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5月28日 紅白戦9

 いつものように、俺は4組に行き、中沢や辰巳たちと今日の練習メニューについて話し合っていた。今日は、沢田はいないのか。どこか、ガッカリしている自分がいたのだった。


 ー5月20日ー


 再び、チャンスが来るのを待った。相変わらず、俺へのマークには野木がついていた。ボールは、3列目で回しているみたいだった。白組も辰巳から俺へのパスは警戒している。辰巳には、相田がぴったりマークする。これだと、なかなかボールを回せない。

 そんな中、突破口を開いたのは、菊川だった。1列目にいたはずの菊川がなぜか2列目にいたのだ。完全にボールを取りに行っているな。これは、チャンスなのか?ピンチなのか?よくわからないこの状況だけど、俺はかけに出ることにした。菊川は、早坂にボールを出して、俺が走る左サイドに来た。

 さっきよりいいパスだ。走りながら、ペナルティーエリアに誰かいないか確認する。ディフェンス中心ではあるが遅れて、福井、辰巳が来ていることはわかった。一旦、ボールを持ったら確実に人が寄ってくる。蹴るなら、ボールに追いついた瞬間だろう。

 後ろにいる野木とも距離がある。俺が蹴ったボールがどこにいくかは、半分賭けだったが、このチャンスを逃すくらいなら、、、、。俺は、苦手な左足からボールを上げた。ボールは、キーパーの定位置から逃げるようにペナルティーエリアに入っていく。

 俺が蹴ったボールの先には、早坂、辰巳。紅組には、相田、依田、古山がいた。数的には不利だが、なんとかしてくれ。祈るようにボールの行末を見守った。ボールは、早坂がヘディングをし、右サイドへこぼれていく。群がるように、みんながボールを取りに行く。

 高身長で体が大きい。あれは、福井だ。福井の後をみんな追うように走っていた。福井は、こぼれたボールを一度キープし、みんなが来るまでにシュートを放った。しかし、そのボールは、キーパーの川上にパンチングされ、ペナルティーエリアから離れていく、、、、。せっかくのチャンスが。俺は、心が折れそうになってしまっていた。転々と転がっていくボールに蹴り上げる男がいたみたいだ。川上は、全く反応できず、揺れるゴールネットを眺めるので精一杯な様子だった。ゴールを決めたのは、辰巳。さっきまでのストレスをぶつけるかのように大きな声を出して、ベンチへと向かって行った。決めるべくして決めたと言っても過言ではない。たまたま、あのポジションにいたともとれるけど、あそこまできっちり走り抜いた辰巳の勝ちだった。

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