未来のお話 1
ルー君、ちょっとソコ座んなさい。正座。
「うむ?」
うむ? じゃないよ!
小首傾げても可愛くない……こともないけど、絆されないからね!
「母上、落ち着いて下さい」
シー君は黙ってなさい。
「ですが父上にも何か考えがあってのことだと……」
「あ、いや……」
いいえ。違います。ルー君は何も考えてません。
完全にその場の雰囲気とノリで行動しやがったんです。
「うむ」
「……父上、だとすれば何故そこで誇らしげになさるのか」
そうだね。反省の色が見えないよね。
父親として、シー君の手本となるような振る舞いをして欲しいところなんだけどな!
「すまん」
そこは私じゃなくシー君に謝りなさい。
「えっ、いえ、私は別に……」
「すまん」
「あ、はい……(謝られても困ります)」
良いですかルー君。
相変わらず定期的に周囲を恐怖と混乱に陥れているけれど、貴方の行動はものすっごくシー君に悪影響ですからね?
あたりまえながらルー君のアレな資質を色濃く受け継いでしまっているシー君に、その悪ノリ癖までうつっちゃったらどうするの。
「むぅ」
「あの、母上、私はすでに人格形成を終えておりますので、そこまで心配する必要はないかと」
だったとしても、このままじゃルー君の息子ってだけで色々不都合な評価を下されそうじゃない。
「……確かに」
「大丈夫です覚悟しております」
あ。ダメ、ちょっと涙出て来た。
シー君の決意の眼差しが切ない!
「あの、本当に大丈夫ですよ? 私は、父上のそういった部分も含めて好きなので、むしろそのままでいて欲しいと……」
「……!」
「ち、父上!?」
大丈夫。それ盛大に喜んでるだけだから。
「そうですか(いきなり床を素手でぶち抜くとか……! あっいつもすみませんジェイドさん。素早い対応さすがです、ありがたいです。その、父がすみません)」
シー君が良い子に育ってくれて嬉しいよ。
「いえ。……あ、あの、もちろん母上も好きです」
……!
「は、は、は、母上ぇ!?」
「問題無い。喜んでいるだけだ」
「……そう、ですか(いきなり壁を頭でぶち抜くとか……! あっメリィさんすみません。手慣れた対応さすがですね、ありがとうございます。いつも母がすみません)」
はぁ、はぁ、ごめん。取り乱したわ。シー君マジ天使。
我ながら良い仕事したわ。うまれてきてくれてありがとう。
「あ、う、その、いえ。うんでくださってありがとうございます」
あっ、ちょ、シー君が可愛い過ぎて鼻血出そう。
ちょっと氷室で頭冷やしてくるわ。
ついでにカタラーナも出来てるはずだから持ってくるねー。
「俺も行く」
あ、そう?
じゃぁシー君、お茶の用意頼んでも良いかな?
「あ、はい」
じゃ、よろしくー。
「頼んだ」
「はい!」