4話
はい、ということでうまく筆が乗ったので昨日に続いての投稿の4話です!
あ、一応書き溜めも考慮するために1日に2話以上進んでも投稿は1日に1話までを基本にしようと思ってます。
まあ気分に左右される執筆速度の不定期更新なんでそうそう書き溜めが発生することもなさそうですけど。
翌日、なんだかんだでこの世界に来て初の食事となった朝食を食べた後、俺は冒険者ギルドに来ていた。
そう、これから記念すべき初の依頼を受けるのだ!
まあ初の依頼といっても常設依頼の薬草採取だけど。
しかし!常設依頼かつ薬草採取といえども依頼は依頼、しかも場所は街の外。
ファンタジーなネット小説を嗜むものとして、多少なりともテンションが上がるのも仕方の無いことだろう。
そんなわけで、受付嬢から目的の薬草の特徴を教えてもらい、しっかりと昨日購入した装備を身につけ、俺は依頼をこなすために街の外へと向かった。
「これは...薬草、これは...違う、これは...違う、これは...薬草、これは...薬草............」
薬草の群生地に来た俺は、受付嬢の人から教えてもらった見分け方を元に、薬草を採取していく。
薬草の採取なんてのは地味な依頼ではあるが、やってみると異世界補正でもあるのか意外と楽しく、気付けば薬草の群生地を外れ、森のそばまで来てしまっていた。
「おっと、この先がゴブリンの巣窟っていうあの森か。薬草採集に夢中になってこんなとこまで来ちまったのか」
森、正式に国が決めた名前もあるらしいが、ほとんどの人が森と呼ぶというその場所には、多くのゴブリンが生息しているらしい。
ただ、この森からゴブリンが出てくることはそう多くなく、定期的に騎士団や冒険者が狩ってはいるが、本格的な殲滅まではしていないそうだ。
ゆえに冒険者、特に新米の狩場としてよく利用されているのだが、不用意に踏み込んで命を落とす新米も少なくないらしい。
ゆえに、この依頼を受ける時には受付嬢からあまり森には近づきすぎないようにとの注意を受けていた。
森での狩りを目的にしっかりと準備をしていくならともかく、薬草の採取などで油断しているところを襲われると危ないから、とのことだ。
まあその注意を受けたにも関わらずこんなところまで来てしまったのではあるが。
しかし、今回の依頼はあくまで薬草の採取、下手にゴブリンなどに襲われる前にさっさと森から離れよう。
そう思って森に背を向けた矢先、森の奥からかすかにカサカサと草木の擦れたような音が聞こえてきた。
「風、か?風だよな?まさかこんな森の端までゴブリンが来てるわけがないだろうし」
そんなことを呟きながらも、言いようのない不安に襲われ、足を止めて森の方へと振り返る。
「何も起きない...か」
その場でしばらく森を見つめていたが、結局なにも起こることはなく、安心感とともに森から視線を外して元の薬草の群生地の方へと足を向けた。
その直後、
「グギャギャギャギャ!」
まるで気が抜けるそのタイミングを見計らったかのように、背後から謎の声が聞こえてきた。
「なっ!?」
慌てて森の方を振り向くと、緑色の肌に小柄な体躯、醜悪な顔で手には棍棒というまさにファンタジーの代名詞、ゴブリンのような姿をした化物が森から飛び出してきていた。
「わっ、わっ、うわっ!?」
「ギャギャッ!」
突然の事態に咄嗟に逃げようとかしたが、焦りがゆえか足がもつれて転んでしまう。
腰に帯びた剣のことも忘れるくらいパニックになり、どうにかゴブリンとの距離をとろうと後ずさるが、そんな状況でろくに距離がとれるわけがない。
「ギャギャギャ!」
いつしかゴブリンがすぐそばまで迫り、その醜悪な顔がまるで嘲笑うかのように歪められたように見えた。
(ああ、ここで俺は死ぬんだ)
そんな風な考えが脳裏に浮かび、妙に冷静になってくる中、ゴブリンが手に持った棍棒を振り上げる様子がまるでスロー再生かのようにゆっくりに見えてくる。
そして、今にもゴブリンがその手の棍棒を振り下ろそうとしたその瞬間、俺の体から真っ黒なオーラのような何かが溢れ出し、ゴブリンを飲み込んだ。
「は?」
体から真っ黒なオーラ?が出てきてゴブリンを飲み込むという謎な状況に呆然としていると、その真っ黒なオーラ?は忽然と消え失せる。
真っ黒なオーラ?が消えると、そこには何も、さっきまでそこにいたはずのゴブリンすらも消え失せていた。
「......はい?」
あまりにもわけの分からない事態に困惑していると、突如として頭の中に無数の情報が流れ込んできた。
その中には先ほどの真っ黒なオーラ?についての情報もあったのだが、突如として頭の中に叩き込まれた『情報』と解放された『力』の負荷で、俺の意識は遠のいていった。
と、いうわけで主人公のチートの片鱗?が見えた回でした。
それではまたいつかの更新をお楽しみに!(してくれるとほんと嬉しいです)
感想とか大歓迎ですので、「ここ変じゃね?」とか、「ここが気に入った」とかあったら気軽にコメントしていってくれると作者的にはとっても嬉しいです。