こわい先輩、顔真っ赤ってこと!
そのときぼくって、麻衣ちゃんが送ってきた写真のこと思い出してた。
入学式の前日に届いた麻衣ちゃんからの手紙。
スーツを着た麻衣ちゃんが桜の木のそばに立ってる。
麻衣ちゃんの近影。
麻衣ちゃんと先輩の姿。
一瞬、ひとつに重なった。
先輩がぼくの方に歩いてくる。
夕日の淡い輝きを背中で受け止めている。
紺のカーディガン着た先輩の白い肌。
かすかにオレンジに染まり、そして闇のように暗くなる。
その繰り返し・・・
最後にぼくの前に立った。
「元気?」
先輩がフルートを口から離す。
「君が梅華高校に入学したの知った。
優等生も、うっかり油断したんだね」
フルートを大澤さんに渡す。バッグにしまってる。
「梅華高校のこと、なんにも知らないね。
この東校舎のこともサ。
予想外だったからムリもないか。
ここはサ。
優等生の君とは無縁な世界なんだ。
君の好きなサ。
連立方程式とか一次関数とか三角形の面積とか、そういうのキライなヤツが集まってくるところなんだ。
フツーのヤツは近づかない。
知ってた?」
先輩ったらぼくにささやきかける。
ぼく、真剣な目で先輩のこと、見つめる。
「先輩!」
「なんだ!」
「お話ししたいことあるんです。聞いてください」
「言ってみろ」
「連立方程式も一次関数も中学で習います。面積は小学」
クスクス笑い。安田さんと横山さん!
「おい!」
先輩の声!
すぐ笑いが止まった。
だけど先輩の顔って真っ赤!
なんだか可愛い!
「中学だった?」
「そうだったんか。忘れた!」
美柳さんと三杉さんの小さな声。
先輩の大声‼︎
「やめねえか!」
また静か!
「悪かったな。優等生の日下健君。
これからゆっくりお詫びさせてもらうから・・・
さあ!来るんだ!!」




