〖彷徨いの森〗
世界に光が差さなくなって10年が経った。
私はルミナ・アイリス。
魔法の使い手として有名なアイリス家に生まれた一人っ子。
みんなからのニックネームは『ルミ』。
魔法界の王様が住む城のすぐ坂下、城下町に住む12歳の魔法使い。
1年前に出会った騎士団長のユキトと共に光を取り戻すために旅をしている。
まずは、黒雲をはらうための道具を得るために3ケ所を回る必要があるらしい。
彷徨いの森、アガレス湖、サポス火山。
今は彷徨いの森の1番奥に向かう途中。
ユキト「ルミ、彷徨いの森は少しでも道を間違えたら入り口に戻される。慎重に行くぞ」
ルミカ「うん……」
私はユキトの言葉にうなずいて、共に彷徨いの森に足を踏み入れた。
ルミカ「あれ……?」
ユキト「入り口に戻ってきてしまったか……」
ユキトはすぐまた森に入っていく。
ルミカ「あ、待って!」
私はあわててユキトを追った。
ルミカ「ねぇ、正しい道ってどうすれば分かるの?」
ユキト「音だ。分からない?」
ルミカ「うーん……」
私は、全神経を耳に集めてみた。
ルミカ「あ、聞こえる。鈴みたいな音」
ユキト「そう、その音が聞こえるほうに行くんだ」
ルミカ「じゃあ、行こう!」
私はユキトと一緒に鈴の音がするほうに走り出した。
ルミカ「わぁ!」
いきなり明るくなった視界に私は思わず目を閉じた。
ユキト「抜けたぞ。ほらあれ、見えるか?」
ルミカ「……、あれなに?」
目を開いた私がユキトが指さした先を見ると、そこには台座のようなものがあった。
ユキト「あれは強化魔法のかかった魔剣だ。ルミ、お前が持っているといい」
ルミカ「私が!?」
驚いた、まさか剣を持つ日が来るなんて……。
ユキト「ああ、抜くといい」
ルミカ「うん!」
私は台座に駆け寄ると、剣をゆっくりと引き抜いた。
ユキト「はいこれ。次行くよ」
私は、ユキトから渡された鞘に剣をしまって、ユキトの隣を歩いた。
ルミカ「私ね、剣を持つのが夢だったんだ!昔……ていうか今も、騎士団に入りたいなって思ってたの」
ユキト「なんで騎士団?」
ルミカ「お兄ちゃんが『魔剣士』でね、昔からよく剣を振る姿、みんなのために頑張る姿を近くで見てて」
私は、少し笑って瞳を閉じた。
ルミカ「カッコイイと思った。誰かのために剣を振るお兄ちゃんが」
ユキト「それで騎士団……か」
ルミカ「うん、だから私、剣術をずっと練習してたの」
ユキト「だったら入ればいいのに。入団試験に受かればすぐでしょ?」
ユキトが『なんで入らないの?』と不思議そうに聞いてくる。
ルミカ「お母さんに反対されたの。私はお兄ちゃんと違って身体が弱いから、いつ死ぬか分からないんだよって」
ユキトは苦笑した。
ユキト「それもそうだろうね。騎士団は危険と隣り合わせだから」
ルミカ「うぅ……そうだけど……」
ユキト「きっとこの旅が終われば、お母さんも認めてくれるだろ」
ユキトは、少し低い私の頭をポンポンッと優しく叩いた。
ユキト「僕が入団試験の手続きをしてあげるよ。僕の紹介なら特別枠で入れるから」
ルミカ「え、本当!?」
キラキラした目で詰め寄った私に、ユキトは気圧されながら『う、うん……』と言った。
そっか、ユキトは私と同じ歳なのにもう騎士団長をしてるから、ユキトの紹介なら特別枠になるよね。
ユキト「さあ、そのためにも、次の地……エルザの湖に向かおう」
ルミカ「うん!」
私たちは彷徨いの森を出て、エルザの湖へと向かうのだった。
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続く
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愛桜 奏花と言います。
将来小説家になるために日々研究中です
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