何度転生しても…
ある世界に二人の英雄がいた。しかし、その二人はまだ、16歳ぐらいの男の子と女の子だった。
二人は世界中の人々の希望を託され魔王と呼ばれる存在を倒した。
しかし、二人は世界中の人々の前に姿を現すことはなかった。死んだかもしれないし、生きているかもしれない。行方知らずになってしまったのだ。
だから、世界中の人々は妄想を膨らませその二人の物語をたくさんかいた。一番有名な物語は、転生する話だ。人々は語り続ける。それが本当のこととは知らずに……
ある世界に不思議な子が生まれた。同じ年に二人も。
その子たちは、天才だった。教えたらすぐに覚えた。
しかし、二人の子は不思議な言動をすることも多かった。誰も知らない言語を話しているときもあった。そんなことももありながらも、二人はすくすくと成長していった。
二人は貴族に生まれていて、政略結婚をするのはきまっていた。二人の親は面白いことが好きな人たちだった。だから、天才と天才がくっついたら面白いのではないのか、ということで二人は婚約した。そして、数年後に結婚した。二人は他の人が知らない言語で話していた。二人はとても幸せそうだった。
しかし、その幸せな時間は続かなかった。二人が住んでいた国が侵略されたのだ。二人は敵国の兵士に殺された。
最後は二人は抱き合っていた。
ある世界に膨大な魔力を持っている子が生まれた。同じ年に二人も。
二人は幼い頃から魔力を正確に操った。幼いながら二人は国一番の魔法使いになった。
二人は別々の国に生まれていた。二つの国は、二人を戦争に使った。王の命令に逆らえなく二人は多くの命を奪った。そして、とうとう二つの国同士で戦争を始めた。
そこの最前線で二人は会った。二人はお互いを見て、驚いた顔をしてから泣いた。そして、話始めた。他の兵士たちは、二人の魔法に巻き込まれないように離れていた。だから、声が兵士たちのところには届かず、何を話しているかわからなかった。しかし、読唇術ができる兵士がいたため少しだが知ることができた。
「なんで、あなたがそっちにいるの!?」
「なんで、お前が敵側にいるんだ!?」
「「俺(私)たちは幸せになりたいだけなのに……」」
「なぁ、この戦争を終わらせないか?そして、また結婚しよう。」
「もう手遅れだよ。私たちは、人を殺しすぎた。」
「それでも、俺はお前を愛することができる」
「ううん、そうじゃなくて、私たちはもう国に利用されるだけの運命しかないんだよ。結婚すら許してくれない。でも、なんでこんな私を愛してくれるの?」
「俺はお前を魂から愛してるんだ。だから、お前の魂が変わらないかぎり、何度転生しても俺はお前を愛すよ。」
「なら、私を殺して。もう何度も転生してる。だから、また転生できるかもしれない。だから……」
「なら、お前も俺を殺せ。お前と一緒に転生する。」
二人は魔法使いが持っている護身用の小さいナイフを持ってお互いに近づいていった。そして、お互いの心臓の部分に突き刺し、倒れた。
二人は最後、お互いを抱き締めあっていた。
ある世界に武芸の天才が生まれた。同じ年に二人も。
二人は10歳ぐらいの頃から武芸を始めた。二人は様々な武器を使いこなした。特に、片手剣を使いこなした。そして、剣聖にも勝つほどの強さになった。
二人は同じ国に生まれていた。それに、同じ伯爵の位だ。だから、必然的に二人は婚約した。国中も二人が結婚すると、どんな剣の使い手が生まれるのか、と賑わっていた。
しかしまたもや、幸せは長く続かなかった。魔物の大群がどこからか出てきたのだ。二人は剣士、だからこの魔物の討伐に出た。二人が会ったのは、出発の直前が最後だった。二人は他の人を守って死んだ。
最後はお互いの名前を呼んでいた。
二人の転生はいつまで続くのだろう。これは、神のいたずらなのか? それとも、神の願いなのか。
ある世界に不思議な色を持つ子が生まれた。同じ年に二人も。
別々の国だ。身分も違った。不思議な色を持つ女の子は王族、不思議な色を持つ男の子は裏の仕事を受け持つ暗殺者一家に生まれた。
二人は順調に成長していった。
ある日、男の子にある命令が下される。
隣国の王女を殺せという……
男の子は殺すために王女の部屋に侵入した。しかし、そこには二人のメイドがいて悲鳴をあげようとしたから殺そうとしたとき、たまたま王女を見た。そして、驚いた顔をしていた。王女も目が覚めていて、驚いた顔をしていた。一人のメイドはこのとき冷静な判断をして、たすけを求めに行った。それすらに気づかないほど、男の子は驚いていた。
しかし、メイドがつれてきた兵士により、捕まり、王女を殺害しようとした罪で処刑された。
王女は、男の子が処刑された日に「みんなごめんね。私は愛する人と生きたい。」と、書いて果物ナイフで自殺した。
ある世界にとても頭がよく、剣術もできる王子と、暗殺術ができ、戦術も上手い女の子がいた。
女の子はある命令を受けた。隣国の王子を殺せと…女の子は王子の部屋に侵入した。
王子は起きていて、女の子を見ると、泣き笑いのような顔をした。女の子も。
「前とは立場が逆だね。」
「そうだね。」
「なぁ、今度こそは一緒になれないのか?」
二人が話していると、扉が開かれた。開かれたというより、蹴り破られた。
「王子!ご無事でしたか!侵入者を捕まえるので少々お待ちください!」
「ほら、また一緒になるのは無理。それに、私は暗殺者。多くの人を殺してきた。それにプラスして、私の性格も変わってきている。」
「待て!お前ら。……俺はお前を魂から愛してると言ったはずだぞ。性格が少しぐらい変わっても何も問題ないし、人を殺した?そんなの俺だって今までの人生で何度も人を殺してきたし。前も言った通り、俺は何度転生しても、俺はお前を愛してるよ。」
「私もあなたを愛してる。でも、この人生はもう終わりかな。」
女の子は兵に捕らえられ、牢に連れていかれた。
何日か後、女の子の牢の前に人が立った。
「おい!ここから出るぞ!」
「なんで、あなたがここにいるの?」
「父上からお前を出す許可をもらった。条件は、これからは王族ではなく、平民で暮らせだとさ。」
「いいの?それで。」
「あぁ。金も少しもらったし、何よりこれからはお前と一緒に生きれる。俺にとって、お前と一緒に生きれることは、一番幸せなんだ。ほら、いくぞ!」
二人は牢から出ていった。
そして、身分を平民にかえ、静かに幸せに暮らした。今度こそは、寿命まで…
これは、神のいたずらなのか、神の願いだかわからない。しかし、二人は何度転生しても諦めなかった。諦めないからこそ、未来がある。それを神は伝えたかったのではないのだろうか。
この話は、「何度、記憶をなくしても、俺はお前を愛すよ」という言葉から、想像を膨らませたものです。転生ものになってしまいましたが…こういう、カッコいい言葉がめっちゃ好きです!完全なる作者の趣味ですね。