表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/94

先輩ってぼくのこと大キライってこと!

 長いこと、夢を見てた。

 麻衣ちゃんとぼくで大阪の街を歩いてたんだ。

 麻衣ちゃんがぼくに買ってくれたシャツとパンツ履いてた。

 麻衣ちゃんが何度もシャツの襟やシワとかを直してくれた。麻衣ちゃんったら目を細めてぼくのこと見てた。

 小学生の頃、何度もこの顔を見てた。

 麻衣ちゃんのこんな顔を見たくて、麻衣ちゃんの言うこと、まるで弟みたいに、なんでも聞こうってしてたんだ。

 にぎやかな街並み。

 たこ焼きの店があると飛び込んで買ってきてくれる。

 行儀悪いけど、ふたりで食べ歩きした。

 何度も麻衣ちゃんに頭なでられてた。

 いろいろ話してた。

 だけどなにも声が聞こえてこない。

 ただ麻衣ちゃんの笑顔だけ見てた。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 現実に戻ったら、部屋の簡易ベッドの上。

 おなかが重く痛む。

 青く変色した腹部が見えた。 

 ブレザーもスクールシャツも、インナーシャツまで着てない。

 下はブリーフだけ・・・

 ベッドの回り。先輩に安田さんの顔が見える。

 すごく恥ずかしい・・・

 手足をX字型に伸ばされてた。

 手首足首に手錠がはめられ、手錠の片方の輪はベッドの柵にはめられてる。

 身動きできない。

手首の手錠に目を向ける。


(やっぱり・・・)


 先輩、ロープだったらはどいてしまうかもしれないって言ってた 。だから手錠にしたんだ。

ベッドのそばの床。制服のブレザーやスクールシャツ、ズボン、乱雑に置かれてる。

 先輩がぼくの学生服、足で踏みつけた。


 「日下君」


 先輩の口元、大きく曲がった。


 「君みたいな人間サ。あたし大キライなわけ!」


 先輩、ぼくの顔をのぞきこむ。


 「子どもだろう。君サ。

 背も低いし・・・

 何月生まれだ!」

 「三月三十一日です」

 「あたし、四月三日だ。

 二歳上なんだよ。あたしの方が・・・

 こどもがエラそうにしやがって!

 殺そうか!

 初めてだけど・・・」


 先輩の目が赤黒く光る。


 「ぼく、先輩と一緒に勉強したいんです。

 宿題だって・・・

 お役に立ちたいんです」


 痛っ!

 頬をひっぱたかれた。


 「勉強させてやるよ。

 死にそうな痛みって、どんなものかサ」


 先輩ったら、ぼくの学生服を靴でふみ回してる。

 ブレザーやスクールシャツがホコリにまみれていく。

 夢で見てた麻衣ちゃんのこと、思い出す。

 母からのメール・・・


 <学生服とかみんな麻衣ちゃんが買うって!

 直接、学校が指定してる業者に連絡するそうだから。

 一番いい服揃えるって言ってた>

 


 「やめてください!」


 大声で叫んでた。


 「お願いです。

 学生服にひどいことしないでください」

 

 先輩がジーっとぼくのこと見た。

 肩すくめる。


 「大事なヤツに買ってもらったんか?」

すぐに返事できない。


 「聞いてるぜ。大事なヤツに買ってもらったんだな・・・」


 先輩に拳でおなかつつかれた。

 痛っ!


 「そうだナ」

 「はい・・・」


 先輩の口元がほとんど直角に曲がった。


 「じゃあ、こうしてやるよ」


 ブレザーやスクールシャツを拾い上げた。

 そのまま宙に放り投げる。

 先輩の手に三連フルート。

 三連フルートが先輩の正面で、ぐるぐるって水車のように回転!

 超高速!

 フルートなんか見えない!

 竜巻のような大きい渦!

 ぼくの学生服が三連フルートの渦の中!

 何度も宙に舞い、また渦に戻る。

 宙に舞う度、ボロボロにちぎれていく。


 「やめてください!」


 先輩、聞いてくれない。

 三連フルートの回転がゆっくりになる。

 ボロボロの布切れが床に落ちた。

 ブレザー、スクールシャツのボタンが転がる。


 だめ・・・

 もう我慢できなかった・・・

 しゃくり上げて泣いちゃった。

 すっごく情けないけど・・・

 麻衣ちゃんの顔がハッキリ心に浮かんで・・・

 どうしても涙が止まらなかったから・・・



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