1話
新作、始めました。
執筆速度は作者の気分と気まぐれとノリにより変化するので更新ペースは超不定期です。
それでもしっかり話は進めていくので、もしよかったらちょっとした暇潰しにでも読んでってください。
勇者召喚って知ってるか?
そう、ネット小説とかでよくある異世界転移ものの中でトップクラスにタチが悪いあれだ。
勇者となって魔王を倒しましためでたしめでたし、で終わればいいのだが、大抵の場合は魔王なんていなくてただ戦争に利用されるだけだったり、魔王を倒しても迫害されるってのが最近の勇者だと俺は思っている。
そんなわけで勇者なんてものはごめんな訳なんだが、勇者召喚に巻きこまれて、
「お前は勇者じゃない、勇者のおまけだ」
的な扱いを受けるのは、それはそれで色々とムカつくよな?
俺の名前は神呪終夜。ネット小説を読むのが趣味なごく普通の高校生だった。
そう、「だった」過去形だ。
ついほんの30分くらい前まではどこにでもいるような普通の高校生だったんだが、放課後の教室でクラスメイト三人(ちなみに、男子一人と女子二人だ)と一緒に勇者召喚で異世界に召喚されるっていう、それどこのネット小説?的な展開で異世界に召喚されてしまった。
そんでまあ召喚されて早々に「勇者様!」ってなってテンションダダ下がりになったわけだが、それからがまあ大騒ぎだった。
なにやら勇者は三人一組で召喚されるらしいのだが、四人も召喚されたってことでそれはまあ大層な騒ぎになっていた。
まあ他の三人はあまりネット小説の類とかに触れてないのか、現状についていけてないようで終始ぽかんとしてたけど。
それでまあステータスの鑑定とやらが行われて、俺以外の三人がそれぞれ剣の勇者、魔の勇者(魔法の魔か?)、癒の勇者で、俺は勇者でもなんでもないただの巻きこまれだってのが判明したわけだ。
にしても勇者ってのはなりたいとは思わないがほんとチートって感じだよな。
俺はステータス的には並の兵士よりは強いって感じで、スキルとかはほぼ皆無だったわけだが、勇者連中はステータスは騎士とか王宮魔導師に匹敵するわ、スキルも全属性魔術だの成長限界突破だのとチートのオンパレードだった。
ただまあ勇者じゃない上にろくな力もないってのはある意味じゃあ大当たりだったのかもしれないけど。
んで、とりあえず巻き込まれの俺も含めた勇者連中は王様から直々に召喚の経緯とかの説明とやらをしてもらったんだが、それがなんとも言えず怪しかった。
王様曰く、
・この世界では古より魔王などが現れると、神の信託によりこの国を含めた三つの国で勇者召喚が行われていた。
・ここ数百年は魔王が現れず、平穏な日々を送っていたのだが、突如として魔王復活の兆しが出た。
・しかし、この国以外の二カ国は神の信託を無視し、魔族と手を組んで世界を支配しようと目論んでいる。
・そこで、古より伝わる勇者召喚でこの国、そして世界を救える勇者を召喚した。
・勝手に召喚してきて身勝手な願いではあるが、勇者様たちにはこの国、そしてこの世界を救ってほしい。
・元の世界に返す方法は我々には伝わっていないが、世界を救った暁には神が褒美として元の世界に送り返してくれるはずだ。
と、まあこんな感じの話だったが、どう考えても怪しすぎるんだよな。
他の二つの国が神を裏切って魔族に加担したとかのあたりが特に。
これまでずっと神の加護を受けてきたのにいきなり神を裏切って魔族につく?しかも二カ国も同時に?
どう考えても侵略のための方便にしか聞こえない。
そう考えると神云々ってのも怪しいところだし、まあ帰る方法については絶望的って考えた方がいいだろうな。
そんでまあこれはやっぱりろくでもない勇者召喚だって確信したわけだったんだが、ドラ〇エとかで勇者に幻想でも抱いてるのか、勇者組の一人が俺たちに任せてくださいとか言いやがった。
しかも「俺に」じゃなくて「俺たちに」だ。
つまり、勇者でもなんでもない俺はともかくとして、勇者連中は協力するのが確定ときたもんだ。
んで、ないとは思うが俺までこれ以上巻き込まれることになっちゃたまったもんじゃないってことで内心大慌てで王様に、
・俺は勇者でもなんでもないし、一般人よりはちょっと強いだけでろくな能力もないみたいだから勇者連中の役には立てないどころか足を引っ張る可能性がある。
・二、三ヶ月くらい暮らしていけるだけのお金をくれれば自分でどうにか職を探し、王様たちには迷惑をかけない。
ってのを伝えたわけだ。
そしたら王様の方も自分の手を汚さないいい厄介払いにでもなると思ったのか、金貨10枚をくれて、城から出て後は自由にするようにっていう許可をくれた。
まあ物価とかも分からんから金貨10枚がどの程度のものかはわからないが、とりあえずはしばらくは暮らせるだけのこの世界の金と自由を手に入れた。
巻き込まれただけだが、折角のファンタジーな異世界だ。
自由気ままにこの世界を満喫してやるさ。
あ、そういえば、謁見の場を出る時に、馬鹿なことをした阿呆以外の二人には変に利用されるかもしれないから気をつけておくといいって警告だけはしておいた。
流石にろくでもなさそうってのが分かってるのに何も言わずに放置ってのは可哀想だしな。
まああの勝手な真似をしたど阿呆はどうなろうとしったこっちゃないが。
新作ということでとりあえず今日はこの話含めて3話を連投します。