2 旅前のあらまし
これは前書きの続きだ。前書きに旅仲間の紹介しか書かなかったのは失敗だと思っている。やっちまったと思っている。旅のあらましを忘れちまった。
ま、その前に、今の現状を書いておこう。
旅一日目から三日目までの食事は、お野菜とお肉だ。まだ旅始めだから、新鮮なものが食える。これが、5日後からは一切食えなくなると、神父様はいっているのだ。悲しい。私はそれに耐えられるだろうか。相変わらず竜兄は、「えれぇこった」だのと言っている。
そう、私は、旅と同時にこれを書き始めていないのだ。昨日とかにかく価値のあることがあったかと言うと、何もないが、私は旅三日目から書いている。だから、少しだけ整理されて書けているというわけだ。いやそんなことはないか。
では、あらましを書いていこう。
何があったかと言うと、「私達の村」と「隣の村」との歴史から語る必要がある。昔から、隣接していたこの村どおしは仲が良くなかった。しまいには、隣の村に義賊と称して、盗みを働く始末。どうしようもなく仲は悪くなるばかりだった。
そんな具合の中、近くの村で新しい暴力の国が興った。この国は、近くの村を武力でもって従わせ、拡大しているらしい。しかもかなり大きくなっているらしい。いがみ合っているわけにはいかない、一致団結しなければならない。村の長どうし、そういう話になった。
しかし、そんなものでは納得できないのが、盗みに入られた村人の心情だ。荒らされて重いものは壊され、大事なものは盗まれている。であるからして、私達が旅に出るというわけだ。
言い換えると、村に盗みのはいったものへの追放。無論、盗みに入ったものは他にもいたが、責任を一身に受けて、私達は旅に出る。村に戻ってくることは禁止だ。宛もなく、一つの方向へ船で向かっている。
この考えを提案したのは、リーダーの竜兄だ。それに火兵衛がついていくと言った。神父様がついたのは、竜兄がほっとけなかったからだろう。
隣村から来たのは、義賊筆頭格、素晴らしいエリック。私の村に顔も知られていて、恨みも買われていた。だからこの男が出ないわけにも行かなかった。双子のケンとクリス。二人が何故ついてきたのかは知らない。それと、ミコ。彼女いわく、私の村の宗教だけが、布教されるのが嫌だったらしい。この書き物のために理由を聞いてみた。彼女にお近づきになりたかったから聞いたわけでは決してない。
ちなみに他は知らないが、私は盗みに入ったことは一度もない。神父様はやっていないだろうことは確実だ。
これからの旅は、どうなるのか全くわからないけど、楽しくなってくれるといいなと思う。私が旅についてきた理由は、思いつきだ。前にも言ったとおり、私にはなんの才能もない。だからなにかできないことがないかとついてきてみたわけだ。ま、不純な動機だ。
陸地にたどり着くのかもわからないけど、進むしかない。進んでみよう。
火兵衛が主として造ったこの船は、でぃーぜるせんとか言うらしい。どこぞかから、技術を知り得たとか。よく揺れる。かなり酔う。なんとかして欲しい。
追記、
素晴らしいエリックによって、私のあだ名が付いた。いつも、書を持っている。そして、この書き物を書いていたのをみられたことから、「書太郎」。そのあだ名は狭い船内をすぐ駆け巡り、私のあだ名が決まってしまった。特に文字が得意というわけではないが、こう呼ばれると、少し嬉しい。自分の才能が認められたように感じる。
まぁ、エリックの態度からすると、村の名前の付け方を馬鹿にして言っただけなのだろうが。ちなみに、火兵衛には、火狂人。リーダー竜兄には、死急野郎。と名付けたが、流行らなかった。