表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『リベンジャー』  作者: MELL
6/21

6話「グランドキャニオン」

舞台はグランドキャニオン。行ってみたいです。

○ 大型戦艦アスモデウス・大ホール

約50人の男女が入り交じったサイボーグたちが、規則正しく並んでいる。熱心に聞いている様子。

リーザとカミラ、前後に並んでいる。

クロエとイレーネ、左右に。

サラとエマも左右に。

 



○ 同・同・壇上

エーデル「今回の第539回地球奪還作戦はフォーマンセルで行う。4人でワンチームだ。ここから40人選んでからな」

と、サイボーグたちを見回し、

エーデル「チーム分けの発表は今、行う」

舞台袖をチラッと見て。

エーデル「霧江副司令官、あとを頼む」

霧江、舞台袖から出てきて壇上へ向かう。

エーデル、すれ違いざまに霧江の肩をポンとたたく。

霧江、仕方ないと言わんばかりの乾いた笑い。壇上に着く。

霧江「えー、ではチーム分けを発表します。αは――リーダーは――βは――リーダーは――(チーム名とリーダーという言葉は聞こえるが、メンバーの名前は聞こえないふうで)」



○ 宇宙

第一話で使われたシェルターより二倍ぐらいの大きさがあるシェルターが、10機落ちていく。

そのうちの一機にズームが当たる。



○ シェルター内部

第一話で使われたシェルターとは違う構造。

リーザ・カミラ・クロエ・イレーネが、中心に対角線上、背中合せで立っている。皆、固定されていて動けない。

降下の振動でシェルター内は、少し震えている。

カミラ「(ニヤニヤと笑い)頼りにしてるよ、リーダー!」

クロエ「(満面の笑みで)してるよ!」

イレーネ「私も頼りにしてますよ、たぶん」

リーザ「(右拳を震わせながら)カミラはあとで殴るから。はぁ、なんで私がリーダーなんだろ……向いてないのに」

カミラ「そりゃ、ナンバーがこの中では一番上だからじゃない?」

イレーネ「それだけでしょうか?」

カミラ「んー、それ以外にもあるんだろうけどねぇ。まあ、戦闘力もこの中では一番高いだろうし。頭の良さは置いといて」

リーザ「カミラにだけは言われたくない。この中で言っていいのはイレーネだけだ。クロエよりは絶対に座学の成績はいいだろうけど」

クロエ「ひっどーい!! 事実だけど!」

と、カラカラと笑う。

イレーネ「(大きなため息)笑っている場合じゃないでしょ。私がどれだけ教えても全然点数は上がらないし……。ほんと脳だけはどうしようもないわね」

クロエ「それは仕方ないのだ。(うなずきながら)うんうん」

イレーネ「はぁ……」

シェルターアナウンス「間もなく大気圏に突入します。衝撃に備えてください」

リーザ「だって」

カミラ「はいはい」

シェルターがさらに音をたてながら揺れる。それに耐えるリーザたち。

シェルター内が赤く光っている。



○ 宇宙

大気圏に突入しているリーザたちのシェルター。赤く燃えている。



○ 地球・空

よく晴れた青空。

リーザたちのシェルターが、熱を帯びながら落ちている。

グランドキャニオンが見える。



○ 同・グランドキャニオン

リーザたちのシェルター、派手な音をたてながら、地面を滑るように着陸する。

グランドキャニオンなので、赤茶色の崖が目立ち、荒野が広がっている。

リーザたち、シェルターの扉から出て来る。

リーザ、シェルターを振り返り。

リーザ「相変わらず着地が乱暴だ」

カミラ「改良の余地あるわよねー」

イレーネ「予算削減でしょう」

クロエ「世知辛い世の中だなー」

リーザ、耳元に手を当てる。

リーザ「こちらβチーム隊長リーザ・パーシヴァル。所定の位置についた。指示を」

吉乃の声「(眠そうな感じで)はい、こちらオペレーターの九条吉乃です……(あくび)」

リーザ「はぁ……眠いの?」

