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エピローグ

最終回です。

直前の話と同時投稿していますので、読む順番にご注意ください。

「……ねえ、優大。怒るかもだけど、一つ気になってることがあって」


 泣き止み、落ち着いた優大に対して、(つむぎ)が話しかけた。

 どうしても気になることがある。今聞くべきことではないかもしれない。でも、今なら優大は教えてくれると紬は思う。


「その、この間ね、お店に忘れ物しちゃって取りに戻ったんだけどね」


 優大は、その言葉に覚えがあった。

 休憩室で紬の忘れ物を見つけ、翌日の教室でそれを渡したからだ。

 だが、取りに戻ったというのは初耳だった。


「その時、優大と紗雪さんが、その……キス、してるの見ちゃって」


 疾風(はやて)にとっては初耳の情報で驚いたが、なんとか声を出さずに済んだ。紬と優大の顔を交互に見ているが、優大は顔を左手で覆っていた。


「あー……。見てたのかー……」


「……その、ごめん」


「……いや、紬が悪いわけじゃない」


「それで、聞きたいことはね」


 その言葉に、優大は首を横に振ることで答えた。


「あ、やっぱり言いたくない?」


「いや、その逆で。二人には話しておくべきだったかなって。

 こうなったのも二人のおかげだから」


 僅かばかり逡巡し、顔を少し赤くしている。泣いたせいではないと二人して思う。


「紗雪姉と付き合っている。

 ……その、夏休みに帰った時から」


 はっきりと言ってくれた。二人して「おおー!」と返してしまう。


「おめでと、優大!」


「おめでとうございます、優大君。

 でも水くさいですよ。どうして言ってくれなかったんです?

 もう二ヶ月も経ってますよ」


「なんか、言う機会が無くてな」


「あの頃から雰囲気が少し変わったかなって気はしてたけどね」


「付き合ってるようには全然見えませんでした」


「そういうの、皆が帰った後にやってたから」


「そこを紬ちゃんに見られてしまった、と」


「……二人に言い出せるいい機会になったということで、勘弁してくれ」


 そう言って、浅井が立ち上がった。


「ほら、ここでこうしててもいいけど、折角だから見に行こう」


 誤魔化してるな、と紬たちは思う。だけど、その提案に乗ってやることにした。


「そうだ、優大。も一個聞きたいんだけど」


「もう何でも答えてやるよ」


「……紗雪さんと、もうエッチした?」


「……ノーコメント」


 言ってるようなものだ。正直な奴め。


「ねえ、優大」


「今度は何だ」


「……怒った?」


「……怒ってないよ」


 胸が苦しいと紬は思う。

 だけれども、首の奥はもう痛くなったりしなかった。




 命短し恋せよ乙女。

 宇宙からの電波の助けは、もうこの三人には必要ない。




 ――― Fin.

ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回作書く前に後日談とか書くと思うけどブックマーク入れてご期待ください!


浅井と立川と早乙女のそれぞれの呼び方が前話で変わったので、それに合わせて地の文の個人名も表記を変えています。

こういうのやりたかったんだよこういうの。無意識で名字の方書いちゃってすげー書くの手間だった。


紬が7月末日の「やり直し」で首の奥の痛みというトラウマから解放されたことで、この三人のお話は終わりです。

後日談とか書くと思いますが(だからここで完結設定は無し)関係性としてはこれで完成。

テーマは男女間の友情だからね。

若干というか早乙女がかなり割りを食ってしまったの、自分の構成力の弱さというかロリ巨乳の方が好きという好みがダイレクトに反映されてしまったという感じで申し訳ないとは思いますです。

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