母からのサプライズってこと!
下校時間。
教室を出たら安田さんの姿。
先輩の宿題を預けられた。小テストが二枚と問題集。
いつも二年の女子が交代で届けにきてたのに・・・
その人たち、なにか弱み握られパシリをさせられてるって話・・・
「ありがとう」
声をかけたら首を振った。
教室を出てきた丸山君。
安田さんに気青い顔。
あわてて教室にリターン。
「日下君」
安田さんが小声で声かける。
「校門まで一緒にいい?」
ぼく、黙ってうなずいた。
肩並べて歩いた。
「勉強大丈夫?よかったらぼくが・・・」
「心配しないで・・・うち、バカじゃないよ」
安田さん、そう言って笑った。
「でも嬉しいな」
小声でつぶやいた。
??
校門で別れるとき、大きく手を振ってくれた。
ぼくも返した。
この日ってサプライズがあった。
家に入ったら・・・
めずらしく母がいた。
ニコニコと、
「すぐ帰るけどね。実はいい話があるの」
母の実家近くの公立高校の校長先生。
ずっと祖父のことを尊敬していた。
祖父が県警の警部補。校長先生がまだ教師だったときのこと。
校長先生が教師をしていた高校で事件が起きた。多数の生徒が補導された。
祖父は、
「彼らには未来がある。いま、処分したら立ち直れない」
って生徒たちが軽い処分になるように努力した。
処分を免れた生徒たちは、後で政界、経済界で成功をおさめた。
この人たちが音頭をとって、祖父を国会議員にしてくれたんだ。
以前にも母から聞いた。
その公立高校って、創立して年も浅いため、生徒のレベルアップを目標にしていた。
校長先生も僕の転入を認めるって言ってくれたそう・・・
「だって私立からだよ」
「構わないって言われた。健の中学時代の成績見せたら・・・」
母は、
「私の実家から通えばいい」
って、この話に大乗り気。
とりあえず校長先生が一度会いたいってこと。
次の日から三日間。高校休んでぼくひとり、母の実家の名古屋に行くことになった。
「それがいいと思う」
母がぼくの目を見て言った。
「麻衣ちゃんも大賛成。
大阪と名古屋なら新幹線で一時間。
ずいぶん近いしね」
それって何の関係あるの?
ぼく、大声で言いたかった。
「麻衣ちゃんから預かってきた。
スーツね。
これ着て校長先生に会って!
麻衣ちゃんからクオカードも預かったから!
気の利く幼馴染じゃない」
ぼく、なにも言えない。
「いいよね。名古屋に行くね。
お祖父さんも伯父さんも親戚一同、それを望んでいる。
梅華に通ってること、喜んでる人、ひとりもいない。
健もね。
自分の生まれた家と無関係に好き勝手はできないから・・・」
厳しい母の口調。
特捜検事時代ってきっとこんな雰囲気・・・
「健にとってはラッキーだけど、お祖父さん、かつての部下の選挙応援で北海道行ってる。
いろいろ健にアドバイスしたかったのに残念がってた」
母が腕時計見る。
大阪に帰る時間、気にしている。
「わたしもたくさんの人から色々言われた。
お祖父さん。
大阪府警の本部長の宮の伯父さん。
警察庁官房長のヨシ君。
北海道県警本部長の木戸君。
北海道県警警視正の長谷川君。
青森県警警視正の渋谷さん。
中部管区本部長の松原君。
鹿児島県警本部長のムラちゃん。
国会議員の霧島君、神津君。
全員、名前あげたら時間かかりそう・・・
今日はここまでね。
この人たちと健が直接話をする機会つくってもいい」
そうなったらぼくって・・・
母が立ち上がった。
「麻衣ちゃんが健と一緒にスコットランドヤードで勉強続けたいと言っている。
あそこの研究所で一年研修したら、警察庁の女性幹部だから・・・」
母はぼくにおこづかい渡し、用意されたタクシーで帰っていった。
すごく疲れちゃった・・・
急いでサキ先輩の宿題を済ませ、サキ先輩の自宅に届けに行った。
大きな家だった。
チャイムを鳴らしても応答がなかったけど、しばらく待ってたらドアが開いた。
「日下。何であたしんとこ知ってるんだ」
「調べたんです」
いきなり腹を殴られた。
「ストーカー野郎」
サキ先輩のキックが腰に決まる。
なんとか踏みとどまり、宿題のプリントを渡した。
「あの・・・用事があって三日間休みます」
ぼくが説明したら、
「逃げるつもりか?」
ってにらみつけられた。
もし転校すれば、最終的にはそうなる。
黙って下向いた。
サキ先輩は僕を押し倒した。
何度も蹴られた。
レースのパンティが何度も見えた。
マシュマロみたいに白くて肉付きのよい太腿、ずっと見えてた。
「分かってんだよ。さっさと好きなとこ行けよ!
だけどナ。
慰謝料は払ってもらうぞ。
逃げられるって思ったら大間違いだ」
サキ先輩は最後に、
「バーカ」
って言葉を残し姿を消した。




