"近くにいた、中沢は、俺を制すように声をかけた。


 宝来「てめぇ、こっちこいや」


 宝来のボルテージは、最高潮に達しているようだった。


 井上「だから、やめろって」

 

 近くにいた、井上が必死に止める。俺は、宝来が来るなら受けて立とうと思っていた。すると、前の方にいた、沢田が立ち上がった。


 沢田「宝来!!」

 宝来「あ?」


 キャプテンの沢田は、俺の前に来た。


 沢田「もう、時間ねぇから。来るか来ないかは、勝手にしろ」

 宝来「俺は行かねぇからな」


 沢田は、呆れた様子で帰ろうとしていた。


 沢田「なんで、そんなに行きたくねぇんだ?」

 宝来「ここにいる奴は、いいとしても、他の奴らのレベルが低いんだよ。やってられるかよ」


 宝来の言うこともわからなくはない。天才のレベルに達しているサッカー部ではなかった。


 沢田「じゃあ、勝負でもするか?」

 宝来「何の?」


 どういうことだ?


 沢田「PKだろ」

 宝来「上等だ。誰とやるんだ?」


 宝来は、どこかテンションが上がっているみたいだった。


 沢田「誰がいいんだ?」

 宝来「誰でもいい。お前らで勝手に決めろ。じゃあ、明日の部活でな」


 俺の前を、宝来は通っていったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