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第7話 中二病的ネーミング

 裏取引事件の後、王国騎士団に入る為パドレーに師事を受け、本格的に修行を開始したアイバーン、ジア、ブレンの3人。


 元々才能のあったジア、ブレンの上達は勿論の事、特にアイバーンの成長ぶりには目覚しいものがあった。

 そしていつしかアイバーン達は、12歳になっていた。


 いつもの様に行われている模擬戦トーナメント。

 既に決勝進出を決めたジアとの対戦権をかけて、アイバーン対ブレンの準決勝戦が行われようとしていた。


「行けー‼︎ ブレンの兄貴ー‼︎ 今日こそはアイバーンに勝ってくれー‼︎」


「負けないでアイく〜ん‼︎ ブレンなんか返り討ちにしてやってー‼︎」


 相変わらず女子からの声援が多いアイバーンに対し、アイバーンへの妬みからブレンを応援する男子達。

 これもいつもの光景である。


「アイバーン‼︎ 今日こそは俺様が勝ーつ‼︎」


「もうそのセリフは聞き飽きたよ、ブレン。いつものようにお前に勝って、決勝でジアと戦うのは僕だ!」


「だそうですがジアさん。どちらが勝つと思いますか?」


 まるでインタビューのように、ジアに尋ねる少女。


「ブレンも決して弱くは無いんだけどね。ただ、あたしとアイ君が別格に強いだけよ」


 そして戦いは、一瞬で決着がついた。


「そこまで‼︎ この勝負、アイバーンの勝ちとする‼︎」


「どチクショー‼︎」


 負けたブレンが逃げ去って行く。


「兄貴ー‼︎」


 後を追う、子分達。


「嘆きの丘、1名様ご案な〜い」


「やっぱり残ったのはこの2人だー!」


「今回はどっちが勝つかなー?」


「2人の対戦成績はどうなってるんだっけ?」


「確か12勝対11勝で、アイ君の方がひとつ多く勝ってるよ」


 それを聞いたジアが気合いを入れ直す。


「今日勝って五分に戻してやるわよ! 来なさい、アイ君!」


「フフッ、僕の方が多く勝ってるんだから、行かせて頂きますだろ。ジア?」


「うるさいわね! 多いって言ってもひとつだけじゃないのさ! 殆ど互角みたいなもんよ!」


 そんなジアを茶化す子供達。


「でも最近10試合の対戦成績では8対2で、アイ君の方が圧倒的に勝ってるんだよね〜」


「外野、うるさい‼︎」


 そして、アイバーン対ジアの決勝戦が行われる。


《ウインドソード‼︎》


 試合開始早々、風を剣の形にして放つジア。


《アイスウォール‼︎》


 氷の壁を作って、風の剣を防御するアイバーン。


《アイスフィールド‼︎》


 アイバーンの足下から地面が凍り付いて行き、その氷の波がジアに迫る。


《フライ‼︎》


 空に逃げるジア。


《アイスニードル‼︎》


 凍り付かせた地面より、無数の氷の針がジアに向かって伸びて行く。


《トルネード‼︎》


 竜巻により、氷の針を切断して行くジア。

 アイバーンの背後に降り立ったジアが、アイバーンに斬りつける。


「もらった‼︎」


 しかし、ジアの短剣がアイバーンに触れた瞬間、アイバーンの姿が揺らぎ消えて行く。


「残像⁉︎」


 ジアの更に背後に突如現れるアイバーン。


「アイスミラージュだ!」


 大剣を振り下ろそうとしたアイバーンだったが、いつのまにか全身を風のロープに絡めとられていた。


「ぐっ!」


「チャーンス!」


 短剣をぐっと後ろに引き、ビリヤードのキューを構えるような格好になるジア。


風刃一閃(ふうじんいっせん)‼︎》


 短剣の周りに風を高速回転させて、突きを繰り出すジア。


《インフェクションアイス‼︎》


 ジアの短剣がアイバーンの身体に触れた瞬間、逆にジアの短剣が凍り付いて行く。


「ヤバッ!」


 慌てて後ろに飛び、全身が凍り付くのを回避するジア。

 そしてしばし、膠着状態が続く。


 そんな2人の攻防に大歓声が起こる。


「凄〜い‼︎ 相変わらずアイ君とジアの戦いは白熱するな〜!」


「頑張れジアちゃーん‼︎」


「アイ君も負けるなー‼︎」


「ちぇっ、せっかく新技まで繰り出したってのにさ。まさかアイ君まで新技で返してくるなんてね?」


「フフッ。ジアがどんどん強くなって来たからさ。僕も常に進化して行かないとね」


「む〜っ! 何かその言い方だと、もう既にアイ君の方が格上みたいに聞こえるじゃないのさー⁉︎」


「ん? そのつもりで言ったんだけど?」


「ムカツク! なら、今のあたしの取って置きを見せてあげるわ!」


 そう言って大きく息を吸い込んだジアが、まるで龍のような唸り声を上げる。


「ガアアアアー‼︎」


「ぐっ! な、何だ⁉︎ 身体の自由が……」


「これが最近編み出したあたしの取って置き、《龍鳴風烈(りゅうめいふうれつ)》よ‼︎」


「龍鳴風烈?」


「声帯に魔力を込め、風魔法と融合させて叫ぶ事によって敵にダメージを与える技よ。あいつらに捕まった時に何も出来なかったのが悔しくて、手足を動かせなくても攻撃する方法が無いかと思って編み出したのよ」


「凄いね、ジア」


「フフンッ。まあもっとも、今はまだせいぜい一瞬相手の動きを止めるぐらいの威力しか無いけどさ……いつの日か、叫ぶだけで敵の息の根を止めれるぐらいになってみせるわ!」


「物騒な技だな〜。でもそれって、身体の弱いジアには向いてない技じゃないか?」


「大丈夫よ。大きな声を出してたら健康になるってテレビでも言ってたからさ」


「信憑性の無い根拠!」


「信じる者は藁をも掴むのよ! もう一度食らいなさい! 《龍鳴風烈‼︎》」


 おかしなことわざを言いながら、再度雄叫びを上げるジア。


「ぐっ! やはり動けない……マズい!」


 ジアの雄叫びの効果により、動けないアイバーン。

 アイバーンにトドメを刺そうと、雄叫びを上げながら近付いて来た時。


「ガアアアアー、ガッ! ゴホッ! ゴホゴホゴホッ! ゔぇえええー‼︎」


 ジアは思いっきりむせた。







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