吉乃の声「はい……恥ずかしながら……」

リーザ「昨日、休みの日何してたの」

吉乃の声「はぁ……まあちょっと調べ物をですね……。でも作戦には支障がないように努めますので!」

リーザ「ならいいけど……」

吉乃の声「で、ですね――敵の反応は近くにはありませんので、とりあえず北上して頂けると」

リーザ「北ね」

吉乃の声「はい。最終的に他の班も合流する形になります」

リーザ「了解」

吉乃の声「気をつけてくださいね」

リーザ「ん」

と、耳元から手を離す。

カミラ「で、どうするの?」

リーザ「周りに敵の反応なし。北上する」

カミラ「それだけ?」

リーザ「今のところは」

イレーネ「なら、すぐに行きましょう。こんなところで突っ立っていても仕方ないですし」

クロエ「だねー」

リーザ、うなずき、耳元に手を当て。

リーザ「βチーム、北上します」



○ 同・同・崖に挟まれた道

リーザ一同、縦一列に崖に挟まれた道を歩いている。

先頭はリーザ。次にカミラ、クロエ、イレーネの順。

イレーネ、銀色の盾を左手に装着している。辺りを警戒している様子。

カミラ「そういえばさぁ」

リーザ「なに?」

カミラ「確認なんだけど、ここってアメリカよね?」

リーザ「そうだけど?」

カミラ「だよねー。ここ私のルーツなんだけど、全然実感が湧かないわ」

リーザ「ああ、前言ってたね」

クロエ「ルーツ?」

道の所々にある岩や崖を軽々と越えながら歩いているリーザたち。

イレーネ「私たちの先祖のことよ」

クロエ「ああ、そういうこと。カミラはアメリカなんだねー」

カミラ「そうだけど、どれだけ前の話って感じよ。帰ってきたーって気持ちには全然ならないわね」

イレーネ「そうでしょうね。私もそういう気分にはなれないと思います」

クロエ「イレーネちゃんはドイツだっけ?」

イレーネ「そういうことは覚えているのね」

クロエ、フン! という感じで胸を反らし。

クロエ「イレーネちゃんのことだもん!」

イレーネ「(少しあきれた様子)ああ、そう」

クロエ「ちなみにわたしは芸術の街と言われていたらしいフランスだよ!」

イレーネ「知ってるし、聞いてない」

カミラ「フランスってよく分からないけど、なんかクロエに合っていない気がするわね」

リーザ「フランス、フランス……。絵本で読んだことあるけど……。うん、クロエには似合わないね」

クロエ「リーザひっどーい! そういうリーザはどこなのさー」

リーザ「私? 私は……確かイギリスだったかな……?」

クロエ「あいまいだねー」

リーザ「そんな昔のことを知っていても仕方ないしね」

クロエ「クールだねぇ」

カミラ「大切なのは現在いまだ! みたいな?」

リーザ「カミラ、それはくさすぎ」

カミラ「(少し赤面し)言っていて思ったわよ……」

イレーネ、笑うのをこらえている。

リーザ「あっ」

カミラ「まだ言うの?」

リーザ「ううん、そうじゃない。見て」

と、指を差す。その先、崖から下に見えるのは巨大なクレーター。距離はかなりあるが、あまりに巨大なため確認できる大きさ。

クロエ「わぁー!! 大きいー!!」

カミラ「あれは……クレーターって言うんだっけ?」

イレーネ「そうですね……。あんなに大きなものはかなり珍しいんじゃないでしょうか」

リーザ「そうだと思う」

と、右手を耳に添え。

リーザ「(小声で)こちらリーザ・パーシヴァル。吉乃、聞こえる?」

吉乃の声「はい、感度良好です。どうぞ」

リーザ「進行方向に巨大なクレーターを発見。そっちからも見える?」



○ 大型戦艦アスモデウス・ブリッジ内部

横一列にオペレーターたちが座っている。他のサイボーグたちと連絡を取り合っている様子。その中のひとりに吉乃がいる。

吉乃の前には小型の透過型ディスプレー。そこにはグーグルマップの衛星写真のような(さらに細かいもの)画像が映っている。

