こわいけど大好きな先輩ってこと!
二時間後。
松山さんは、ニコニコ笑いながら帰って来た。
「君の言うとおりだった。
いかにもだね。
古めかしい両親の子ども時代のアルバムとかに分散して、盗撮画像のプリントを貼りつけていた。
両親の結婚写真の隣に、女子高生のパンチラ写真。親不孝なことをするもんだ」
親不孝・・・
ぼくだって、きっとそうだろうな。
「これで盗撮画像の大規模な犯罪組織は壊滅。
このぼくの、警視庁の敏腕警部、松山洋介の次期警視のポストもだ。
すぐそこまで近づいてきたというわけだ」
松山さんったら、文さんとぼくの視線に気がついたみたい。
「い、いまの発言はだね。
大きな事件を解決した安堵感と喜びでね。
つい我を忘れたというわけで・・・
ぼくは本来、こんな軽い人間ではないわけで・・・
いつもは軽率とも無縁な人間なんで・・・
き、君の母上には内緒にしてほしいわけで・・・」
松山さんったら、言わなくていいことまで口にしてるって思うんだ・・・
松山さん、大きく深呼吸。
態度が一変。
おごそかな表情で、ぼくの肩叩いた。
「おめでとう。賞金が出るぜ」
「いりません」
「いくらか知ってるだろう?」
「いりません」
「尊敬する先輩の息子さんだから言うんだけどね。
月影サキ君を助けてもなにも利益なんかないと思う。
月影サキ君は、JKマフィアって言われている。
裏サイトでも取り上げられてる。
恐喝、売春、高校生のギャンブル、監禁・・・
しょせん小物だ。
とは言っても、あらゆる悪事に手を染めてること、マチガイない。
今回は見逃したとしてもだ。
いつか君も巻き込まれるぜ。
君の母上や親戚の方々にもご迷惑をかけることになると思う」
松山さんの言うことって正しいんだ。
だけどもぼく・・・
顔を上げる。
ハッキリと松山さんに告げる。
「先輩のことが好きです」
松山さんが肩をすくめる。
「いつか、後悔するぜ」
「いま、好きな人と別れることが・・・」
先輩のこと、心に思い浮かべる。
こわいけど・・・
大好きな先輩!
「一生で一番、後悔することだって思います。」
松山さん、フッとため息。
「青春だなあ」
松山さんが笑った。ちょっとあきれてたけど・・・
「確かに被害者も弱みがあるから特定が難しいだろうな。
特定できても、いまさら捜査に協力してくれるかどうか分からない事件ばかりだ。
少し時間をくれるかい?」




