月影サキさんのこと、「先輩」って呼んだこと!②
先輩ったらポカンって口開いた。
初めて見る表情。
すぐに唇を大きくねじ曲げる。
「君、名前は?」
ぼく、黙ってる。
「言いたくなくても言って!」
先輩が一歩、前に出た。
大きな目が大きくつりあがった。
「日下健です」
「中学生?」
「三年です」
「いい子じゃん。優等生で・・・」
先輩とぼくの目!
正面から見つめ合った。
「バカヤロー」
楓の枝が左右に揺れる!
残った葉っぱがぼくらの近くに舞い落ちる。
襟首つかまれてた。
「子どものくせにエラそうに」
そのまま強く押された。
ぼくの体、土の上。
仰向けに倒れた。
ぼくのすぐ前。
先輩ったら仁王立ち。
瞳がこわいくらいに赤く見える。長いまつげが鋭いナイフのように突き出て見えた。
短いスカートの裾からレースのパンティがですね。
丸見えなんですけど・・・
マシュマロのような太腿がピクピクと深呼吸・・・
「あたしのこと先輩だって・・・」
ぼく、すぐに起き上る。
先輩ったら、ぼくの胸を靴の先で強く押す。
また倒れちゃった。
「ぼくより大人なのに悪いことしてるじゃないですか!」
必死で言い返す。
だって本当だもの。