9話
ユニーク100突破の記念と感謝を込めましての本日3話目の9話です!
討伐...ええ討伐です討伐ですとも!
「よし、それじゃあ到着したことだし、ゴブリン狩りを始めよう。今回は俺たちは基本的には指示とサポートしかしない。ゴブリンとの戦闘は不測の事態が起こらない限りはほぼ全てシュウヤにやってもらう。それでいいよな?」
「ああ、俺は問題ない」
「...」
「おっけー」
「よし、じゃあ行くぞ」
こうして、俺とフィリップたちのゴブリン狩りが始まった。
しかし、いくらゴブリンの巣窟と言われる森と言っても、割と頻繁に冒険者が来ているということもあり、ゴブリンとの遭遇率はさほど高くない。
そう考えると、昨日のあれはよほど俺の運が悪かったのかもしれない。
まあお陰で権能が使えるようになった事を考えれば結果オーライなのかもしれないが。
「はっ!」
気合を入れた掛け声とともに、飛びかかってくるゴブリンを剣で袈裟懸けに斬る。
もう既に二、三十体程は殺しただろうか。
流石にこれだけ倒していれば剣の扱いにも多少は慣れてくるし、ゴブリンに関していえば不意打ち気味に現れても慌てふためくようなことはなくなってきた。
「よし、剣の扱いは最初に比べればだいぶマシになったな。剣士としてはまだ未熟だが、護身レベルなら充分ってとこか」
剣士としてはまだ未熟とのことだが、別に剣士を目指しているわけではないし、権能のこととかを考えれば最低限の接近戦が出来れば問題ないだろう。
そろそろ剣ではなく、『創造』の権能を攻撃に生かした戦い方も試してみたいところである。
そんなことを考えながら今しがた倒したゴブリンからビーズくらいの大きさの魔石を取り出す。
魔物といえば色んな素材が取れるイメージがあるのだが、所詮はゴブリン。
ゴブリンから取れる素材はこのちっぽけな魔石くらいのものだ。
取り出したゴブリンの魔石を『亜空間収納』に放り込み、俺はフィリップに声をかけた。
「俺は剣士志望じゃないし、最低限護身レベルで剣での接近戦が出来れば十分だから次からは別の戦い方を試すことにするわ」
「別の戦い方?」
「ま、その辺は見てのお楽しみってやつだな」
一応、いつでも使えるように剣は『亜空間収納』にはしまわずに腰に帯びておく。
いつでも任意のものを取り出せるとはいえ、『亜空間収納』から剣を取り出すのと腰に帯びている剣を抜くのでは腰に帯びている方が早い。
さて次の獲物を探そうか、というところで、ちょうどよくゴブリンが現れた。
「ちょうどいいところに手頃な的が現れたな」
そんなことを呟きながら、俺は右手を開いて掌をゴブリンへと向ける。
そして頭の中で一つのイメージを描き、『創造』を発動した。
直後、右手からサッカーボール程の大きさの火球が現れ、ゴブリンへと飛んでいく。
「は...?って、おいシュウヤお前バカか!?」
現れた火球を見たフィリップが一瞬呆けたような顔をし、次の瞬間には慌てたようにそんなことを言ってくる。
だが、既に発射された火球が止まってくれるわけがない──まあ止めようとお前ば止められるが、止める必要も無い──。
流石に銃弾には及ばないだろうが、下手な弓よりは速度がありそうなその火球はあっという間にゴブリンへと命中した。
そして、命中と同時に火球が爆発し、ゴブリンだけを一瞬で焼き尽くす。
「ああ!!森で火魔法なんて使ったら燃え広がって大変なこ...と...に......は?」
「流石にその辺を考慮せずに使うほど俺も馬鹿じゃないっての」
火球の起こした爆発はそれなりの規模があるが、周りの木には一切燃え移ることない。
それに、もし燃え移ったら燃え移ったで速攻で火を『消失』させるか、水を『創造』して鎮火するかして大惨事になる前にどうにかする。
まあ幸いにも──といってもそうなるのは分かりきっていたが──イメージ通り、炎はゴブリンだけを焼いた。
俺はゴブリンの中で唯一炎に焼かれなかった魔石を回収し、『亜空間収納』の中に放り込んでからフィリップたちの方を振り返る。
すると、まるで『亜空間収納』の時と同じように、フィリップが驚愕の表情で固まっており、ガンツとカティも驚いたような顔をしていた。
「...はぁ、昨日の結界といい、さっきの無詠唱の変な火魔法といい、お前さんに常識を当てはめちゃいけない気がしてきたぞ」
フリーズ状態したフィリップはどこか遠い目をしながらそんな失礼なことを言ってきた。
しかも、フィリップの後ろではガンツとカティの二人もフィリップに同意するように頷いている。
「てかよ、確かに剣の戦闘はド素人だったが、魔法に関しては無詠唱も使えてあんなアレンジも加えられるとかどう考えても戦闘はド素人ってのは大嘘だよな」
(なるほどな、無詠唱はやっぱ珍しいのか。んで、魔法は熟練するとアレンジが可能と)
「あんま比較対象がいなかったし、戦闘経験もほとんど無かったからな。そういう意味ではド素人で嘘はないだろ?」
フィリップの発言から、この世界の魔法がどういうものかを頭の中で考えながら俺はフィリップにそう返す。
実際、ちょっとぶっ壊れ気味な『創造』の権能があるから強そうに見えているのだろうが、それがなかったら戦闘経験ゼロの一般人だ。
ただ、フィリップはそうは思ってはくれなかったようで、呆れたようにジト目を向けてきた。
「にしてもお前さん、さっきは上手くいったからよかったが、もし制御に失敗して火が燃え広がったらどうするつもりだったんだ?」
「ん?そりゃあもちろん水をかける」
フィリップの問いかけに、何を当たり前のことをと思いながらそう返し、右手を誰もいない木の方へと向ける。
そして頭の中でイメージをして『創造』を発動した。
すると、右手からまるでシャワーかなにかのように大量の水が飛び出し、右手を向けた先にある木を濡らした。
「水も使えて無詠唱かよ...。なんかお前さんが全属性使えるって言われても驚かない気がしてきたが、実際いくつの属性が使えるんだ?」
「んー...そうだな...」
(んー...フィリップたちには世話になってるし信用もできそうだし、しっかり口止めをすれば多少は問題ない、か?)
