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5月27日 紅白戦8

 6月5日に向けて、俺たちは、状態を上げることにしていた。辰巳は、相変わらず中盤からのパスを出す練習を繰り返し行っていた。両サイドへのパスに加えてショートパスも得意としていた辰巳を活かすには、あの3人が絶対必要となっていた。辰巳のパスを活かすも殺すも俺たち次第だった。


 ー5月20日ー


 俺は、左サイドに入った。ボールは、ちょうど紅組は、原田がボールを持っていた。原田は、全体を見渡しながら、ボールをどこに回そうか考えているみたいだった。左サイドを前後に歩き回りながら、ボールが回ってくるのを待つ。

 俺につくのは、白組の野木だった。野木は、俺が前後に動くたびに合わせて動いてくる。ボールが来た瞬間どうやって、野木を出し抜くかということを考えていた。原田は、左にいる山下にボールを渡したみたいだった。

 山下は、すぐさま、辰巳に回った。キタッ!!俺は、何かのスイッチが入ったかのように走り出した。俺は、野木の裏をとるかのように一気に駆け上がる。辰巳は、俺が走り出したところにロングボールを入れた。僅かだが、俺が先に動いていたこともあり、ボールをキープできそうだった。

 ボールが俺の前を走る。ラインを割る前に、止めないと。まるで、階段の上から転がり落ちるリンゴを止めるような感覚だった。後ろから野木の足音を聞きながら走った。

 ようやくボールは俺の足元に収まった。しかし、目の前には、ずっと後ろからついた野木がいる。ドリブルか?いや、パスか?自分の中で迷う。野木の後ろからは、相田もやってきた。コイツら二人がかりでボールを取る気だな。ドリブルで抜くことは諦めて、斜め前にいる早坂にパスを出した。

 しかし、今日の早坂はまったくダメだった。パスしたボールを受け取った時には、すでに相田がやってきており、ボールを取られてしまったのだ。相田は、すぐさまロングボールを入れる。攻守交代という結果になってしまったのだ。

 ベンチからは、沢田が大きな拍手を送る。親指を立ててグッドのサインを出していた。そうだ、俺の役割は、ゴールを決めることでも、アシストすることでもない。ラインを上げることだった。

 沢田の拍手でやることを思い出した俺は、再び走り出した。当然、すぐボールを取れない白組は、一気にラインを下げることになる。それでも、中盤にいた辰巳は、必死に走っていた。俺も負けじと、中盤まで戻ることにした。

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