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かばわれるぽんぽこ

「いやぁ、あの時は焦ったねぇ。無害な生き物だってことで神殿から見逃してもらったのに、まさか魔獣だったなんてよ」

——魔獣?

「あの時はな、魔力を扱える動物はみんな魔獣として分類してたんだよ。もちろん、例外はあるが。新種の生き物で、少ない前例があの【災厄の獣】だ。神官が動揺しても、仕方がなかった。他の連中も、いくらか怯えてたしな」

——しかし、閣下は大丈夫だと主張したんですよね。

「まあな」

——理由を、お聞かせいただいても?

「かまわねぇよ、つっても単純な話だ。あの時、茶色はまだ一つも悪事を働いていなかった。それに、人間を噛みもしない大人しい奴だ。ちぃとばかし他の動物と違うからって、突然駆除されるのはな。ほら、あんまりだろ?」

——成る程。

「とはいえ、結果論だ。俺は……いざとなったら、まだ殺せると思ってかばったんだよ。それに、前も言ったが実家の犬に似てたしな」

——しかし、神官殿は反対したのでは?

「本音のところでは、早々に処分すべきと思ってただろうよ。だが、幼いものを殺すのは教義に反する。それがまだ罪を犯していないのなら、なおのことだ。俺が反対したのなら、それを押しのけて殺せと主張はできなかったわけ。しばらくは、ずーっとぎくしゃくした空気だったよ。ま、そもそもあの頃は神官と騎士はそれほど仲はよくなかったけどな。だが、うちは友好的にやって行くつもりだったから、参ったね。茶色を気に入ってた連中はともかく、恐れ始めた奴らとはなんとなく距離ができたりもしてなぁ。あの時は、参ったよ」

——チーム内の、不和ですか。

「つっても、探索がメインの任務だ。多少のよそよそしさは、命に直結しない。茶色が普段通りであれば、徐々に緊張は溶けて行くだろうと思ってた。実際、そうなったしな。茶色が炎を操れることには驚いたが、それで俺たちを攻撃することもなかった。道中何度か神樹の種を回収したが、それに飛びつくのを邪魔しても。代わりにクッキーを食わせれば納得するんだから、お得なもんだよ。それに間抜けは相変わらずだったからな、過度に警戒するのも馬鹿らしい。そんなわけで、案外平和なもんだったよ。【災厄の獣】と、再びかち合うまではな」

——近代史の授業で、習いました。ゾウネーラの邂逅ですよね。

「あぁ、今はそんな立派な名前が付いているのか。俺たちからすりゃあ、ただの森で起きた話だが。いや、確かにあの時近くに都市ゾウネーラがあったのは助かったなぁ。今は、観光地になってるんだっけ?あそこ」

——獣の家ですか?観光地どころか、聖地扱いですよ。

「はは、どちらにせよ儲かるんだろ?まったく、|近代種«モダン»は逞しい。んじゃあ、俺たちがどうしてあの家に転がり込む羽目になったか、そこから始めようか」

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