何属性使えるか、と聞かれてもこの世界の魔法属性はいくつあってどのようなものがあるのかが分からないから答えようはない。
まあ『創造』の権能の力で存在するなら全ての属性は使えそうではあるが。
とはいえ流石にそんなことは言えないし、フィリップたちを信用して口止めをしつつ、『創造』の一端を見せようかと思う。
「今から見せるものは他言無用、ギルドにも親しい人にも一切言わないって誓えるか?」
「は?あ、ん、まあ俺は誓えるぜ。そう言うってことは俺らのことを信用して実力を見せてくれんだろ?その信用を裏切るようなことはしねえと誓うさ」
「俺も誓おう」
「私も誓う」
俺の問いかけに、フィリップたちは殆ど迷うことなく誓うと答えてくれた。
それなら、と俺は少し位置を変えてフィリップたちが俺のやることをよく見えるようにし、右手を正面に突き出す。
「んじゃ、とっておきの大サービスだ。俺の使える属性を見せてやるから見逃すなよ?」
そう言って、俺は次々と頭の中でイメージをし、『創造』の力で具現化させていった。
『創造』の力はすべて問題なく発動し、俺の右手からは岩石で出来た槍、カマイタチの如き風の刃、紫電の雷光が飛び出す。
岩石の槍は大木に大穴を穿ち倒し、風の刃は倒れてくる大木を薪くらいの大きさに切り刻み、雷光は切り刻まれた薪に火をつける。
そして、最後に薪を燃やす火ごと全ての薪を薪を一つの氷の中に閉じ込めた。
「ま、こんなところだな」
俺がそう言ってフィリップたちの方を振り返ると、またもフィリップは驚愕の表情で固まっていた。
しかも、今度はあのガンツとカティさえも信じられないといった表情で動きを止めていた。
(初めてやったけど炎が炎のまま凍りつくんだなぁ)
『創造』の権能の影響なのかもしれないが、消えることなく炎として形を保ったまま凍りついている様子を眺めてそんなことを考えていると、程なくしてフィリップたちがフリーズから回復したようだ。
「基本四属性の火に水に土に風、それに上位属性の雷に氷の六属性...しかもそれを全部無詠唱でアレンジまでする。お前さんなんでそれでFランクなんだ?ランク詐欺だろ」
「いやそりゃ登録したてだからだろ。誰だって最初はFランクからだろ?」
「まあそりゃそうだけど...なぁ?」
実際には全部魔法ではないし、起こせる現象でいえばもっとあるのだが、流石にそれを見せると面倒な事になる予感しかしない。
まあフィリップの様子を見る限り、六属性を無詠唱で使える存在はありえないわけではなさそうなので、それを確認できただけでも見せた価値はあっただろう。
「まさか...ここまで常識外れとはな」
「びっくり」
ガンツとカティも驚きと呆れの入り混じったような様子で言ってくるが、先程常識に当てはめてはいけないなどと言ってきたのはフィリップたちである。
「さて、まあ剣はこれからも要練習ではあるが、まあ戦闘に関しては大きな問題はなさそうではあるし、今日はこのくらいで切り上げて帰ろうぜ?」
俺がそう言うと、とりあえずフィリップたち3人は俺だから、と割り切ったらしく──失礼な話である──いつも通りの様子を取り戻していた。
「ああ、そうだな。なんかもっと上位のでも問題なかった気もしなくはないが、とりあえずゴブリンはもう十分だろうな」
「うむ」
「最後ので色々とお腹いっぱい」
俺の提案に三人も同意してくれたことだし、俺たちはゴブリン狩りを終了して森を出て王都へと向った。
ちなみに、帰る時に遭遇したゴブリンも当然のことながら俺が全部片付けた。
戦闘シーン少なかったですかね?
なんかがっつり戦闘の予定が気付いたらこうなってました←
所詮ゴブリンはゴブリンということで、もっと大規模戦闘か強敵戦の時をお楽しみに!お楽しみに?
そして、どうせだからよく見るこの言葉を言わせて頂こうと思います!
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モチベも上がります!上がったからと言って更新速度が安定するとはいえないのが私ですけど!