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3話

本日3話目です。

初日となる本日はこの前に2話投稿してのの合計3話投稿してます。

「ティーツ工房は...ここか」


ギルドでおすすめされた武具屋、『ティーツ工房』

工房、というからには鍛冶屋的な側面もありそうだが、大丈夫なのだろうか。

ギルド提携している以上、そうそう問題は無いだろうが、鍛治職人は特に気難しいイメージがある。

だが、他に武具屋のアテはないし、装備を整えるのは急務だ。

ギルド提携という言葉を信じて、俺はティーツ工房の扉を開いた。


「いらっしゃい、ここはティーツ工房だ」


扉を開けてまず目に付くのは陳列されたたくさんの武器・防具。

そして、予想通りの気難しそうな顔で声をかけてくる筋骨隆々の強面のおっさん。


「えーっと...」

「ギルドの新入りか?」


どう話すべきかと逡巡していると、おっさんの方からそう訪ねてきてくれた。


「はい、今日ギルドに登録したシュウヤです。武器も防具もろくにないのでギルドでおすすめを聞いたらこのティーツ工房がいいと言われたのでこちらに来ました」

「ふむ...」


俺がそう答えると、おっさんは俺の頭から足先までをじっくりと眺めた。


「お前さん、なにかしらの武器の心得はあるのか?」

「いえ、なにも」

「だろうな、となると...」


おっさんはそう呟くと、カウンターの奥の扉からどこかへと行ってしまう。

とりあえずぼーっとその場で待っていると、おっさんは一振りの長剣と、篭手、それから金属製の胸当てのようなものと膝あて・肘当てを持って戻ってきた。


「ほれ」

「えっと...これは?」


カウンターからこちら側までやってきて手渡されたそれらの物を眺めながら俺はおっさんにそう尋ねる。


「今ある在庫の中から見繕ったお前さんに合いそうな武器と防具だ。武器は下手に凝ったものよりもシンプルな剣、防具はこういったものを付け慣れてなさそうだからあまり動きを阻害せずに最低限の部位を守れるだけのものを選んできた。試しにつけてみろ」


そう言われて、まず防具の方を受け取って付けていく。

とはいえ防具なんてものをつけるのは初めてで戸惑っていたのだが、おっさんは付ける時のアドバイスをしながら手伝ってくれた。


「どうだ?」


防具を付け終わってのおっさんの問いに、軽く体を動かして確認する。

流石は職人(だと思われる)というべきか、サイズを図ったわけでもないのにわりとぴったりのサイズで、慣れない分少し違和感はあるが、動きにくいと言ったことは特にない。


「こういうのをつけるのは初めてなので感覚的に違和感はありますが、付けていればすぐに慣れるような範疇だと思いますし、身体の動きには全く問題はないですね」

「そうか、なら次は剣だな。とりあえず持って振ってみろ。振り方や型なんてものは気にしなくていい」


確かに武器の心得なんてない俺が今この場で振り方や型なんて気にしても気にするだけ無駄なのだろう。

鞘から抜いた状態で差し出された長剣を受け取ると、おっさんから少し距離をとり、両手でしっかりと持って頭の上から一気に振り下ろした。

当然ながら金属製の真剣で、元の世界ではまともに振ることも困難なのではないかとも思えるのだが、そこはやはり召喚補正での兵士並みのステータスと言うべきか。

思っていたほど剣に体を持っていかれることもなく、しっかりと剣を振ることができた。


「...動きはド素人だが筋は悪くない。しっかりとした剣士に教えをこうか、実戦経験を積めばそれなりにはなりそうだな。振ってみた感想はどうだ?」

「剣を振るのも初めてですが、握った感じがしっかりしてて振りやすいですね」

「そうか、なら俺からはその一式を勧めるが他の武器がいいとかこういう防具が欲しいとかの希望はあるか?」


おっさんにそう問われて少し考える。

基本の武器と防具は価格が手持ちの資金で足りればこの一式でいいだろう。

他に必要そうなものといえば...


「作業用の短剣、ですかね」

「ああ、確かにそれはあった方がいいだろうな。ちょっと待ってろ」


おっさんはそう言うと、再び奥の扉へと消えていく。

今度は短剣だけだからか、さっきよりもずっと身近な時間で戻ってきた。


「ほれ、初心者にはこれだろう」


そう言っておっさんは短剣を手渡してくる。

この短剣は武器のように振ったりして使うものではないため使い勝手は分からないが、さっきまでの目利きから考えれば、そうそう外れはないだろう。


「ありがとうございます。それじゃあこれらの一式を買わせていただきたいんですが、いくらになりますか?」

「それ全部合わせて銀貨5枚だな」

「...はっ?」


おっさんから告げられた値のあまりの安さに思わず驚きの声が出た。

こういった武器や防具の相場は分からないが、一式で服より安いということはないだろう。

そう思っていたところへの銀貨5枚はなかなかの不意打ちだった。


「なんだ、不満か?」

「い、いえ、予想よりもずっと手頃な価格で驚いたので...」


俺がそう言うと、おっさんは呆れたように小さく鼻を鳴らし、それから微かに笑みを浮かべた。


「ま、この店はギルド提携だしな。新人の一回目はそれなりにしてんだよ。んで、買うのか?買わないのか?」

「もちろん買わせてもらいます」


俺はそう言って、おっさんに代金を支払った。


「ありがとうございました」

「おう。この店では武器のメンテナンスとかもしてるから覚えとけ。それじゃ、せいぜい死なないように頑張るこったな」


店を出る時、背後からおっさんのそんな言葉が聞こえてきた。

顔はなかなかの強面だったが、なんだかんだで面倒見のいい人なのかもしれない。

そんな事を思いながら、装備を整えた俺は、ギルドおすすめの宿屋『旅の止まり木』を目指した。




ギルド提携の宿屋『旅の止まり木』は、やはり流石ギルド提携というべきか、なかなかに良さげな宿屋だった。

朝と夜の食事がついて一泊銀貨1枚。

ベッドの質は流石に日本のものとは比べ物にはならないが、それでも充分しっかりしている。

部屋をとってベッドに寝転がった俺は、召喚されたのが学校終わりの時間だったのと、精神的な疲れがあったのだろう。

まだ夕方のようやく日が傾き始めた時間ではあるが、晩飯も忘れてすっかりと眠り込んでしまった。

以降の更新は作者の気分と気まぐれとノリによる遅々とした執筆速度による不定期更新ですので悪しからず。

いえ、頑張ります、頑張りますが...わりと気分で筆の進みが変わるんです!

ご了承くださいませ!

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