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第11話 分け前の前って何?

 気付かれない様に、こっそりジアの後をつけるアイバーンとブレン。


「完全に街とは逆方向に向かってる。やはりおかしい」


「川で水浴びでもするんじゃねぇか?」


「犬かっ!」


「イノシシかもしんねぇだろ⁉︎」


「どっちでもいいっ!」


 そして遂に、街を囲っている巨大な壁の前までやって来たジア。


「こんな所に来て、何をするつもりなんだ?」


「壁当てじゃねぇか?」


「友達の居ない子供かっ!」


 すると胸のペンダントを引き、短剣タイプの魔装具を具現化させるジア。


「魔装具⁉︎ 何故こんな所で魔装具を⁉︎」


「穴掘って宝物隠すんじゃねぇか?」


「だから犬じゃないと……」


 アイバーンとブレンが漫才をしていると、飛行魔法でフワリと浮き上がったジアが、一気に壁を越えて街の外に出て行ってしまう。


「ジアの奴、街の外に出やがったぞ⁉︎」


「子供だけでは街の外に出るなってパパに言われてるのに、どういうつもりだ? ジア……」


「どうする? アイバーン! 俺達も行くか?」


「当たり前だ! これは只事じゃ無い。必ず真相を突き止めないと!」


「でもどうすんだ? 俺達は飛行魔法使えねえぜ? 壁をよじ登って行くのか⁉︎」


「バカ! 僕達は幻術で姿を隠せるんだ。正門から堂々と出て行けばいい」


「おー! 頭良いな、アイバーン!」


「お前がバカなだけだ、ブレン」


 アイスミラージュで姿を隠し、他の冒険者が通過する為に門が開いた隙を狙って、素早く外に出るアイバーンとブレン。


「ジアの奴、どこ行った⁉︎」


 ジアが飛び越えた壁の辺りまで来たアイバーン達が、周りを見渡しジアを探す。


「居た! あそこだ!」


 空を指差すアイバーン。

 その先に、未だ飛行魔法で空を浮遊しているジアが居た。


「追いかけるぞ!」


「おう!」


 ジアに気付かれないように、木の陰に隠れながら追いかけるアイバーンとブレン。


「降りるぞ!」


 スウッと洞窟らしき穴の前に降り立つジア。


「洞窟?」


 その穴の中へ入って行くジア。


「あそこが巣穴か⁉︎」


「熊かっ! 後を追うぞ!」


 ジアの後を追い、洞窟の中に入って行ったアイバーン達が見たのは、驚愕の光景だった。


「魔獣⁉︎」


「な、何て数だ⁉︎」


 そこには下位ランクとはいえ、大小様々な魔獣達が所狭しとひしめき合っていた。

 そんな魔獣達に襲われる事無く、その中を悠然と通り抜けて行くジア。


「ど、どうなってんだ⁉︎ 何で魔獣達はジアを襲わねぇんだ⁉︎ ジアって召喚士じゃねぇよな?」


「その筈だ。姿を隠してる訳でも無いのに、一体どういう事だ⁉︎」


 壁に辿り着いたジアが、魔獣に優しく語りかける。


「ゴメンねみんな。またちょっと魔石を取らせてもらうね」


「魔石、だと?」


 そう言うと剣先に風を高速回転させ、まるでドリルのように岩に埋まった魔石を採掘して行くジア。


 その光景を見て、理解したアイバーン。


「そういう事か」


「ん? どういう事だ? あ、オイ! アイバーン⁉︎」


 隠れるのをやめ、ジアの前に姿を見せるアイバーン。


「ジア!」


「キャッ! ア、アイ君⁉︎」


 いきなりの声に驚いたジアが振り返る。


「俺様も居るぜ?」


「ブレンまで?」


「グルルルルー‼︎」


 大人しく寝そべっていた魔獣達が、ブレンの姿を見た途端に一斉に唸り声を上げる。


「何で俺様にだけ威嚇すんだよ‼︎」


「待って! 彼等は敵じゃないわ!」


 ジアが手をかざすと大人しくなり、また各々楽な姿勢になる魔獣達。


「まあ、ブレンは別に襲ってもいいけど」


「オイっ‼︎」


「2人共、何でここに?」


「ジアの後をつけて来た」


「なあに? ストーカー?」


「茶化すな。食料の入手ルートが怪しかったからな。つまりここで採掘した魔石を街で売って、その金で食料を買ってた訳か?」


「そ、そうよ。だってあたしひとりで街の外に出てるなんて言ったら、パパに怒られるからさ」


「それはまあ分かる。だが分からないのはこの魔獣達だ。何故この魔獣達はジアを襲わないんだ? こいつらはみんなノラだろう?」


「あー、それがさ。あたしも初めは魔獣が居ない時を見計らって魔石を採掘してたんだけどね。ある時運悪く魔獣と遭遇しちゃってさ。それで倒そうと思って気合い入れたら、どういう訳かその魔獣になつかれちゃってね?」


「そーいやジアって、すぐ犬や猫になつかれてたもんなー?」


 あっさり納得するブレン。


「いや、犬や猫とは訳が違うだろう? 相手は意思を持たない召喚獣なんだぞ⁉︎」


「そうなんだけど、それからどんどん他の魔獣達にもなつかれるようになってさ。この子達はただここで魔力を補充してるだけだから、それなら無理に倒さなくてもいいかなって」


「それでその間に魔石を採掘してたという訳か」


「うん。ねえお願い、パパには言わないで! パパにバレたら絶対に止められちゃう! 子供達にいっぱいご飯食べさせてあげたいの!」


 手を合わせて懇願するジア。


「そりゃあ俺様だって美味いメシは食いたいけどよー。黙ってたのがバレたら俺様までパパに怒られちまうしよー」


「魔石を換金したらブレンにも分け前あげるよ?」


「この事は俺達だけの秘密だ!」


「ありがと、ブレン」


「あっさり買収されるなー‼︎」


「アイ君にはほっぺにキスしてあげるよ?」


「何だと⁉︎ ではしょうがない……て言うかああ‼︎」


「ふ〜ん、そう。なら、アイ君も今街の外に出てるんだから、これはもう共犯よね〜?」


「んなっ⁉︎ し、しまった! そうだった……これは僕達3人だけの秘密だ!」


「「オー‼︎」」


 あっさり寝返るアイバーンであった。







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