5月11日 fours
GWも残り2日となった。結局、昨日は、18時まで待ったが、工藤が帰ってくることはなかった。工藤のお母さんが言うには、みんな待っていることは理解している。それでも、今は行けないんじゃないかということだった。その時、思った。もしかしたら、、、。
俺の頭の中に浮かんだのは、『fours』だった。foursとは、ここら辺で、ケンカが強い奴の生徒4人のことだった。今どき、ケンカなんて流行んないじゃないかな。俺は、勝手に思っていた。
一人目が八代総合高校の三上龍志。三上は、部活はせず、高校1年の頃から、ずっと先輩たちと絡んでいて、ケンカをする機会が多いみたいだ。ついた異名が『龍がごとく』。なんとも言えない名前だった。
二人目は、海美高校の東藤蒼。海美高校は、成績優秀な生徒が多いから、foursとは無縁の関係だと思いきや意外とそうではない。毎日の勉強で溜まったストレスを学校外の生徒とたちにぶつけてよくモメているという噂がたっていた。
三人目は、淮南高校の山下達也。山下は、1年生の頃から、荒れていた。俺は、山下を知っている。たしか、山下は、遠藤や谷口たちのグループにいたはず。当時一年生だった俺は、先輩たちに絡まれた時に助けてもらっていた記憶があったからだ。大勢でいる時は、何もしないけど、人がいないところで先輩たちとやりやっているという印象が強かった。
そして、最後が四人目の聖徳高校の工藤明弥だった。工藤がfoursに属しているのは、高校2年の時に聞かされた。たしか、当時は沢田と中沢から聞かされた。てっきり、宝来と間違えかと思っていたが、そうではなかった。ケンカやヤンチャ具合であれば、宝来の方がずっと上だと思っていたのにな。
俺は、宝来を引き合いに出しながら、工藤のことを考えた。今回、工藤が起こしたケンカ沙汰は、そんなに大したことはない。聞いた時は、謹慎するほどかと思った。しかし、日にちが経てば経つほど、工藤の存在が大きいことがわかった。
今まで、工藤がしてくれていたことは、俺では到底できないことだった。雰囲気作りや後輩指導など。悔しいを通り越して尊敬の眼差ししかなかったくらいだ。俺は、明日のGW最終日を工藤にかけるか、宝来にかけるか考えなおしていた。このまま、工藤を探してもまともにとりあってもらえないんじゃないか。だったら、危険だが、練習にこない宝来と話した方が確実なんじゃかいかという案が浮かんでいた。




