若の葉❤浪漫譚 第三章 彦之進、ついにサネヒコの子を妊娠かっ!!?
さて、彦之進も少しずつサネヒコの事を意識しはじめてきたようなのである。
果たして、彦之進とサネヒコ二人の今後はどうなってゆくのだろうか?
「いいよ、いいよ、ヒコノぉ~❤もっと私の熱~いベーゼを受け入れておくれ・・・・・❤」
彦之進の唇とサネヒコの唇が重なり合ったその瞬間、サネヒコの舌が彦之進の口の中に入り、その瞬間、サネヒコが彦之進の袴の紐を振りほどき、サネヒコの大きな身体が、彦之進の小さな体を押し倒した。
それから数か月後、彦之進のお腹は大きく膨らんでいた。
そのお腹にサネヒコが体をすりすりとさせながら言ったのだ。
「ああ、私とヒコノの大切な子だ。しっかり良い子を産んでくれな、彦之進❤」
「ああ、良い子を産もう。わしとお前の子だ。きっと良い子が産まれてきてくれるだろう。」
・・・・・・!!!
そのシーンで終わり、彦之進は、バッ!!と、勢いよく飛び起きた。
夢であった。
ああ、これが夢であってくれて、本当に良かった!!!
彦之進は、心の底から安堵したのだった。
まさか、夢の中で、自分があの変態男、サネヒコの子を孕んで産む事になるとは・・・・・。しかし・・・・・、そこで、彦之進は首をかしげた。
「男であるわしが妊娠って・・・・・。夢とはいえ、一体全体どっから赤ん坊が出てくる設定になってたんだか・・・・・・?」
そこで、はげしくかぶりを振って、彦之進は言ったのだ。
「え~い!夢とはいえ、何とおぞましい夢を見てしまったのか・・・・・!!!」
そこで彦之進は、まるで青虫を沢山口に入れられたような、何とも苦々しい表情になったのだ。
・・・・・しかし、わしとあの男が本当にくっつくことになったら、・・・・・夢でも、男同士、子供ができるってこと、万が一にもあるのだろうか・・・・・?
しばし、布団から上半身だけ起こし、自分の髪の毛を右手のひとさし指でクルクルと巻きながらぼんやりと考えていたのだが、自分がおぞましい事を考えているという事実に気づくやいなや、
「いけないな!わしとしたことが、とんでもない事、考えておった!!」
そうして、ゆっくりと起き上がると、まだ眠った後のけだるさが残るその頭を無理やりにクリアにするために数度動かすと、寝巻を脱ぎ、着替えはじめたのであった。
彦之進が外へ出ると、新緑の季節の風と緑の若葉の匂いが入り混ざった初夏の風が、彦之進の髪や袴をゆらした。
彦之進は黙ってそのような風の中を一人早足に歩きだしたのだ。
今日から二週間ほど、とある大商人の用心棒の仕事に入る事になっていた。
女性のように体が小さくてもやはり彦之進はれっきとした男なので、剣の腕は、他の男らしい男よりもずっとすご腕であり、それ一本で今は稼ぎを得ているのである。
彦之進は道すがら、考えていた。
・・・・・世の中には、同性同士が、くっつくっていう例も、多々あるよな。・・・でも、そのような場合には、子供ができない。
もしも古いお家柄の人がホモだとしたら、そうしたら、子供ができなくて、そのような家は、つぶれてしまうよな。
・・・・・もしも、大店の昔から続く菓子屋の一人息子がホモだとして、男と祝言をあげたとしたら、子供は生まれず、・・・・・その菓子屋は、なくなってしまうからして、・・・・・それは、悲しいから、やっぱり男子たるもの、女性と契りを交わすべきであるからして、・・・・・
彦之進は、完全にいつものペースを崩されてしまっているのだった。
