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第5話 公開羞恥プレイ

 早くも独走状態のジア&メリア組を、本部席に居る教官達が感心していた。


「凄いな、あの2人! さすがは校長の娘、という事ですかな?」


 隣に座っているオーク校長を見る教官。


「まあね〜。メリアちゃんならこれぐらいの試練は問題にならないわ。むしろ驚くべきはパートナーのジアちゃんよ。今日組んだばかりでいきなりウチのメリアちゃんと波長を合わせられるなんて、さすがはパドちゃんが鍛えただけの事はあるわね〜」


 ジア&メリア組が半周を過ぎようとしていた頃、未だスタート地点に居るアイバーン&ブレン組。


「オイ! いつまで固まってるつもりだ⁉︎ 早く動かないと、何もしないまま終わってしまうぞ?」


 アイバーンが凍ったままのブレンに訴えていると、ブレンを凍らせていた氷が砕け散り、中から現れたブレンがアイバーンに文句を言う。


「いや、急いでんなら見てないで氷を解除しろよなっ!」


「今から普通に走ったんではジア達に追いつけない」


「スルーかよ⁉︎」


「俺にひとつ案があるんだが、乗るか?」


「お? おう! あいつらに追い付けるなら、何だってやるぜ!」


 その後、腹這いに寝そべったブレンの背中に乗っているアイバーンの姿があった。


「乗ってんのオメェじゃねーかっ⁉︎」


「上手い事言うな?」


「どういう事だよこりゃあ⁉︎」


「何でもすると言ったじゃないか?」


「言ったがこれはただのイジメじゃねーかっ!」


「バカがバカを言うな」


「バカがひとつ多いわっ!」


「ちゃんと考えがあってのこの形だ。俺が氷でレーンを作り続け、お前が足から炎を噴出させて加速する。そうすればジア達にもすぐに追い付ける筈だ」


「け、けどよー」


 ブレンが渋っていると、ジア&メリア組が1週目を終えて、アイバーン達の背後から迫っていた。


「見ろ。お前が早く決断しないから、ジア達に周回遅れにされてしまうぞ?」


「ぐ、ぐぬぬぬぬぬー」


 アイバーン達の存在は、ジア達も気付いていた。


「アイ君達、まだこんなとこに? てか、何でブレンはアイ君に踏みつけられてるのさ?」


「既に1週の差が付いた。最早逆転は出来まい」


「油断しないでメリア! アイ君は必ず何か仕掛けて来るわ。気を付けて!」


「了解した!」


 アイバーン達がもたついている間に、その横をすり抜けようとするジア達。

 だが次の瞬間、ジア達は何か見えない壁にぶち当たり、弾き返されて転んでしまう。


「いったあーい‼︎」


「な、何だ⁉︎ 何かあるぞ?」


 ジア達が頭を押さえながら起き上がると、何も無かった空間に突如氷の壁が現れ、ジア達を囲って行く。


「何だ⁉︎」


 ジアとメリアの2人は、四方は勿論上も下も全て、完全に氷に囲まれていた。


「しまったー! またアイ君の幻術にやられたー!」


《アイスプリズン》

「悪いが俺達が追い付くまで、しばらくそこに居てくれ。さあ、今のうちだ! ブレン!」


「チッ! 分かったよ!」

《ロケットブースト‼︎》


 まるで昔のロボットのように、足の裏から炎を吹き出し加速するブレン。

 そのブレンの背中の上に立ち、サーフィンのように巧みに氷とブレンを操り、猛スピードでコーナーを曲がって行くアイバーン。


「ほう。スタイル的には少々問題になりそうな構図ですが、あの2人も中々やりますな⁉︎」


「ウフフ。やっぱりパドちゃんとこの子達はみんな面白いわね〜」


 その勢いのまま1週目を周り、未だ氷の棺に囚われたままのジア達を抜き去り、遂に先頭に立つアイバーン達。


 その頃、氷の棺に閉じ込められているジアとメリア。


「ふむ。やはり素手で砕くのは難しそうだな。ならば、私の電撃で!」


「やめてよね! こんな狭い空間で電撃なんか放ったら、あたしまで感電しちゃうじゃないのさー⁉︎」


「だが、ならばどうするのだ⁉︎ 氷に抱きついて溶かすのか?」


「いや、何時間かかるのよ⁉︎ ここはあたしに任せて!」


 右手を後ろに引き、まるで剣を持っているかのように構えるジア。


「アイ君の氷ってば一点に集中させてる時はかなりの強度だけど、広範囲に展開してる時は意外に脆いのよね〜」

《風刃一閃‼︎》


 右手に風の渦をまとい、ドリル状にして氷の壁を殴り付けるジア。

 すると、ジアが殴った箇所からヒビが広がって行き、氷の棺が全て粉砕される。


「おお! やるじゃないか、ジア!」


「あたしはアイ君の氷を何度も見てきたからさ。これぐらいは朝飯前よ」


「よし! ではすぐに彼等を追いかけよう!」


「え、ええ」


 追撃しようとするが、一瞬めまいを起こしフラついてしまうジア。


「大丈夫か? ジア」


 それを見たメリアがひょいとジアを抱き上げ、お姫様抱っこする。


「んなっ⁉︎ なななな、何やってるのさメリア⁉︎」


 顔を真っ赤にするジア。


「ん? 少々お疲れのようだったのでね」


 平然と応えるメリア。


「つ、疲れてないわよ! お〜ろ〜し〜て〜‼︎」


「ハッハッハッ! なあに、私は子供の頃から鍛えている。だから遠慮するな!」


「遠慮とかじゃな〜い‼︎」


 ジアにのみ、新たな試練が課せられたのだった。




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