リーザたちの反応が青色の丸い点で表示されている。

その青色の丸い点の北側には巨大なクレーターが映っている。

吉乃「はい、見えますよ」



○ 地球・グランドキャニオン・崖上

リーザ「あのクレーターがいつできたものか分かる?」

吉乃の声「ちょっと待ってくださいね」

ピピピという電子音的なキータッチ音。

吉乃の声「出ました」

リーザ「いつ?」

吉乃の声「データベースにありませんでした。かなり昔のものか、それとも最近できたものかのどちらかだと思われます」

リーザ「なるほど。了解。ありがとう」

吉乃の声「リーザさんのお役に立てたならそれだけで幸せです!」

リーザ、少しひいた様子。

リーザ「ああ……そう……」

リーザ、右手を降ろし、クレーターをじっと見つめる。

カミラ「どうしたの?」

リーザ「あのクレーター、気になる」

イレーネ「いつできたかがですか?」

リーザ「うん」

クロエ「どういうことー?」

リーザ「吉乃はあのクレーターはかなり昔のものか、最近できたもののどちらかと言っていた」

カミラ「ああ、そういうこと」

イレーネ「確かにそれは気になりますね」

リーザ「うん」

クロエ、手をブンブンと振り回し。

クロエ「もうみんなだけで勝手に話を進めないでー!」

リーザ、クロエに振り返り、

リーザ「かなり昔、太古のものなら別に問題はないはず。隕石が落ちただけとかだろうし。でも後者なら――」

クロエ「最近できたものなら?」

リーザ「――ロボットの可能性もある」



○ 同・同・クレーター付近

リーザたちの前方に巨大なクレーターが見える。

リーザ「思っていたより大きいね」

と、クレーターに近づいて行く。

カミラ・クロエ・イレーネ、クレーターの土などを見て、調べている。

カミラ「周りは問題なさそうね」

リーザ、クレーターの縁に立ち、しゃがんで中を覗く。

リーザ「あっ!」

カミラ「どうしたの?」

イレーネ「何かありました?」

カミラ一同、リーザの元に駆けつける。

リーザ「うん。あれ見て」

と、クレーターの底を指さす。

そこには20~30メートルはある巨大な鳥型のロボットの残骸が横たわっている。形は残っていて、所々が欠けている。

クロエ「あれは――鳥?」

リーザ「だと思う」

と、右手を耳に添える。

リーザ「クレーターの底に大型の鳥型と思われるロボットを発見した」



○ 大型戦艦アスモデウス・ブリッジ内部

吉乃「了解しました。その機体は生きていますか?」



○ 地球・グランドキャニオン・クレーター付近

リーザ「いや、動く様子はない。完全に破損していると思う」



○ 大型戦艦アスモデウス・ブリッジ内部

男女入り交じる40人のオペレーターが、横並びにずらっと並んで座っている。どのオペレーターの前にも透過型ディスプレーと透過型キーボードがある。

吉乃「了解しました。エーデル総司令官に指示を仰ぐので、ちょっと待ってください」

リーザの声「了解した」

吉乃、マイク付きヘッドホン型の機械を外し、最上段にいるエーデルのほうを振り返り、立ち上がる。

吉乃「エーデル総司令官」

腕を組んでいるエーデル。エーデルの横にはアニード。

エーデル「どうした?」

吉乃「リーザさ――β部隊長リーザ・パーシヴァルがクレーターの底で、大型の鳥型ロボットを発見したそうです」

エーデル「ほう……。そいつは生きているのか?」

吉乃「いや、完全に機能は停止している状態らしいです」

エーデル「ふむ……。リーザ・パーシヴァルの視点映像を公開してくれ」

吉乃「了解しました」

と、椅子に座り、ディスプレーに向き直る。マイク付きヘッドホン型の機械を装着する。

吉乃「リーザさん」

リーザ「なに?」

吉乃の声「リーザさんの眼で見ている映像をこちらで公開します」

リーザ「分かった。私は何もしなくていいんだよね?」