サネヒコに出会い、変態的でとてつもなく強烈なアプローチを受けたその後、彼はそのような事を意識的にではなく、無意識的に日々考えるようになってしまったのである。
彦之進がそう、ホモの事について考えていると、大商人の豪勢なお屋敷が見えてきたのである。
神社ではないのに、門の左右には派手な感じの狛犬なんかを置き、また、金ぴかの鳥居をつけ、その道を奥に進むと、これまた趣味の悪い金ぴかのお屋敷が見えてきたのである。
彦之進がそのお屋敷の方へ向け歩いてゆくと、待っていたかのように、そのお屋敷の戸が開き、一人の太った男が出てきたのだ。
男はかなりふっくらとして、七福神の様な派手な服装をしていた。
このように、派手な装飾を家や服に施しているのを見ると、かなりのお金持ちである事がうかがえる。
また、この男の性悪そうな、キツネみたいな目つきから、数々の人々を陥れてお金を巻き上げてきたに違いないと彦之進は内心感じたのだが、今回の用心棒の依頼者が、まぎれもなく、この大商人の男なので、彦之進は丁寧におじぎをし、言ったのだ。
「初にお目にかかります。我が名は彦之進と申すもの。貴方様は、金細工のお商売をしております金谷福衛門殿とお見受けいたしましたが、その通りでござりましょうか?」
そう、丁寧に言う彦之進に、その狸の外見にキツネ目の目付きの悪い男は言ったのだ。
「いかにも。わしこそが、この東東国中に、金細工を広めた金谷福衛門だ。だが、・・・・・」
そこで、そのデブ狐は、彦之進の体全体を嘗め回るように見つめたのだ。そのデブ狐の異様でいやらしい目線に、彦之進の額から泉のように冷汗が浮き出てくるのを感じていたが、彼は客である、とのことで、じっとこらえていた。
「噂通りの女顔よのぉ。わしは、本来女しか抱かないのであるが、今宵の晩は、沢山の金をやるので、そなたを抱いてみたいものよのぉ。」
そう、いやらしそうな目で見つめながら言うデブ狐に、彦之進は断固とした強い口調とで言ったのだ。
「わしはこう見えても男!そして、男ゆえに、男と寝る事は、絶対にしないでござる!が、もしわしの男の身体をお望みとあらば、この用心棒の御依頼、お断りするまででござる!!」
そう、きっぱりと、強く言ったのだ。
こういうような展開になるのは、いつもの事だった。彦之進は慣れているので、いつもの調子で強くお断りを入れたのだ。だが、冷汗だけは押さえる事ができない。いくら慣れているとはいえ、何度そのような事を口にされても、実に気持ちの悪いものなのだ。
「まあ、そう言うな!わしかて、男。今のは、冗談だ。今宵の旅路、是非守護をお願いいたす!」
そう言い、福衛門が手で合図をすると、二人の男がお籠をかついできたのである。
この男、福衛門の前まで来ると、彼はその重い巨体をその籠に乗せた。
だが、お籠を担いでいる二人の男は、この福衛門を担ぐことに慣れているらしく、微塵も懲りたような表情をせずに、慣れた手つきで福衛門の乗ったその籠を持ち上げ、担ぎ始めたのだ。
彦之進は、その福衛門が乗っているお籠の後につき、歩き出した。
歩き出すと同時に彦之進の表情が一変したのである。
それまで可愛らしい女顔で、隙が多そうに思えていたその表情に力が入り、隙を見せなくなったのだ。
そこで彦之進の用心棒としての仕事が、本格的にスタートしたのであった。
しばらくの間は、何の妨害も無く、彦之進は正直暇だとさえ感じていたのであったが、とある山の坂道の場所にさしかかった途端、異変が起きた。
”スッ!!”
