5話
はーい三日連続投稿できてます5話です!
でも今は順調でも遠からず不定期になるのが私...
更新速度には期待せずに温かく見守ってくださると嬉しいです!
あ、それと三日目にしてPV500越えました!
皆さんが読んでくださるおかげです!ありがとうございます!
「んっ...くぅ...」
「おっ、目が覚めたみたいだぞ」
どれだけ意識を飛ばしていたのだろうか、目を覚ますと近くから聞き覚えのない声が聞こえてきた。
いくら下が柔らかめな草とはいえ、地面の上で気絶していたからだろう、体の節々に軽い痛みを感じながら体を起こして声の主を探して周りを見る。
「よお、新人冒険者さん」
だが、あちこちを見回るまでもなく、再度先ほどの声の主が声をかけてきたので、すぐに声の主を見つけることが出来た。
そちらに目を向けると、恐らく声をかけた張本人だろう。
どこか軽薄そうな笑みを浮かべた男と、後二人、男と女が一人ずつ、数十m離れたところから俺のことを観察するように見ていた。
「アンタらは?」
見たところ即座にこちらに危害を加える様子はなさそうだが、少なくとも意識を取り戻す直前までこちらを観察していたであろう相手だ。
それなりの警戒をしながら謎の三人組に声をかける。
「ん?俺らか?俺はフィリップ、Cランクの冒険者だ。そんで、こっちの無愛想な男がガンツ」
「ガンツ、Dランクだ」
「そっちの女がカティだ」
「カティ、Dランク、よろしく」
どうやら、謎の三人組はそこそこの経験のある冒険者パーティのようだ。
先程より警戒を緩めながら、俺も一応の礼儀として自己紹介を返す。
「俺はシュウヤ、ランクはF、登録したての新人だ」
「ん、オッケーシュウヤだな。まあその新人がなんでこんなところにいるかは予想がつくからどうでもいいとして。お前さんの周りにあるその不可視の結界みたいなヤツ?それがお前さんが張ってるものなら解除してくんねえか?なんとなくで安全距離はわかったが、見えないままじゃいつ踏み込んで迎撃されるか分かったもんじゃないからよ」
「不可視の結界?」
そう言われて周りを見回すが、特に結界のようなものがあるとは思えない。
まあ不可視とある以上目には見えないのだろうが、とりあえず目に入るのは冒険者三人組以外はあの真っ黒なオーラだけだ。
(ん?真っ黒なオーラ?)
俺には周りに真っ黒なオーラが見えているのだが、不可視の結界みたいなヤツというからには、冒険者たちからはこのオーラが見えていないのかもしれない。
その推測から、先程意識を失う原因にもなった情報に意識を向ける。
(なるほどな、権能『消失』の自動防護機能ってやつか。んで、このオーラは適性のないやつには全く見えないと)
恐らく、あの冒険者たちはオーラが見えないながらも、ゴブリンがこのオーラに触れて消しさられるのを見たかなにかで不可視の結界だと勘違いしたのだろう。
(一応念のために迎撃は完全に切らないでおくか)
今のところは敵ではなさそうだが、それで油断していきなりバッサリやられたらたまったものではない。
周りに出ているオーラを解除しながら、一定距離以内への侵入ではなく、敵意のある攻撃に対しての迎撃に切り替えた。
(しかしこの権能『消失』とあともう1個、まだ使ってない権能の『創造』か、情報だけみてもなかなかに凶悪な性能をしてるよなぁ)
「一応これでそっちから攻撃してこない限りは大丈夫のはずだ」
頭の中に叩き込まれた情報を確認しながら、要求に答えたことを冒険者三人組に伝えておく。
だが、その際にしっかりと釘を刺しておくことも忘れなかった。
「オッケーオッケー、こっちからは危害を加えるつもりはさらさらないが、そういうとこをしっかり警戒してく姿勢は高評価だぜ。...カティ?」
「ん、大丈夫」
相変わらずの軽そうな様子でそんなことを言いながらも、カティに確認をとった一瞬だけは真剣な表情をするフィリップ。
ただ、その表情の変化もほんの少しの時間のことで、今はもう軽薄な笑みを浮かべている。
そして、フィリップはひょいっと立ち上がると、特に警戒した様子も見えないまま一人で俺の方へと近づいてきた。
「おー、ほんとに消えてんだな。ガンツ、カティ、お前らもこっち来てみろよ」
ランクが他の二人より高いし、先程からずっとメインで喋っているフィリップがリーダーなのだろう。
フィリップが他の二人に声をかけると、二人も立ち上がってフィリップの元へと集まった。
「さてと、これで俺らの役目は終わったことだし、俺らは街へ戻るんだが、シュウヤはこの後どうすんだ?」
フィリップの問いかけに、俺は鞄の中を見て薬草の本数を確認した。
既に依頼の本数は集まっている、というか夢中になって集めたせいで依頼の本数の倍くらいはある。
これ以上薬草の採取を続ける必要は無いだろう。
「俺も依頼の達成ノルマは超えてるし、街に戻ってギルドに報告だな」
「じゃあさ、折角だから俺らと一緒に街まで戻ろうぜ?」
「アンタらと?ん......まあ別に構わないが」
「よっしなら決まりだ」
俺がフィリップの提案を了承すると、フィリップはニッと笑った。
不思議なことに、それまでの軽薄そうな様子とは裏腹に、その笑顔は上辺だけではない本心からの笑顔に見えた。
それから、俺と、フィリップとガンツとカティの冒険者三人組を合わせての四人で王都へと戻っていく。
途中、フィリップがそれまでの依頼の経験談などを面白おかしく語ってくれて、なかなかに貴重な話を聞くことが出来た。
ガンツとカティも無愛想と無口ではあるが、友好的な雰囲気は感じ取れたし、この三人組とは仲良くなれそうだ。
そんな風に思えた初の依頼での出会いだった。