一番麻衣ちゃんが好きだったってこと!
「またスマホのナンバー変えるなんて!
たったひとりのため!
麻衣ちゃんからの電話受けたくないんでしょう。
麻衣ちゃんから連絡があった。
健から電話があったから翌日かけ直したら、もう番号変わってつながらなかったって・・・
番号教えちゃぜったいだめなの!」
翌日の夜。母から電話。
特捜検事の頃の口調!
そしてセクハラパワハラ裁判の弁護士の口調!
「ちゃんとお母さんに教えたでしょう。
山宮の伯父さんやヨシ君、おじいさんとかにも連絡を入れます。
だけど大黒さんにはぜったい教えないでください」
母がため息つく。
「なにがあったか知ってる!
気持ちは分かる。
だから電話でいいからふたりで話し合いなさい。
すぐに!」
ぼく、ぜったい答えない。
「麻衣ちゃん、ずっと泣いてた。
みんな自分が悪いって・・・
ちゃんと家の前まで行ったって説明した」
ぼくの家の前、通り過ぎた車のうちの一台・・・
麻衣ちゃんだったの?
だけど停車した車なんか、一台もなかったよ。
みんな通り過ぎてったんだ。
「玄関の前で自分を待ってる健のこと、ハッキリ見えたそうよ。
そうしたら三年前、健を傷つけたこと思い出して、どうしても車が停められなかった。
そうわたしに話してくれた。
ずっと泣きながら・・・」
ぼく、なにも答えなかった。
「責任はヨシ君や山宮の伯父さんにあると思う。
警察庁に特別捜査部を新しく設置することになった。
未来の警察庁幹部として、警察庁長官も視野に女性捜査員を育成することになった。
ふたりはね。
わたしの親友の娘だし、健とも姉弟のように仲がよかったから麻衣ちゃんに白羽の矢を立てたの。
将来は親戚関係になる可能性も高いからって・・・
麻衣ちゃんにも直接話をした。
『スコットランドヤード大学に入学して、将来の警察庁幹部の候補生になってもらう』
将来、健と結婚すれば身内だなんて、突っ込んだ話までした。
麻衣ちゃんは、母親と同じ特捜検事をめざしてたからいきなりそんな話がきて迷ってた。
いざ、健との結婚の話が出たら、いくら幼馴染でもすぐに結論なんか出せないでしょう。
健には冷たくなったように見えたかもしれない。
だけどそれは、将来のことで色々悩んでたから!
麻衣ちゃんもね。将来は健と結婚すること考えてた。
だけど健の小さい頃をよく知っていたし、年の離れた可愛い弟って思いもずっとあった。
すぐに健のこと、正式な婚約者と認めることができなかった。
獅子内記者といたのは、色々と相談に乗って欲しかったから・・・
ロンドンに着いてしばらくしてからね。
やっと自分の気持ちが整理できたから健に電話したんだって。
健のプロポーズにハッキリ答えようって!
でも番号を変えたと知って、一晩泣いたそうよ」
初めて聞く話・・・
麻衣ちゃんってさ。
ぼくがなにもできないってストレートに言ってた。
いろいろ悩んでたんだ。
ぼくには悩みなんか相談できないってがっかりしてたんだ・・・
ぼく、ずっと麻衣ちゃんの後ろについていくだけだったから・・・
なにも助けられなかったんだ。




