5月18日 サッカー部
結局、工藤と宝来の話し合い結果がどうなったのかということはわからなかった。あの二人は、サッカー部でも異質。混ざるとどんな化学反応が起きるのかも見てみたかったけど。今日は、学校自体が休みだったしサッカー部の活動もなかった。
本来は、工藤と宝来の中に沢田も入るのだろうけど、沢田は沢田で独特な世界観をもつ野郎だったしな。話し合いについては、俺が部室に行った頃には、すでに中沢や辰巳たちが知っていた。おそらく、工藤は言っていたのだろう。
俺たちサッカー部は、才能の塊が集まっているが一致団結することは難しいチームだった。みんなで何かするというのはみんな嫌う。みんな自分が一番。それがチームになっていた。心の中で、いつになったら一つになるんだろうか?という疑問が浮かんでいた。
当然、無理だとわかっていてもそうした状態を望んでしまう。他の人は、どう思っているかは聞いたことがないからわからない。でも、一つになることなく夏の大会が終わったら、みんなはどう思うのだろうか?それで満足できるのか?
ますます、このサッカー部のことがよくわからない。なんとなく集まって、なんとなくサッカーしてるだけなんだろうか。俺は、違う。このサッカー部のみんなと最後まで戦い。けど、この想いは届かないんだろうな。
自分の中のモヤモヤが溜まっていく。とりあえず、サッカー部が一つになるために何かしなくてはならない。その一つが、沢田、工藤、宝来の復帰だった。まだ、完全とは言えないけど少しずつ復帰のメドがたってきたのは唯一の救いだった。
しかし、この三人が復帰すればいいというモノでもなかった。他にも、問題はある。それを取り除いていくには、俺や中沢しかいないと考えていた。今の俺たちの最も大きな問題は、練習態度だった。もともと、顧問はいてもいないようなもの。
3年前、俺たちが入学する前にサッカー部は廃部寸前まで追いこまれてしまったのだ。その原因が、ケンカだった。それから、監督は退任し、別の先生が監督になった経緯があった。その先生は、毎年変わるもんだから、実質、選手主導のチームになってしまったのだ。
俺たちが入部してから、正直言って、まともな練習はほとんど行われていなかった。まともな練習ではないと言われたら語弊があるかもしれないけど、自分たちが課題とするところの練習中心にやっているだけで、外の意見を聞くことはできなかった。




