戦いの結末
俺は、どうしても気になり戦闘現場へ戻った。
デカいアリとカマキリの戦いはどうなったんだ?
――ドカッドカッ……ガキンッ……!
「え……!?まだやってるのかよ!」
土煙と鎌の振動、衝撃音が谷間に響く。
デカいアリはぼろぼろで瀕死の状態だ。それでも立ち上がり、カマキリの攻撃を避け、頭突きで反撃する。
カマキリも傷だらけだ。デカいアリの俊敏さと、少しずつ当ててくる頭突きに苛立っている様子だ。
俺は後ろで息をひそめ、ただ戦いの行方を見守るしかなかった。
「ずるい……こんな状況でも、死にたくないなんて……」
カマキリの大振りの鎌が、ついにデカいアリを捕らえた。
――その勢いでデカいアリは谷の縁から吹き飛ばされ、土煙の中に消える。
「うそだろ……!」
俺は絶望で立ちすくむ。
谷底には何も見えない。あの勇敢なアリは、もう二度と戻ってこないのか……。
しかし、突然、土煙の向こうからカマキリの気配が迫る。
――とんでもない殺意を帯び、谷の縁を飛び降り、デカいアリを追っていったのだ。
俺は思わず声を上げる。
「ちょ……おい、まだ追いかけんのかよ!?」
巨大な鎌が空気を切り裂き、谷底の闇に光る。
カマキリの執念は狂気じみていた。
俺は立ち尽くしたまま、心臓の鼓動が止まらない。
デカいアリの生死は分からない。けれど、あのまま放ってはおけない。
「……次は、俺が見届ける。谷の底へ――」
俺は胸に決意を刻み、暗い谷底へと足を踏み出した。




