5月17日 相性
工藤「どうだ、最近は?」
俺 「お前が来ないから大変だよ」
工藤は、久しぶりの学校生活を満喫しているみたいだった。今日から、学校に登校してきた工藤は、笑顔満開だった。
工藤「それは悪いな」
俺 「だったら、早く来い。今日から来れるんだろ?」
そろそろ部活動に行かないといけない時刻になっていた。
工藤「今日は、無理だよ」
俺 「なんで?」
部活動に行く前に疑問をもった。
工藤「宝来、呼びに行くよ」
俺 「宝来?」
思わぬ名前を聞いてしまった。まさか、ここで宝来が。
工藤「まだ、来てないんだろ?」
俺 「ああ。なんで呼びに行くんだよ」
素直な疑問が浮かぶ。工藤は、俺の方を見ながら答えた。
工藤「アイツは、お前らのことは聞かねぇだろ?」
俺 「それは、あるな」
工藤の言う通りだ。俺たちが宝来と話し合うと確実にケンカになる。かつては、相田や辰巳たちとも揉めてしまった経験がある。
工藤「俺が宝来を説得しに行くよ」
俺 「助かるな」
宝来に声かけてくれるのはありがたい。けど、工藤が上手く話しているイメージはなかった。
工藤「宝来なんて、俺か沢田しか聞かないと思うぜ」
俺 「どこに行くんだ?」
相当、自信があるみたいたった。
工藤「今から、クラスに行くよ」
俺 「俺も行こうか?」
工藤の表情は一気に変わった。
工藤「やめとけ。お前たちがいったら、余計モメるだろ」
俺 「それは、あるかもな」
俺を制した。
工藤「とりあえず、交渉してみるよ」
俺 「どれくらい宝来と話してるんだよ?」
俺の中で工藤と宝来は、別次元の人だった。
工藤「そんなの全然話してないぜ」
俺 「大丈夫かよ?」
宝来は、毎日学校来ないし、クラブも休んでいることも多い。一方の工藤は、謹慎処分を喰らっていたこともあってか話す機会は少ないだろう。
工藤「まぁ、なんとか話してみたらなら気がするけどな」
俺 「早く部活に戻ってくるように説得してこいよ」
工藤「任しとけよ」
この前怪我をしていた腕は、カッターシャツに隠れているみたいだった。おそらく、完全には治っていないと思うが、学校にケンカはバレないようにはしようとしている姿だけが見えたのは安心した。謹慎に挙句、ケンカなんてばれたら大変だろうからな。




