俺の命、残機制?
スケルトンになった俺……いや、流石にヤバくないか?
農民にも勝てないだろこれ。戦闘力5もない。
たぶん、ゲームだったら初期村の案山子より弱い。(笑)
──カタカタカタカタカタカタ。
「……あー、うるせえ!」
歩くたびに骨が鳴る音が耳につく。自分で自分にイラつくって、どういう地獄だ。
普通さ、転生したら神様からチート貰えて無双スタートじゃないの?
よし、こういう時は……「ステータスオープン!」
──しーん。
……はい、何も起きませんでした。
やっぱりスキルを取らないとダメなのか。困ったな。
自分の能力が分からないまま戦えなんて、無理ゲーにも程がある。
「己を知り、敵を知れば百戦危うからず」とか言うけど──
俺、己も知らなければ、敵はほぼ確実に自分より強い。つまり百戦百敗。
……考えすぎて、骨なのに頭痛がしてきた。
「とりあえず歩き回ってみるか」
しばらく進むと、目の前にヌルッとした影。
スライムだ。
ゲームだと可愛らしいマスコットキャラなのに、現物はなんかドロドロで生臭そう……。
「まあ、雑魚だろ。瞬殺して俺が最強って証明してやる!」
意気揚々と蹴りを放つ──
──ボヨンッ!
「あっ、やば……」
跳ね返された衝撃でバランスを崩す俺。
次の瞬間、スライムの体当たりが骨の胴体を直撃。
カラカラカラ……ガシャーン!
……暗転。
⸻
「おかえり(笑) こんなに早く戻ってくるとは思わなかったよ」
「……またお前か? 俺、まさか……」
「うん、死んだよ。最強(笑)のスライムに一撃で」
「嘘だろ……」
「まあ、君はニートだったから魂の強度なんてあってないようなもんだしね」
「じゃあ俺、消えるのか?」
「本来ならね。でも君は僕が担当した初めての魂だからサービス♪」
「……ありがたいのかどうか分からん。じゃあ次は最強の戦士にしてくれ!」
「それは無理。甘えちゃダメだよ。努力してこそ面白いんだ」
「いやいや! 毎回即死じゃ話にならないだろ!」
「それ、僕に言うのはお門違いじゃないかな? だから万年ニートなんだよ」
「ぐっ……」
「仕方ないな。少しだけサービスしてあげるよ」
「マジか!? よっしゃ──」
眩い光と共に、また新しい世界へ放り出される。
⸻
……ん?
カタカタ鳴らない? 足が……ない? 腕もない?
「ス……スライム!? ぷにぷにじゃん俺!」
見渡すと、そこは青空の広がる草原。洞窟よりはマシだが……。
そこへ、頭の中に心地いいアナウンスが響いた。
──《新たに鑑定Lv1を習得しました》
「おおっ!? スキル来た!」
早速、自分に鑑定を使ってみる。
【スライム Lv1】
攻撃力1 防御力1 魔力1 俊敏1 運28
スキル:鑑定Lv1
「……成程。最弱だな。運だけ高いって何だよ」
戦う気が一気に失せた、その時──草むらから冒険者が現れた。
「やべっ」
逃げた。
ぷにぷに全力ダッシュ。
必死に逃げた──気がつけば、また真っ白な空間。
⸻
「君は天才かい? どうやったらこんな短時間で2回も死ねるの?」
「いやいや、無理ゲーでしょ! オール1だぞ!? 成績表でオール1とオール5戦わせてみろよ、瞬殺だぞ!」
「君、運は高いんだけどなあ……」
「俺だって真剣に頑張ってんだよ!」
「どこが真剣なんだろうね?」
「お願いだ! もう一回チャンスをくれ!」
「分かったよ。次はそんな簡単に死なないでくれよ?」
「任せろ! 今度こそ──」
再び転生。
足元から……カタカタ、ミシミシ。
「ふざけんな! またスケルトンかよ!!」




