表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/34

レズカップルにお世話をされるのは好きですか? 1

三章です。よろしくお願いします。

 テスト勉強 みんなでやれば 怖くない


 絶対嘘だ。立川(つむぎ)は確信する。

 早乙女の教え方なんて可愛いものだった。見た目も可愛いしボクの恋人は最高かよ。

 恐ろしいのは浅井である。6月からの臨時講師。成績上位常連者、雲の上に住むスーパーマン。

 心が折れそうになる寸前で、巧みに早乙女を(けしか)けて強制的に癒させてくるのだ。そしてまた、心が折れる寸前まで勉強という名のハンマーで立川の脳を鍛えさせる。


 毎日だ。テスト前の放課後は毎日、早乙女と共に浅井の家に行った。三人が働いている喫茶店Mondnacht(モーントナハト)は、小仙上(こせんじょう)高校のテスト前の期間に合わせて午後休となるのだ。おかげで恐ろしく捗った。恐ろしいというのは捗ったことではなく、浅井の教え方についてだが。


 その結果、立川は今、牧に両肩を掴まれて身体を前後にシェイクされていた。


「ほ、本物の立川はどこに行ったの!? ウチと底辺争いをしていた立川の中身は!?」


 中身言うな。本物だよ。あとそうされると胸が揺れて結構痛いんでやめて欲しい。


 立川紬。二年次一学期期末考査 全科目で平均点越え。


 科目によっては、牧にダブルスコアまで付けていた。

 こういうの、足を向けて寝られないっていうんだっけ。


「どんなトリックよ……。胸の中に知識が詰まるように進化でもしたっていうのかよ……。やっぱ巨乳ってすげえや……」


 普通に、というか()()に努力しただけなので、そんなオモシロ人間にはなっていない。牧の巨乳信仰は相変わらずだった。




 もう7月だ、水着見に行こうぜ! そう言った立川に対して、牧の返答は芳しくなかった。


「あーゴメン。もう彼氏(ケンジ)と行く約束してんだー」


「あーそりゃそっかー。たかちーは大丈夫?」


 小鳥遊(たかなし)なら恋人もいないし、人付き合いも悪い方ではない。そう思って話を振るが、小さく首を横に振られてしまう。


「……私も先約がある」


「マジで!?」


 一体誰だ。牧を見る。牧は情報通だ。少なくともこの四人組の中では、最も学園内の情報に詳しい生徒だった。しかしながら、その牧は無言で首を横に振った。牧ですら知らないとなると、あとは張本人に聞くしかない。聞くしかないのだが、


「……それは秘密」


 小鳥遊はこういう時、中々に頑固だ。確証を得られた時や確実だという時は話してくれるので、上手くいったらきっと教えてくれることだろう。


「うーん……。疾風(はやて)、どうしよっか」


「せめて男避けは欲しいところだけど」


 一人だけ心当たりがある。あるのだが、一緒に行ってくれる気がしなかった。「例の彼はどうなんよ」と牧に言われるが、その例の彼が来てくれると思えないから悩んでいるのだ。


「立川」


 心臓が飛び出すかと思った。見上げる。首が痛い。ちょっと屈むかその身長を分けてくれ。

 心当たり。例の彼。声をかけてきたのはまさかまさかの浅井優大だ。信じられなかった。これは夢か。もしかしてこのテスト結果も夢で、現実では今回もいつも通り平均点を余裕で下回っているのではないだろうか。


「地獄坂先生が呼んでいる。職員室」


 単なるメッセンジャーだった。



 もしかして、カンニングしたとでも疑われているのだろうか。

 そんなことはやっていない。牧の言うように胸にカンニングペーパーを仕込んだりもしていない。

 やっていないことの証明ってどうやればいいんだろう。浅井に聞けば知恵を貸してくれるかもしれない。

 果たして、信じてもらえるだろうか。


 結論から言えば、ものすごく褒められた。

 立川の中間テストの成績でバイトの許可を出した地獄坂光を、他の教諭達は異端者かロリ巨乳に恨みでもある反巨乳信仰者ではないかという目で見ていた。その結果、立川は期末テストで大幅な成績アップを果たしたのだ。いやぁ小娘の気でも狂ったかと心配していたが見事な采配でしたな地獄坂先生!いやはや学年主任としても鼻が高い!

 浅井に勉強を教えてもらったのかを尋ねられ、どう答えようか考える。いや、そもそも地獄坂は立川が働いている喫茶店で、同じく浅井も働いているのを知っているのだ。そう考えるのは自然なことだったし、事実そうだから否定するようなことでもない。

 これは浅井の実績なのだ。立川は、その成果を掠め取る気にはならなかった。


 褒められるだけ褒められて解放された。これからもその調子でね、と一応程度に釘を刺されて。

 職員室前で待っていた早乙女と合流して教室に戻る。なんで呼び出されたんだろう。もしかして、本当に褒めるためだけだったんだろうか。



 立川紬は気が付かない。地獄坂光の最後の言葉。これからもその調子でね。これは成績の維持について言っていたのではないのだと。


 ―――浅井君と、これからも仲良くしてあげてね。


 立川紬は気が付かない。浅井優大と地獄坂光の間に、どんな因縁があるのかを知らないのだから。

地獄坂先生は地味にキーキャラです。全部書き終わった後に先生を主軸にした話を書きたいですね。

名前の由来はもちろん古○場の難易度HELL+このお話を思いついた時の敵の属性です。

闇なんて名前の姉妹がいるような裏設定はありません。本当です。信じてください。勝利を信じて!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