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18話

「ゴブリンナイトいっちょあがりっと」


いましがた倒したゴブリンナイトの死体を『亜空間倉庫』に放り込み、魔石の解析をしてサーチに反映させる。

直後、それまで表示されていた正体不明の魔物の一部がゴブリンナイトとして表示されるようになった。


「ゴブリンは当然として、これでヒーラーにメイジにアーチャーそれからナイトは識別したから、あとはロードとキングだけか。ゴブリンシリーズ勢揃いって感じだな」


緊急クエストが開始され、ざわめきの森へと入ってからおよそ一時間。

既にゴブリンロードとゴブリンキング以外のゴブリン種は全て──とはいえ新種のゴブリンがいたらこの限りではないが──を倒し、正体不明の魔物の反応は残り9個となった。


「残りが9ってことはキングが一にロードが8ってことなんだろうが...ロードの数がやけに多いな。それに正体不明の反応が三つずつ3ヶ所に分散してるってのも気になる」


ギルドでの通説では、ゴブリンキングのいる群れにおけるゴブリンロードの数は通常は二体から三体と言われているらしい。

当然、群れの規模が大きくなればそれだけゴブリンロードの数も増えるのだろうが、ゴブリンロードが八体もいるなんてのは聞いたことがない。


「ま、それも実際に見てみれば分かることか...っと、この様子だと、本隊か分隊かが正体不明の一つとぶつかるな」


このサーチの能力は魔物だけを対象にサーチしており、人間の位置を把握することは出来ない。

だが、魔物の反応が消えていくのを追っていけば、他の人間のおおまかな位置を推測することが出来る。

そして、その中で、入ってきた位置からもっとも近い位置にいる正体不明の集団に向けて、少しずつ魔物の反応が消えていくのが見て取れた。


「さて、この集団にキングはいるのかねぇ...っ!!」

────ガァアアアアアアアア


恐らく、集団の一つと冒険者たちが接触したと思われた次の瞬間、まるで森中に響き渡るかのような咆哮が聞こえてくる。

それと同時に、森の中にいるゴブリンのほぼ全て、それから残る二つの正体不明の魔物の集団が、冒険者と接触したと思われる正体不明の魔物の集団へ向けて動き始めた。


「Bランクの下位とはいえ腐ってもキング、王の名を冠する魔物ってことかね」


恐らく、今しがたの咆哮はゴブリンキングのもの。

そして、他の魔物の動きからして冒険者たちと接触した集団の中にゴブリンキングがいたのだろう。


「さてさて、その冒険者たちにとって今回の遭遇は当たりか外れか」


本隊だったらまだマシだろうが、分隊だとBランクのゴブリンキングに加えてCランクのゴブリンロード二体と戦うのはきついだろう。

それに、ゴブリンキングを目当てに参加したのだから、ゴブリンキングと戦わないまま終わるなんてありえない。

俺は、急ぎその場を動き、ゴブリンキングのいると思われる集団へと急いだ。




「へぇ...なるほどな。キング、その種の王の名を冠するのは伊達じゃないってことか」


到着したその場で一度留まり、本隊の冒険者とゴブリンキングたちとの戦いを外から眺める。

流石は王の名を冠する個体ということだろう。

冒険者たちが戦っているゴブリンキングは、ゴブリンとは思えないほど大柄なゴブリンロード──オークと同じかそれ以上の体格がある──よりも一回り以上も大きく、王の名に恥じない存在感があった。

とはいえ、ただ観戦するためにこの場に来たわけではない。


「今のこの反応の進み具合からして、他の二つの集団の合流までのリミットは5分あるかどうかってところか」


サーチを確認して他の二つの集団の位置と進み具合を確認すると、どちらもちょうどこのゴブリンキングのいる集団と同じくらいの距離が離れている。

そして反応の接近速度から考えれば、悠長に戦っている時間はないだろう。


「ま、それは俺とかみたいなイレギュラーやAランク以上の高ランクの冒険者がいない状況でなら、だけどな」


まだ実際に戦っていないから断言はできないが、ゴブリンロードであれば二体だろうと八体だろうと、例えギルド用に力を制限している今の状態でもそれほど苦労することなく倒せるだろう。

ただ、それでも他の冒険者からすれば絶望的な状況となるだろうし、倒せるだろうからと言って進んでそんな状況になりたいかと言えば否だ。

まあまだ特にピンチでも何でもない状態でゴブリンキングに対して『創造』の権能の全力で戦うようなつまらない真似をする気もないが。

なにはともあれ、初めてのBランクモンスターであり、折角のボス戦の相手だ、少しくらい戦闘を楽しんでも罰は当たらないだろう。

ひとまずは『創造』の行使は抑え目にしようと決め、俺は銃を『亜空間倉庫』に放り込む。

そして、王都で買ってからずっと使い続けている剣を手に、ゴブリンキングと冒険者の戦いの中へと入っていった。

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