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経営始めました。

「よし……今日は新しい試みだ」

敬人は静かに立ち上がり、ダンジョンの中心で両手を広げた。骨の体が青白い光に照らされ、どこか儀式めいた雰囲気すら漂う。


「アリリマート、預けてた鉱石とか錆びてる武器出してくれ。武器生成に使う」


「タカト、ワカッタ!」

アリリマートは大きな顎をカチカチ鳴らしながら、ずるずるとコロスハコに近づいていった。


「ダセエエエエエエ!!ブキ!イシ!!ゼンブウウウウウ!!!」

カタコトながら、妙にテンションの高い叫び声と共に、ガラクタの山がコロスハコから吐き出される。


「ヒエエエエエエッ!!」

コロスハコが慌ててガラガラと震えた。まるで中身を引きずり出されるのが恥ずかしいかのようだ。


「お前はただの箱じゃなくて、立派な収納スキルの持ち主だろ?もっと胸張れよ」

敬人が笑いながら肩を叩くと、コロスハコは頬を染めたような声を出した。


「へ、へへ……タカトさんにそう言われると悪い気はしませんね!」


「それにしても」

空気を裂くように、天井からくもりんが糸を垂らして降りてきた。金属のように硬い糸が、キィンと光を反射している。


「……ゴミばっかだな。サビサビの剣に折れた槍。こんなんでほんとに“人気ダンジョン”になるのか?」


「そこからが俺の出番だ」

敬人の骨の指先が淡く光り出す。


――スキル《生成》。


カンッ、と乾いた音が響いた。すると、錆びた剣がみるみるうちに鋭く研ぎ澄まされ、刀身は青白い魔力を帯びて輝き始めた。折れた槍は、漆黒の刃を持つ魔槍へと姿を変える。


「おおおおお! ピカピカ! ツヨソウ!」

アリリマートが四本の腕をぶんぶん振って喜ぶ。


「さすがタカトさん……! こんなポンコツをここまで変えるなんて!」

コロスハコも感動でガタガタと震える。


「……まあ、悪くない」

くもりんが渋く言いながらも、鋼の脚で新しい槍を軽く弾いた。キィンと響く音は確かな強度を証明していた。


「これを各階層に配置するんだ」

敬人は生成した武器を抱え上げ、指示を出す。


「第一階層は初心者向けに短剣。第二階層には槍や盾を。さらに下層にはもっと強力な武器を置く。そうすれば冒険者も“宝探し”気分で潜りたくなる」


「ナルホド……! アソビ! オモチャ! タノシイ!」

アリリマートが何故か子供のように盛り上がる。


「……いや、遊びじゃなくてダンジョン経営だからな?」

敬人がツッコミを入れる。


「だが、置いた武器……盗られたらどうする」

くもりんが冷静に指摘した。


「それはそれでいい。武器は俺がまた生成できるし、ダンジョンの“ウリ”になる。むしろ盗られれば広まる。『あのダンジョン行くとすげぇ武器が手に入る』ってな」


「タカト……アタマイイ!」

アリリマートが大きな褒め声をあげる。


「へ、へぇ~! やっぱりタカトさんはすげぇや!」

コロスハコも完全に子分モードで同意する。


敬人は笑みを浮かべ、輝く剣を見つめた。


「これで……このダンジョンを人気スポットにする。俺たちが強くなるためにもな」


天井のどこかで、神様のヘラヘラした声が響く。


「おー、いいじゃんいいじゃん! どんどん作ってどんどん置いちゃえ! 僕、そーゆー“経営シミュレーション”大好きだからさ!」


「……神様、絶対ゲーム感覚だろ」

敬人がぼそっと呟き、仲間たちの笑いがダンジョンに響いた。

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