文さんにほめられたってこと!
「とにかく聞こう!」
松山さんはそう言うって立ち上がった。腕を組んで僕に背を向けている。
「プリントの形で保存したんです」
「高橋岩雄の事務所や自宅で、プリントされた写真がないか調べた。一枚もなかった」
「実家の古いアルバムとかは調べましたか?
子どものときの写真とか貼られているアルバムは?
あまり厳密には調べてないんじゃありませんか?
小学生のときの写真なんかに紛れ込ませて貼ってあるということはありませんか?」
松山さんは振り返った。真剣な表情だった。
「ちょっと待っていたまえ。文ちゃんにドリンクと軽食を持って来させる。
『フランス堂』のシーフードサンドだ。
ウニも使った特製品だ。
宅配で一人前千三百円だ。
サンドウィッチ一皿分に千三百円。
君の母上には、ぼくの誠意を分かってくれて欲しいなあ」
ぼく、部屋で松山さんを待った。
約束通り、文さんがサンドウィッチとコーヒーを持ってきてくれた。
ずいぶん忙しかったみたい。
ぼくのこと見て微笑んでくれたけど、疲れが顔に表れてた。
サンドウィッチは大きなアルミ皿にたっぷり盛られている。
「文さん」
「どうかした?」
「こんなにたくさん食べられません。
文さんにも差し上げます」
文さんってニッコリ笑ってくれた。
「じゃあ、一緒にここでいいかな」
そう言って、今度はニヤッて笑った。
「もしよかったら」
ぼく、ハッとして立ち上がった。
「文さんの分のコーヒー」
「いいって、そんなの」
「でも」
「自分で行くから」
「大丈夫です。休んでて下さい」
文さんがぼくの頭、そっとなでてくれた。
「一緒に行こうか」
「えっ?」
文さんって楽しそうだった。
「なんで大黒さんが日下君のこと、追いかけてるか分かった。
礼儀正しくて親切。
小さなことで気配りができる。
日下君と一緒にいれば、きっと仕事だって一生懸命、楽しくやれるって思う」
これって褒めてくれてるんだよね。
地味だしクラスでも目立たないぼくのこと。
だんだん顔が真っ赤になっていく。
文さん・・・
ありがとうございます。




