5月12日 GW最終日
俺 「どうした?」
工藤「いろいろあってな」
右腕には、包帯が巻かれていた。怪我でもしたかのか?
俺 「でも、おとなしくしてたんじゃねぇのか?」
工藤「あぁ。最初はな」
最初は?
工藤「ちょうど謹慎期間中にからまれてなぁ」
俺 「また?」
謹慎の理由がケンカだったこともあり、もうしないと思っていたけど、相変わらずだ。
工藤「ああ」
俺 「相手誰なんだよ?」
工藤とやり合うなんて相当の勇者だ。謹慎前のケンカも後輩を病院送りにしてしまうくらいだからな。
工藤「お前知ってるかな?海美の東藤」
俺 「海美の東藤って言えば、foursじゃねぇのかよ?」
foursの東藤と工藤はやりあったのか?
工藤「そうだ。たまたま、アイツとやりあうことになってな。そしたら、この有り様だ」
上手く右腕を使えないみたいだ。
俺 「やられたのか?」
工藤「あぁ。全然勝てやしねぇ」
右腕でまだ、よかった。サッカーに必要な足が大丈夫なのは一安心だった。
俺 「そんな強いのか?」
工藤「まぁ、息巻いていた俺が悪いんだけどな」
たしかに工藤もfours。そう簡単に負けるとは思えねぇ。
俺 「お前も強いだろうが」
工藤「俺は後輩に勝ったくらいで息巻いているしょぼい奴だよ。東藤に負けてよかったよ」
東藤とのやり合いは、もしかしたら、相当なインパクトを工藤に覚えさせたのかもしれない。いい意味かどうかはわからないけど。
俺 「らしくねぇよ」
笑顔を見せながら話し始めた。
工藤「そんなことないよ。一日でも早く怪我治して、今度こそお前たちのところに合流する」
覚悟が決まった顔だった。今までとは、どこか違う。なんか、やってくれそうな気がする。
俺 「約束だぞ?」
工藤「ああ。約束するよ」
工藤の話の一つ一つに熱意がこもる。
俺 「いつから、戻って来れそうか?」
工藤「一週間あれば、戻れると思う」
あと、一週間で工藤が戻ってこれる。俺にとっては最高のニュースだった。
俺 「そうか、楽しみだな」
工藤「楽しみにしといてくれ」
今日は、GW最終日。工藤か宝来か最後まで、悩んだ。宝来の家にも行こうか考えたけど、やっぱり工藤を信じてみたかった。二度目の工藤の家に来たのは正解だった。明日からの、学校生活に弾みをつける一日となった。