吉乃の声「はい。全てこちらにお任せ下さい」

リーザ「ロボットのほうを見ていればいい?」

吉乃の声「はい。それでお願いします」



○ 地球・グランドキャニオン・クレーター付近

リーザ、大型の鳥型ロボットを凝視する。



○ 大型戦艦アスモデウス・ブリッジ内部

吉乃、透過型キーボードを二。三回タッチ。

吉乃「リーザ・パーシヴァルの視点映像を映します」

リーザの視点映像が、ブリッジ内部前方にある巨大な透過型ディスプレーに映し出される。

大型の鳥型ロボットがクレーターの底で横たわっている映像。

エーデル「ほう。このサイズは珍しいな」

アニード「ほっほっほ。数例しか発見例がないのぉ」

エーデル「なぜクレーターの底で破壊されているんだ」

アニード「いくつか思い当たるが、その仮説はのぉ……、信じたくないの」

エーデル「――(気づいたように)ああ、そういうことか」

アニード「ノアのやつがそこまで考えているとは思いたくないのぉ。そんなところまでプログラムしても、戦いには意味がないんじゃし」

エーデル「ふむ」

アニード「しかもかなり高度なものじゃぞ。本当にそこまでするかの」

エーデル「分からん。会ったこともないやつのことはな」

アニード「ほっほっほ。それもそうじゃな」

エーデル、ディスプレーから目を離し、吉乃のほうを見る。

エーデル「吉乃」

吉乃、立ち上がり、エーデルに振り返る。

吉乃「はい」

エーデル「念のため、周囲を警戒するよう、リーザに伝えておけ」

吉乃「はい。了解しました」

と、座る。

エーデル(M)「さぁて、御手並拝見だ」



○ 地球・グランドキャニオン・クレーター付近

吉乃の声「念のため、周囲を警戒しておけとの事です」

リーザ「了解した」

と、通信をやめ、立ち上がる。

カミラ「何だって?」

リーザ「周囲を警戒しとけって」

と、周囲をキョロキョロと見回す。だだっ広い荒野が広がっているだけ。

リーザ「なーんにもないんだけどね」

イレーネ「本当、このクレーターしかありませんね」

クロエ、何かに気づく。

クロエ「うん? でもなんか遠くから駆ける音が聞こえるような」

カミラ「そう?」

と、周囲を見渡し、ある一点で止まる。

カミラ「あっ」

リーザ「なに?」

カミラ、遠くを指さし。

カミラ「なんか分からないけど、こっちに来てるわ」

リーザ、カミラが指さした方向をみる。砂ぼこりが舞っている。

リーザ「戦闘態勢を取って。全機破壊する」

カミラ「まだあいつらかどうか分からないわよ。レジスタンスの人かもしれないし」

リーザ「どっちにしろ戦闘態勢を取る。違ったら解けばいいだけ」

カミラ「はいはい」

イレーネ「敵でないことを祈りたいけど」

クロエ「だねぇ」

リーザ、背負っていた剣を掴み、構える。大剣に変形。

カミラ、懐からナイフを二本取り出し、両手に構える。

イレーネ、左手の盾を構え直す。背負っていたランスを右手につかむ。折り畳まれていたランスが音をたて、大型のランスになる

(自分の背丈よりはるかに長い)。

クロエ、背負っていた槍を左手につかむ。格納されていた棒部分が伸び、自身の身長よりはるかに長い槍になる。それを柄の方を地面に突きたてる。

砂ぼこりが接近し、大きなものになっていく。

リーザ、それを凝視する。

ピューマ型のロボットが集団で走っている。

リーザ「四足歩行型のロボットだ。前回と同じタイプ」

カミラ「なーんだ、楽勝ね」

クロエ「ん?」

と、振り返り、

クロエ「あっ!」

リーザ「どうしたの」

クロエ「後ろからも何か来てる……かも……」

リーザ「えっ」

と、振り返る。

遠くに黒い影が多数見える。その影は全て宙に浮いていて、空を飛んでいるように見える。

リーザ「あれは……」

と、注視する。

その黒い影が徐々にシルエットを帯びてくる。翼をはためかしている鳥のよう。

リーザ「鳥……?」

  


