37話
皆々様お久しぶりです!
約1ヶ月ぶりの更新ですごめんなさい!
ちょっとここしばらく書けない病を発症して全然筆が進まない状態が続いてました!
またちょくちょく更新が滞ることがあるとは思いますが、完結までは書くつもりなので、気長にじっくり読んでいただけるとありがたいです、はい。
「ん...んぅ......あれ?私...」
少女が意識を失ってから30分ほどが経っただろうか、時々少女の様子を見ながらも『創造』で手札を増やしていると、ようやく少女が目覚めたようだ。
少女はというと、目覚めた直後だからかまだ状況をしっかりと認識していないようで、困惑気味に周りを見回している。
だが、そうしているうちに徐々に意識がはっきりしてきたのだろう。
あっという間に顔を青ざめさせると、弾かれたように勢いよく周りを見回し始めた。
そして、俺の顔を見た直後、
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい殺さないでください」
おそらくは俺のことをさっき消した悪質な奴隷商人と勘違いしているのだろう、頭が地面に埋まるんじゃないかという勢いで額を地面にこすりつけ、怯えたように謝罪の言葉を繰り返している。
(あー、やっぱりこうなるよなぁ)
既に伯爵やエルナなどと知り合っているからこの世界の人間全てがクズだとは思わないが、クズに捕まって虐げられていたこの少女からすれば見知らぬ人族は全て同じに見えても仕方が無いだろう。
ましてや彼女は見るからに人族ではないのだから。
いや、この少女だけではない、あのクズに捕らわれていた少女は皆、普通の人族とは異なっていた。
(獣人にエルフに魔人...まあひっくるめて亜人、か?どう考えてもこういう面倒事は俺じゃなくて勇者の仕事だろうに)
そんなことを心の中でぼやいてみるが、ここまで手を出してしまっている以上今更勇者が出てきてでかい顔をしてきたらぶん殴る自信がある。
ひとまずは目の前で壊れたように謝罪を続ける少女を落ち着かせるのが先だろうということで、若干気乗りしないながらも少女の前まで行って片膝をつく。
(こういう時に王子様然としたイケメンとかなら色々と話が早いんだろうなぁ)
そんな益体もないことを考えながら、少女の肩に手を添えて優しく顔を上げさせ、少女の頭を抱え込むようにして抱きしめた。
抱きしめた直後、怯えたように少女の肩が震えるのを感じたが、そのまま子供を宥めるように優しく背中を擦る。
「大丈夫、大丈夫だ。君を苦しめていた奴はもういない。だから安心していい、怖がらなくていいんだ」
我ながら偽善者じみた物言いだと思いながらも、優しく言葉をかけながら少女の背中をさすっていると、やがて怯えたような震えから、何かを堪えるような小刻みな震えへと変わっていくのを感じた。
それからどれだけ宥め続けていただろうか、いつしか少女の震えは止まっており、代わりに微かな寝息が聞こえてくる。
そっと抱きしめる手を緩めて少女の顔を見てみれば、すっかり安心したような表情で眠りながらも、しっかりと俺の服を握りしめていた。
恐らくは途中から小刻みな震えへと変わったあたりで泣いていたのだろう、思いっきり涙で湿っている服と、すがりつくように握られた服に、やれやれと思いながらも笑みが浮かんでしまう。
「ありゃ、寝ちまったか。......安心しきった穏やかな表情で寝てるし、このまま寝かしといてやりますか、ってびっくりするくらい軽いなこりゃ」
流石にずっと片膝立ちの姿勢というのも辛いので、あぐらに姿勢を変えようと少女を抱き上げてみれば、予想していたよりもずっと軽いことに驚きを感じる。
他の少女たちもそうだが、この少女は特に満足な食事を与えられていなかったのだろう。
そんなことを思いながらもあぐらをかき、その上に乗せるように少女を足の上に下ろすと、眠っているにも関わらず、甘えるように頭をこすりつけてきた。
「ははっ、こうして甘えてこられるのも悪い気分じゃないな。これが父性って奴なのかねぇ?」
優しく接したとはいえ、初対面の俺にこれだけ気を許して甘えて来る様子に愛おしさを感じる反面、その原因となったクズ共には殺意がわいてくる。
とはいえ、その張本人はさっき消したわけであり、この湧き上がる殺意をぶつける相手は現時点ではどこにもいない。
それよりももっと建設的な事でも考えようかと思っていると、そろそろお昼ご飯の時間が近いことに気づいた。
「んー、どうせ視た感じ死なない程度にしか飯を食わせて貰ってないみたいだし、しっかりと飯でも食わせてやりますかね」
怖がられて食べてくれない可能性も高いけど、という呟きは心の内に留めておき、改めて『万象の書架』を発動して少女たちを確認する。
「アレルギーはなし、犬っぽい獣人もいるけど玉ねぎとかが大丈夫ってことは食事のベースはやっぱ人と同じなのかね」
そんなことを考えながら、ひとまず何を食わせるかを決めた俺は、さっそく『創造』の力を使い人数分──俺+眠ってる子以外の少女全員──の食事を創り出す。
とりあえず、あまりガッツリとしたものを食べてお腹がびっくりするようなことがあっても困るということで、今回のメニューはシンプルに卵粥だ。
「うん、味は文句無しに美味いし、温度もほの温い感じで食べやすそうだな」
そんなわけで、人数分の卵粥を『創造』で創り出した俺は、みんなしっかり食べてくれればいいなと思いながら、馬車には近づかずに念力の要領で食事を運んだ。




