5月21日 紅白戦2
昨日の激戦から、一夜明けた。俺は、いつものようにサッカーの練習を考えながら制服に着替えていた。
ー5月20日ー
試合は、15分を過ぎ0対0。俺たち、紅組は、18人。中沢率いる白組は、17人。全員出場する必要があったから、ベンチにいる選手は、アップを始めている。正直、今、アップをしている選手で期待できる選手はほとんどいない。下級生だから仕方がないとも言える。
ダッシュしているのが、和田、菊川、立山たちだった。アイツらは、2年でこれから試合に出ていかなければならない選手だった。コイツらが簡単に試合に出れなかった時、つまり1年たちが試合に出ているということだった。
2年は、攻撃陣の福井、真木、守備陣の青木、木下たちは不動になるだろう。当然、他にも空いているポジションはあるけど、試合に出るためには結果を出す必要があった。俺は、彼らをどのタイミングで投入するか迷っていた。
試合は、0対0と拮抗した状態が続く。これは、全員試合に出させるだけじゃなく、これからの練習メニューもかかっている。勝つためには、簡単にアイツらが試合に出る展開にしてはいけなかった。ピピィー!!。前半19分だった。白組の中沢は、早速動いた。2年の依田に変えて、3年の福谷を入れた。
福谷は、3月の春季大会で怪我をしてから、試合に出れていなかった。そして、久しぶりの試合が今日だった。福谷の武器は、中盤からの攻撃参加だった。沢田とは違って、怪我はしていたけど、きちんと合宿にはきており、練習のサポートをしてくれていた。
普段は、おとなしい性格で、あまり声も出したりしない。しかし、サッカーはとても好きな様子だった。福谷のポジションには、俺、辰巳、中沢たちがおり、簡単には試合に出れない状況だったが、腐らず今日まで頑張ってきたのだ。
オオォー!!!中沢たちのベンチから大きな声が聞こえてくる。というのも、白組がペナルティエリアまで入りこんで来ていたからだ。俺たち紅組の選手も必死に守るも、ボールが奪えない。そして、井川の豪快な右脚のシュートが炸裂した。キーパーは全く反応できない。諦めたボールは、運良く、ポストに当たり跳ね返ったのだ。
そして、ボールが転々と転がっていく。あっ、、、、。素早くボールに追いつき、そこからボールを振り抜いた。そして、ゴールネットは揺れていった。ボールにいち早く動いていたのは、紛れもなく福谷だった。