○ 大型戦艦アスモデウス・ブリッジ内部

大型ディスプレーには、焦っている様子のリーザたちが映っている。

エーデル「挟み撃ちか」

霧江の声「統率されたような動きですね」

霧江、エーデルとアニードの間に首から入ってくる。

アニード「おお。霧江嬢。お久しぶりですな」

霧江「ご無沙汰しております、アニード様」

と、一礼する。

エーデル「終わったのか」

霧江「ええ。誰かさんのたまった書類の整理のほうは」

エーデル「また休暇をあげるよ」

霧江「それでお願いします」

エーデル「――で、やはりお前もそう思うか」

霧江「はい。どう考えても。今までには見られなかった動きです」

エーデル、前面にある柵に手をかける。少し前かがみになり、

エーデル(M)「考えすぎだといいが……」



○ 地球・グランドキャニオン・クレーター付近

ピューマ型、カミラに噛みつこうと突進。

カミラ、難なくよけ、ナイフを横腹に刺し、抜く。

カミラの横に崩れ落ちるピューマ型。

カミラ「こっちは何とかなるんだけどねー。問題はあっちよね……」

と、背後を振り返る。

リーザとクロエが小型の鳥型ロボットと闘っている。サイズはカラスぐらい。数は約50体。

リーザは大剣を振っているが、鳥型に翻弄されている。

クロエは槍を振り回して、対処はしているが、効率は悪そうだ。

カミラ「どう見てもねぇ……」

と、顔はリーザ達のほうを見ながら、ナイフを前方に投げる。

ピューマ型の首に命中し、動かなくなる。

カミラ、右に目を向ける。そこにはピューマ型が噛みつこうとしたり、ひっかいたりする攻撃を盾で防ぎ、もう片方のランスで的確に急所部分を突いていくイレーネの姿。

カミラ(M)「イレーネの得物もこいつには向いてないわよね」

と、リーザの方に振り返り、

カミラ「リーザ!」

リーザ「なに!」

と、大剣を振り回しながら、カミラをチラチラと見る。

カミラ「交代したほうがいいと思うんだけど!」

リーザ、一瞬ためらう。少し唇をかみ。

リーザ「それしかない……か」

と、大剣を振り回しながら、カミラのほうへジリジリと後退。

カミラ、ピューマ型にナイフを投げ、回転するようにリーザと交代。

すれ違うリーザとカミラ。

リーザ「(ボソッと)ロボットは全て私が殺してやりたいのに」

カミラ「……得物に得手不得手があるから無理でしょ」

カミラがいた位置にリーザが立ち、リーザがいた位置にカミラが立つ。

三体のピューマ型、リーザに飛びかかる。

リーザ、大剣を振り回す。木っ端みじんになるピューマ型。

その光景を見るイレーネ。

イレーネ「さすがですね」

リーザ「まあ、これぐらいは」

カミラの上空に飛び回る鳥型。数は約30。

カミラ、数体に目を向け、両手で持ったナイフを次々に投げる。ピタリと首筋や腹に命中。落下し、地面に落ちる鳥型。ショートしている。

カミラ「ザッとこんなもんよね」

クロエ「すごーい!!」

鳥型の数体、カミラに向かって突進。くちばしで突こうとしている。

カミラ「遅いわねぇ」

と、ナイフを素早く向かってくる鳥型に投げる。

ナイフは全て命中。

落ちる鳥型。

クロエ「(槍を振り回しながら)やっるー!」

カミラ「まあ、相性よね」

ニヤッと笑う。

   ×   ×   ×

ピューマ型・鳥型、数が約五体になっている。

両型とも戦意は失っておらず、戦闘態勢を取っている。が、いきなり態勢を解き、一目散に撤退していく。

リーザ「逃げる……?」

クロエ「私たちの強さにびびったのだー!」

