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伝説の木の下から始まる、ズボラ美少女の同棲生活  作者: 錦織一也
蘭丸、マナの新たなステージ
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僕とゴールデンウィーク4日目 最終日

 

 ゴールデンウィーク4日目。


 僕とマナの初めての旅行を終え、朝になったので、一度マンションの部屋を出て、外を確認すると、昨日の晴れが嘘だったと思うぐらいに、連休最終日の今日は、真っ黒な雲に覆われていた。


「……昨日はお疲れ様」


 そして昨日は頑張ってくれたマナは、流石に疲れたようで、徹夜する事無く、自分の布団で熟睡していた。どちらかと言うと、推しのキャラのグッズが買えなくて、マンションに着いてから、永遠と愚痴を聞かされた後、ショックで寝込んでしまったと言った方がいいかもしれない。


「……あるのだろうか」


 流石に、あれだけ運転して、何の成果も得られなかったなんて、マナが気の毒すぎるので、僕はフリマアプリで、ウオ娘のグッズを検索してみる事にした。

 フリマアプリは、ネット通販でも売っていないような、安価で高品質な物を売っている時がある。僕の母親がよく利用していたので、フリマアプリの使い勝手が良い所も分かっているつもりだ。


「……いっぱいあるじゃん」


 フリマアプリには、たくさんに道の駅コラボ企画のグッズが売られていた――と言うか、高値で転売されていた。

 全員が全員という訳ではないと思うが、グッズが即品切れになったのは、こうやって卑怯な手段でお金を稼ごうとする、転売ヤーの仕業だろう。特に人気のあるマナの推し、カジキマグロちゃん、他に人気のある、ロウニンアジ、マンボウなど。他のプレイヤーにも人気のあるキャラは、清涼飲料水のパッケージに描かれているだけで、5000円ぐらいに値段が高騰していた。アクリルスタンドなどは、普通に1万円を超えている物もあった。


「……おはようございます」


 ずっとフリマアプリを眺めていると、マナも目を覚ましたようで、僕に挨拶をしてきた。


「おはよう。今日の予定は?」

「……今日で連休は終わり。……それなら、推しの育成に育むのみですよ」


 やはり昨日の完売を引きずっているのか、マナは不貞腐れて、推しの育成を始めていた。


「昨日の予算が少し余ったよね?」

「1800円ぐらいだったはずです」


 ガソリン代とか、その他諸々で、1万円で残ったのは1800円ほど。


「残った予算で、何か一つの日用品買おうと思っているんだけど」

「いいと思いますよ~」


 マナは、日用品の購入より、推しの育成の方が重要で、余った予算は僕に一任させるようだ。


「これなんかはどう? 中古の電子レンジ」


 中古で丁度1800円。写真で見ると、きれいでそこまで使い込まれた感じはない。かなり安い方だと思う。


「いらないと思いますよ~」

「どうして?」

「今の生活なら、無くても困らないからですよ~」


 確かに、冷凍食品は高くて買っていないし、コンビニ弁当なども、店ですればいいだけの話。危なかった、安いからという理由で、衝動買いするところだった。


「冷蔵庫、欲しくない?」

「良いですね~」


 安く売られている冷蔵が出品されてほしいと思いながら、僕は冷蔵庫で検索したら、余裕で予算オーバーだったので、僕は地味に落ち込んだ。


「……ならエアコン――」


 これから暑くなるという事で、エアコンはどうかと思ったが、検索した瞬間、余裕で1万円以上の値段していたので、僕はすぐに画面を消して、布団の上に仰向けで倒れ込んだ。


「……どうして電化製品は高いのだろう」


 贅沢をするには、何でもお金が必要。そう痛感させられると、僕はそう呟いてしまう。


「電化製品は、昔から高いですよ~。今では誰もが持っているスマートフォンなどの携帯電話も、昔は20万は越えていましたからね~」


 ここは電化製品を諦めるしかないのだろうか。


「……電気ケトルとか?」

「良いチョイスですけど、急いで買う必要はないと思いますよ~」


 そう思いながら、僕は再び体を起こして、フリマアプリで、何か良い物は無いのかと検索し続けると、マナはいつの間にか、僕の横にやって来て、僕のスマホの画面をのぞき込んでいた。。


「蘭丸君。昔の人は、家電製品に頼らず、自給自足の生活をしていたんですよ~。私と同棲して1か月。家電製品が無くても、困ったことは――」

「レンタカーのエアコン、最高~っ!! って言っていたのは、誰?」


 そう言うと、マナは自分の場所、布団の上に戻って、座禅しているような感じで、考え込んでいた。


「……蘭丸君は、何かの電化製品が無いと死んでしまう病って事ですよね?」

「……そう言う事でいい」

「それなら、扇風機にしませんか?」


 マナは、扇風機を購入する事を提案した。


「理由は?」

「扇風機は、何だって使えると思います。涼めるし、部屋の空気を循環させることも可能ですし、あと突然の雨で、服が濡れてしまった時、乾かすのだって可能だと思います」


 理屈っぽい事を言ってから、マナはケラケラと笑ってから、再び僕の横に座って来た。


「それと、今は丁度良くても、夏になったら暑くて、こうやって近づけないかもしれないですからね~」


 マナの話に返事する事無く、僕は1500円で売られていた、昭和の頃からありそうな、レトロな扇風機を購入することにし、その後は、初日みたいにダラダラしていると、いつの間にか夜になって、もやしのおひたしを食べて、シャワーを浴びると、連休が終わる時間が迫っていた。


「連休、楽しかった?」


 ずっと推しの育成をしているマナに、僕は寝る前に聞くと、マナはこう言った。


「もちのろん」

「僕も」


 あっという間に終わったゴールデンウィーク。18年生きてきて、光の速さみたいに終わった数日間は初めてだ。マナと過ごす時間は、僕も楽しいと思っているようだ。


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