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眷属の力


 光が収まったとき、そこに立っていたアリリマートは、どこか以前よりも凛々しく見えた。

 いや、タカトの目がそう思いたいだけかもしれない。だが槍を握るその姿は、確かにひと回り強くなったように見えた。


「……アリリマート?」

「タカト。アリリマート。タカト ナマエ クレタ」

「お、おう。そうだな。俺がつけたんだ」


 いつものカタコトなのに、不思議と胸が温かくなる。すると、ふわりと声が降ってきた。


『ふふっ、敬人。よかったね。立派な眷属が生まれたよ』


 神様の声だ。楽しげに笑うその響きに、タカトは思わず苦笑する。


「……なんか、いまさら実感わいてきたな」


 アリリマートは槍を軽く構え、ぴくぴくと触角を揺らす。


「タカト。チカラ デタ。ミセタイ」

「お、お披露目ってことか? ……よし、やってみろ」


 そう言った瞬間、アリリマートの体がぶわりと揺れた。

 槍を正面に突き出す――ただそれだけの動作。だが、タカトの目には一本の槍が幾本にも分かれて見えた。


 ズバババババッ――!


 地面に無数の穴が空き、砂煙が舞う。連続の突きが空気を裂き、耳の奥がしびれるような衝撃が残った。


「なっ……!?」

「タカト。アタラシイ。レンソウゲキ!」

「連槍撃……!? 今の全部、一瞬で突いたのかよ……」


 信じられない光景に、タカトは口を開けたまま固まってしまう。

 目の前の地面には、同じ形の槍穴が幾十も並んでいた。


『ふふふっ、すごいじゃないか敬人。君の眷属、戦闘で頼りになりそうだよ』


 神様の声は、どこか誇らしげだ。


「……お前、すげぇな」

「タカト マモル。タカト ヨロコブ。ウレシイ」


 アリリマートは触角をふるふると揺らし、にこにこと笑っているように見えた。

 そののほほんとした様子と、地面に刻まれた無数の穴の対比が、タカトにはどうにもおかしくて――思わず吹き出してしまった。


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