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ル―君。
「何だ」
何でこうなったんだろうね?
「さあな」
あの聖騎士団長さんは、いったい何をどう間違えて、私に求婚なんてしちゃったんだと思う?
「さあな」
私、何かした?
「術で縛ってボコボコにしたくらいだな」
…………。
「…………」
私ってさ、一応、対外的にはルー君の恋人って扱いだよね?
「ああ」
それって結構広く知られてると思ってたんだけど。
というか、積極的に広めてきたと思うんだけど。
「そうだな」
なのに求婚しちゃうんだね、ルー君の恋人に。
「……」
あれだけ恐れられてるルー君から、奪う気って事だよね?
「……」
そこまでする程、どこが良かったんだろうね。
私ってそんなに魅力的?
「……」
おい、無視か。
というかさっきから返事がそっけないんだけど、そんなに興味ないですか私の恋話は。
「いや、もしお前が奴に嫁いだ場合、奴の家に入る事になるのだろう? そうなると会いたい時にいちいち国境を越えねばならんのが手間だなと考えていた。いっそ、俺も着いていくか、と」
止めて。それは止めて。
家とか役職とかどうすんのバカ!
「家は、どうせこのまま嫁が来なくて終わりだろう。役職など、代わりはいくらでも居る」
ちょっとそれじゃ私がわざわざ戻ってきた意味がなくなっちゃうじゃない!
あんたの嫁みつけるためだけに私は色々中断してここに居るんだからね!
今まで私が言った事とか生かして一人でも頑張りなさいよ!
あと簡単に言うけど、ルー君の代わりなんてそうそう居ません!
「お前が居なければどうせ無理だ。嫁ぐというなら、俺もついていく。そのつもりでいけ」
ちょっと! すごく面倒くさいんですけど!
……もう良いよ、嫁ぐとか正直まだ考えられないし。
ルー君の嫁とっつかまえてから考えるよそういうのは。
「そうか」
とか言ってるうちに嫁ぎ遅れになりそうな予感はしてるんだけどね。
ま、魔術師目指してる時点で結婚とか諦めてるから別に良いけど。
「……」
何?
「いや、それならまだしばらく一緒に居られるなと思っただけだ」
……ルー君はさ、その無表情と威圧感が無ければモテモテだったんだろうね。
「うむ?」
そしたら私が来るまでもなかったのに。
「そうか、ならこの顔で良かったな」
……。
はぁ。
さっきのプリン、そろそろ冷えただろうから持ってくるわ
「うむ」