第17話 占いって信じる?
ジアが前に出ると同時に、敵側もひとりの男が前に出て来る。
「俺っちの名はダス。オメェの名は?」
「あたしはジアよ!」
「オメェの戦いぶりは見せてもらった。だから油断はしねぇ!」
ダスが胸のペンダントを引くと、アイバーンと同じ大剣型の魔装具が現れる。
「アイ君と同じタイプの魔装具⁉︎ 丁度いいわ」
同じく胸のペンダントを引いて、2対の短剣型の魔装具を構えるジア。
「あんたには、仮想アイ君のスパーリング相手になってもらうわ! かかって来なさい!」
「更に魔装ダス‼︎」
ダスが叫ぶと、ダスの足元に魔方陣が現れ、鎧が装着される。
「いきなり魔装した⁉︎ 油断するなよ、ジア‼︎」
「油断? あたしが油断するのは、ブレンと戦う時だけよ!」
「うおぃ‼︎ さっきのセリフはどこ行ったー⁉︎」
意識が朦朧としながらも、しっかりツッコミを入れるブレンであった。
「オメェは魔装しねえのか?」
「あんたが魔装するに値する相手だと判断すれば、見せてあげるわ!」
「言うでねえか? それとも、それはあくまでハッタリで実はまだ魔装できねえという可能性もあるだがな」
何も言わず、ニヤリと笑うジア。
「まあどっちにしろ、俺っちが油断する事はねえダス! 行くダス!」
大剣を大きく振りかぶり、ジア目がけて振り下ろすダス。
「くっ!」
剣で受けるのは危険と判断したジアが、咄嗟に後ろに飛んでダスの大剣をかわす。
「いい判断ダス。でもここからダス! 《アイスフィールド‼︎》」
ダスの大剣が刺さった所から地面が凍り付いて行き、その輪がジアの着地地点に迫る。
《エアバースト‼︎》
着地する前に足の裏で空気を破裂させて、宙に浮いたまま一気にダスの間合いに入るジア。
「でやっ‼︎」
前方にクルリと一回転して、2本の短剣で同時に斬りつけるジア。
それを大剣を横にしてガードするダス。
「あの状態から逃げねえで逆に仕掛けて来るなんて、やるでねえか⁉︎ だがなっ‼︎」
力任せに大剣を薙ぎ払うダス。
クルリと後方に一回転して剣をかわしたジアが、フワリと氷の上に降り立つ。
しかしジアの足は地面には着いておらず、僅かに隙間が空いていた。
「そんな小せえ剣じゃあ、俺っちのこの大剣には勝てねえダス」
「単純な力比べならね!」
短剣の刃に風をまとわせて、右手を振りかぶるジア。
《風刃一閃・斬‼︎》
ジアが短剣を振り下ろすと、刃を包んでいた風が伸びて巨大な風の刀身となり、ダスに遅いかかる。
「グウッ!」
それを何とか大剣で受けるダス。
ダスのガードが上に行った隙に、左手の短剣を横に薙ぎ払うジア。
《アイスウォール‼︎》
その刃を氷の壁で防ぐダス。
今度は右手の短剣を、フェンシングのように突き出すジア。
《風刃一閃・突‼︎》
剣先から一直線に伸びた風の渦が、遂にダスの腹に炸裂する。
「グフウウッ‼︎」
その勢いで、数メートル後方に飛ばされるダス。
「み、見事な連撃ダス。魔装してなかったら危なかったダス。やはりオメェは油断ならねぇダス」
多少鎧が傷付いただけで、ダス自身にはダメージは無かった。
(やはり魔装。防御力が上がるというだけでも厄介ね……)
ジア達の周りを取り囲むように待機している魔獣達をチラリと見るジア。
数体の魔獣がピクリと反応する。
(行けそうね……なら!)
「あんた! 油断しないとか言う割には、いい判断だのやるじゃないかだの、結構上から目線で言ってくれるじゃないのさ⁉︎」
「それは当然ダス。だって俺っちの方が明らかに強いんダス」
「まだ決着もついて無いのに、何で言い切れるのさ⁉︎」
「オメェが魔装できないっていうだけでも、既に差があるダス」
「だから! 魔装できないとは言ってないでしょ⁉︎」
「ほう? なら待っててやるダスから、早く魔装するダス」
「そそ、それはあんた次第って言ってるでしょ?」
「やっぱりできないダス」
「で、できるわよ! ただ今日は魔装しちゃダメって占いに書いてあったからやらないだけよ!」
「いや、占い依存症ダスかっ⁉︎」
「あたしの魔装が見たかったら、この攻撃を防いでみなさい!」
そう言って再び短剣に風をまとわせ、右腕を振り上げるジア。
《風刃一閃・斬‼︎》
先程と同じように巨大な風の刃で斬りつけるジア。
「これはさっき防いだダス!」
また同じように大剣でガードするダス。
続けて左腕の短剣を横に薙ぎ払うジア。
「これも同じダス! 《アイスウォール‼︎》」
同じく氷の壁でガードするダス。
《風刃一閃・突‼︎》
まるでさっきの動きを再現するかのように、凝縮した竜巻を剣先より放つジア。
「今度は食らわないダス! 《ブリザード‼︎》」
ジアの竜巻に合わせるように、小さく集中させた吹雪をぶつけて相殺するダス。
「芸が無いダスな? いくら魔力が強くても、同じ攻撃では簡単に防げるダス……と、思わせといて!」
急にその場から飛び退くダス。
すると、先程までダスが居た地面から、巨大な竜巻が立ち昇る。
「これが本命ダスな? 同じ攻撃と思わせといて、最後に変化を付けて来る。考えたダスが、俺っちには通用しなグハアアッ‼︎」
何と、ジアが空けた大穴からいきなりサイクロプスが現れ、ダスを殴り飛ばした。
「残念でした〜! さっきの竜巻は、この子をあんたの近くに移動させる為の穴を掘るのが目的でした〜!」
「ま、魔獣を使うなんて、ズルイダス〜」




