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5月22日 紅白戦3

 今日から、再び練習が再開した。まだ、例の3人は戻ってきていなかった。なかなか展開は進まないけど、彼らを待ってもいられない。


 ー5月20日ー


 ゴールを決めた福谷は、飛び跳ねながら、右腕を下から大きく挙げた。まるで、日本代表の選手がガッツポーズをしているみたいだった。普段、物静かな福谷の様子を見ていただけに、なんだか胸が熱くなった。

 ただ、相手チームのゴールだけに手放しで喜ぶわけにはいかなかった。ゴールを決めた福谷は、中沢たちと中央に戻っていく。一方、先制点を取られた俺たち紅組は、どこか気落ちしているようにも感じた。

 仕掛けるならこのタイミングだろうか?頭の中でいろいろ考えるけど答えが出てこない。そして、再びホイッスルが鳴り、試合が再開した。辰巳は、白組の真木、山﨑たちを抜いていく。紅組の辰巳は、心境穏やかではないのがわかった。辰巳は、機嫌が悪い時、いつもドリブルで前に進める癖があった。

 辰巳は、ロングボールをサイドに上げるが、そのボールは、相田にカットされてしまう。そして、再び、ボールをつなげられ、白組優位でボールを支配される。こんだけボールを回されると、辰巳が加減わるくなるのも理解できた。

 俺は、ダッシュする選手を見ながら、何か起点がないかを考えていた。今は、完全に俺たち紅組が走らされる展開。今回は、何回でも交代のカードは切れるが、一度出た選手をもう一度出すことはできない。そうなると、選手を選ばないといけない。

 今だったら、どのポジションを強化すればボールの支配率が変わるかを考えていた。もし、菊川を入れると3-4-3にする必要がある。しかし、今は、4-2-3-1だから、全体的に下げないといけない。菊川を入れるにしても誰か変えてとなると得策ではないのかもしれない。

 そんなことを考えていると、再び白組がペナルティエリアまで来ていた。そこには、さっきゴールをいれた福谷もいたのだった。紅組のディフェンス陣は、ほとんど2年ということもあって、止めれる気配がない。

 俺は、菊川を呼んだ。ダッシュで走ってくる菊川は、試合に飢えているようにも見えた。普段から、試合に出ている選手ではなかったから、高鳴る気持ちも理解できる。でも、今のまま試合に出ると、なんとなく上手くいかない気がしていたのだった。とりあえず、戦術と辰巳に伝言をすることを考えた。開始24分。そろそろ試合が動きそうな気がしていた。

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