麻衣ちゃんとの別れってこと!
「聞いてくれる」
麻衣ちゃん、中腰になった。
ぼくと顔の高さ、同じになった。
「健ちゃんにひどいことしたって思う。
だけど聞いて。
警察庁に入ること勧められて、将来、健ちゃんと一緒になること勧められた。
だけど健ちゃんって、ずっと小さいときから一緒。
本当の姉弟みたいに思ってた。
だから結婚のこといわれて、実感わかなかった。
そのときはね。
健ちゃんって、わたしがいなぎゃなんにも出来ないちっちゃな弟のイメージしかなかったの。
だけどやっぱりわたしにとって、かけがえのない人間だって、ロンドンで気がついたの。
長い間、ひとりぼっちにしてごめんね。
わたし、もう心動かすことないから。
安心して!」
そのときのぼくって・・・
ぼくって・・・
ぼくって・・・
心が弱いから・・・
やっぱり大きく心が動いた・・・
「麻衣ちゃん!」
麻衣ちゃんの顔をまっすぐ見る。
「今晩、一緒にいてください。話したいんです。
そばにいたいんです」
麻衣ちゃんの目が曇った。
「ごめんね。それは・・・」
ぼくの心に・・・
先輩のこわくて冷たい顔が浮かんだ・・・
口元を直角に曲げてぼくのこと見下ろしてる・・・
「麻衣ちゃん!」
目の前の麻衣ちゃんをもう一度、まっすぐ見つめる。
「ずっとずっと好きだったんだ!
いまだって!
たぶんこれからもずっとずっと!」
麻衣ちゃんの顔が見えなくなった。
麻衣ちゃんの顔・・・
蜃気楼のように薄くてボンヤリと、だんだんと消えていくんだ。
「さよなら!麻衣ちゃん!」
そのまま背を向けて走り出してた。
「健ちゃん!」
遠くで麻衣ちゃんの声。
「待ってよ!」
走り続けた。
気がついたら家の近く。
公園の前。
人通りのない道。
ぼくだけだった。
しばらくそこに立っていた。
いま来た道を見つめていた。
ぼくって、待ってたんだろうか?
あのまま大阪へ帰った麻衣ちゃんのこと。
もしかしたら最後まで追いかけてくるすかもしれないって・・・
スマホの待ち受け画面を見る。
こっそり撮った先輩の不機嫌な顔。
「ごめんなさい。先輩・・・」




