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新たなる一歩

「敬人〜君たちの住処、最近噂になってるよ〜。良い武器がたくさん出るって冒険者たちの間でも話題になってるよ〜」

神様が、今日も相変わらず緩やかな調子で声をかけてきた。


「……狙い通りだな」敬人は頷いた。「人間の街に行ってみたいが、今の姿じゃ流石にいけない。だからこそ、あちらから来てもらって情報や物を手に入れるのが一番いい」


神様はくすりと笑う。「人間は欲に弱いからね〜。良い武器や珍しい道具の噂が広がれば、自然と冒険者が集まる。敬人の生産スキルは、そのために十分すぎるほど役立ってるよ」


そのとき、洞窟の奥から地響きのような声が響いた。

「オレ、ダンジョン、マモル!!」

胸を張り、誇らしげに現れたのはデカいアリ――アリリマートだ。


神様は笑いを含ませて言う。「ああそうそう。最近は『死神のアリ』なんて噂も立ってるみたいだよ〜。気づいたらダンジョンの外に放り出されるって」


「フン、ただ気分で暴れているだけだ」敬人は呆れながらも、どこか安心したようにアリリマートを見る。「だが、パトロールありがとう。お前のおかげで、無用な侵入者を減らせている」


アリリマートは「ムフー」と鼻を鳴らし、さらに胸を張った。


「俺も上の世界を見てみたい」敬人は少し真剣な顔になる。「だが俺が直接行くわけにはいかない。だから――ムキムキスケルトンを派遣してみるか」


その言葉を聞き、天井近くに張りついていた巨大蜘蛛・くもりんが声をかけた。

「眷属は視野も共有できるのか?」


「ああ」敬人は答える。「ただし、共有している間は俺自身は無防備になる。だからアリリマートか、くもりんが近くにいる時じゃないと使えない」


「ほう……それは凄いな」くもりんは感心したように八つの目を瞬かせる。「我も眷属召喚はできるが、視野の共有まではできぬ」


神様は、またのんびりとした声で付け加える。「便利な力だね〜。でもリスクもある。その辺をどう使いこなすか……ま、それも君の工夫次第ってところかな」


敬人は静かに頷いた。

「……まずは様子見だ。ムキムキスケルトンを街の方へ向かわせ、視界を通じて外の世界を探る。そして――新しい眷属も探さないとな。いずれは人間の街に潜り込める存在が必要だ」


「なるほどな」くもりんが低く鳴いた。「ダンジョン内を探るのはそのためか」


「オレ、マダマモル!」アリリマートが大声を上げる。


敬人は笑みを浮かべながら答えた。「頼もしいな。お前たちがいれば、俺は安心して視界を預けられる」


そして彼は目を閉じ、ムキムキスケルトンの視界を開こうとした。

その先に広がる世界を思い浮かべながら――。


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