麻衣ちゃんとのエピローグ②
結局、タクシー使った。
次の日の昼のこと。
昨晩から東京駅への行き方、詳しく調べた。
だけど乗り換えの駅で、どのホームか迷って乗り遅れた。
次の列車待ってたら、麻衣ちゃんの乗る新幹線は発車しちゃう。
タクシー乗ったら途中で渋滞に巻き込まれ、やっと東京駅に着いた。
見送りの人がホームへどうやって入るかとか、東京駅の内部の地図とか、一晩かかって調べた。
それなのに・・・
大阪行の新幹線ホームに入ったのは、発車五分前。
新幹線はもう停車中。
麻衣ちゃんってグリーン車に乗るって聞いた。
グリーン車の方へ一直線!
見覚えのある私服。
薄緑色のワンピースにピンクのショートソックス。
スラリとした脚!ショートソックスがピッタリなんだ!
だからすぐ分った。
左右見回してる
「麻衣ちゃん!」
大声で呼ぶ。
チラッとこちらを見た。ニッコリ笑って見えたのに、すぐに関心ないって目をぼくに向ける。
「どうして分かったの?わたしの母の連絡先知らないでしょう」
「ぼくの母に連絡とりました。
いま、大阪にいます。
おばさんと一緒に大阪駅へ麻衣ちゃんを迎えに行くって・・
迎えに行く時間から逆算しました」
麻衣ちゃん、首をかしげた。
「そう・・・」
ぼくになんか関心ないって顔でグリーン車に乗り込んだ。
「麻衣ちゃん!」
もう一度呼ぶ。
返事はなかった。
新幹線の扉が閉まった。
麻衣ちゃんの心みたいに・・・
新幹線ってすぐホームから消えた。
ずっと立ってた。
新幹線って、もう戻って来ないのに・・・
涙が流れた。
だけどいつも慰めてくれた麻衣ちゃん、もういないんだ・・・