イレーネ「それはない」

カミラ「右に同意」

リーザの耳元でピピピという通信音。耳元に手を当てるリーザ。

吉乃の声「(焦っている様子で)リーザさん! 南の方角から大きな反応! 来ます!」

リーザ「大きな反応……?」

いきなり、黒い影がリーザたちを包みこむように現われる。

リーザ一同、見上げる。

カミラ「これは相性関係なさそうね……」

影の正体は超大型の鳥型ロボット。羽ばたき、その場で滞空している。全長約30メートル、横は翼を含めると約60メートル。

鳥型「(鳴き声)キシャァァァ!」

リーザ一同、腕でガードをし、鳴き声の衝撃に耐えている(ビリビリという感じの衝撃音)。

クロエ「こんなのに勝てるの……?」

イレーネ「それは……」

カミラ「ちょっと厳しそうね」

クロエ・イレーネ、怖じ気づく。ぼうぜんと立っている。

カミラ、ナイフを納め、少し諦めている様子。

リーザ、大剣を構えて立っている。瞳は真っすぐに鳥型を見据えている。前に一歩出る。

カミラ「リーザ……」

リーザ、カミラ達のほうへ振り返る。決意の眼差し。

リーザ「ロボットは全て殺す。もう誰も失いたくないんだ、私は」

イレーネ「リーザさん……」

クロエ「……うん、そうだね! あいつらを倒さないと、地球を取り返せないもんね!」

カミラ「はぁ、仕方ないわね」

リーザ、硬い表情から微笑に。超大型に向き直り、大剣を構える。

リーザ「目標は超大型! ここでころ――撃破する!!」

カミラ・クロエ・イレーネ「了解!」

カミラたちも構える。



○ 大型戦艦アスモデウス・ブリッジ内部

大型ディスプレーを見ているエーデル。ディスプレーには、リーザの視点から見た超大型の鳥型ロボットが映っている。見上げている形。威嚇している様子。

エーデル「いいチームだな」

霧江「そうですね。昔を思い出します」

エーデル(M)「響か……」

ユリアの声「わぁ!」

ユリアがエーデルの背中に飛びついて来る。

エーデル「おっと」

と、少しだけ体勢を崩す。

ユリア「(笑顔で、飛びついたまま)ねぇねぇ? 驚いた!?」

エーデル「少しな。今回は合格点をあげよう」

ユリア「やったー!」

と、エーデルの背中から離れる。

霧江、その二人の様子を見て。

霧江「はぁ……(あきれ顔)」

オペレーター(女)の声「司令官!」

エーデル「どうした」

オペレーター(女)「デルタ班より連絡あり! 超大型ロボットが現われたとの報告です!」

エーデル「なんだと?」

オペレーター(男)の声「エーデル司令官!」

エーデル「今度はなんだ!?」

オペレーター(男)「イオタ班より通信あり! こちらも超大型のロボットが現われたとの報告ありです!」

エーデル「――これは」

直後、各オペレーターが次々と超大型ロボットの出現を矢継ぎ早に知らせる。

同時に透過型の中型、小型ディスプレーがエーデルたちの前方に次々と表示されていく。

どれも超大型のロボットが表示されている。クモ型やサソリ型、トカゲ型など、多種多様である。魚型などの海の生物はいない。

霧江「一体何が……起こっているのですか……?」

ユリア「(笑顔で)いいねぇいいねぇ!! 盛り上がってきたねー!! はぁ、私も参加したかったなぁ」

アニード「ほう。エーデル殿、これはもしかすると」

エーデル「――覚悟はしておくか……」


           (第6話 終)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