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すぐに先輩との別れが来たってこと!

 そのかわりにドアが開いた。何人かの人が入って来た。


 「やあ。二時間ぶり」


 松山洋介さんの声。

 「仲のいいことだ。青春だね」


 サキ先輩があわてて僕の手を取って立ち上がった。

 ぼくって、まだ視界がぼんやりしている。


 「月影さん。今回の件については、君は無実だ」


 松山さんがサキ先輩に話しかける。


 「だが偽証罪で調べている女子高生がいろいろおもしろいこと言っててね。

 もう一度、詳しく調べることになった」

 「ぼく、無実だって証明しました」


 あわてて話しかけた。僕の声、たぶん震えてたと思う。

 何が起こってるのか分からなかった。


 「取り調べ中の女子生徒が、月影君が、いつもどんなことしてるか、いろいろ教えてくれたからね。

 調べない訳にはいかないさ。

 なにしろ、恐喝とか暴行とか売春は、れっきとした犯罪行為だ。

 ぼくはね。

 警視庁本庁で、組織犯罪について取り組んでいる。

 一部の高校生による犯罪行為が、暴力団をはじめとする地下組織とつながっている。

 それが我々の考え方だ。

 月影さん。これが逮捕状!」


 ぼくの視界ってボンヤリしたまま・・・

 体中が悲しみでいっぱい。

 

 「日下君。悪いけど、恋人の君でも、今度ばかりはどうしようもない」


 松山さんが冷ややかに笑った。


 「恋人なんかじゃない」


 サキ先輩があわてた様子で叫んでた。

 視界がボンヤリしたままだから、どんな顔をしてるのかよく分からない。


 「君ら。だれが見ても相思相愛の恋人同士さ。

 こんなかたちで別れるのを同情するぜ」


 そう言ってから、警察官に声をかけた。


 「連行したまえ!」


 威厳に満ちた声。

 これが松山さんの本当の姿なのかも・・・


 「待ってください。

 少しふたりっきりで話をさせてあげれば・・・」


 文さんの声!

 思いがけない援軍。

 だけど、

 「その必要はないと思うぜ」


 松山さんの言葉で、すぐTHE END。


 「すでに連絡を入れてある。

 松山君のお母さんも、伯父にあたる山宮先生も、親戚の吉村さんたちも大変ご立腹だ。

 文ちゃんだって知ってるだろう。

 全員、警察の幹部か関係者だ。

 これ以上、おふたりさんに気をきかしたら、後で刑事部長から呼び出されるのは間違いなし。


 ぼく、あわてて、先輩の香りがする方向に駆け寄った。

 視界ってまだボンヤリしたまま・・・

 涙が止まらない。

 しばらくなにも見えないままみたい。


 「先輩!」


 返事はなかった。

 ぼくの鼻先・・・

 甘い香りが通り過ぎていった。

 ドアが閉まる音。

 やっと視界が戻ったけど・・・


 ぼくが見たい彼女ひとって、もうかすかな靴音しか聞こえなかった。


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