歩く道の上の木の枝から、いきなり、忍者の服装をした女性が舞い降りてきたのである。
舞い降りるなり、女は言った。
「待てぇい!そこの籠!!」
その、ドラ声に、彦之進はびっくりしてしまったのである。
何と、衣装は完全に女性の忍者の服装なのだが、どう聞いても、その声は男性なのだ。
見ると、彦之進よりもはるかに背が高く、その体格からして、男性ということが、一目瞭然であった。
つまり、男がくノ一の女性忍者に女装していたのである。
それから、そのくノ一に女装した忍者の他に、今度は木陰から、三人ほどの人影が現れた。
「ゲッ・・・・・・!!!」
その三人のいでたちに、彦之進は、目を丸くし、一瞬固まってしまったのだった。
一人はゴスロリのファッションを着ているのだが、体がマッチョで、男である、ということが分かった。
それから、そのゴスロリ男の右側にいる者の来ているセーラー服のスカートの下の足に太いスネ毛が見え、そのセーラー服を着ている男の顔がごっつりとデカく、しかも髭をそった後があり、また、金髪に染め上げたその二つに結んだ女の子の髪形をごっついオヤジがしているものだから、不気味だった。
ゴスロリ男の顔を見ると、ひょろ長い顔に、クマができていて、これまた不気味だ。
そして、もう一人もやはり男だったのだが、妙なコスプレをしていたのだ。
男は妖精の羽をつけ、ピンク色のドレスを身にまとっているのだが、その身長と筋肉質な体、平たい胸は、どう見ても男だった。
その、どう見てもオヤジにしか見えないその男が、ヒラヒラしたピンクのドレスをまとい、妖精の羽をつけ、可憐な?妖精姿にコスプレしているのだから、その不気味さといったら、尋常ではない。
彦之進があまりの不気味さに半ば呆れ果てていると、
「そこの男装をした女!そこをどきなさい!!その籠の中にいるのは、福衛門なんでしょ!!?」
まさに男そのものの声で、ゴスロリ服を着て、クマができている男が言ったのだ。
彦之進は刀を抜き、隙を見せぬように、体を構えた。相手集団が、変態のオカマ集団だとしても、彦之進は容赦するつもりはなかった。
「わしは、こういう外見をしてはいても、れっきとした男で、用心棒だ!!オカマ共、そこをどけ!!」
彦之進が強く、そう言い放つと、オカマ集団の中の妖精コスプレオヤジが言ったのだ。
「まあっ!あなた、声からして、容姿は女なんだけど、男ね!そんなに可愛い顔して男の恰好しているなんて、許せないわっ!!」
そう言うや否や、ピンク色のまん丸の石を、その平たい胸元から出すと、その妖精コスプレオヤジが、微妙な表情をしながら、フウッと、そのピンク色の石に息を吹きかけたのだ。
どうやら、この妖精オヤジ、セクシーな表情をしようとしたようだったが、そのゴッツイオヤジ顔が裏目に出て、ただただ、変態のようにしか見えなかった。
だが、法術は効いたのだ。
妖精オヤジがそのピンクの石に息を吹きかけると、その途端、天使のキューピッドが持つような真っ白な矢が出現したのである。
その矢をあやつるのが、可愛らしい妖精ならば良いのだが、そのデカいオヤジ顔との釣り合いがどうも取れていなく、かなり奇妙に見えた。
その矢を構え、彦之進の方を向いたのだ。
「んじゃあぁ、あたしもっ!!」
そう言うやいなや、ゴスロリ男は、奇妙な呪文を唱え、その途端、その両手に大きな死神の持つような斧が、出現したのである。
「じゃあ、私もっ!!ミラクルぅぅぅ~~~!わっふぉ~ぅ♡」
そうセーラー服を着た男が奇妙な裏声で妙な呪文を唱えると、その呪文に呼応するかのようにスネ毛が、金色に輝いたのだ。
と、その途端、男の金髪のカツラが上へぶっ飛び、中からピンク色でメルヘンチックなステッキが現れたのである。
「か・・・・・カツラぁぁぁ~~~!!!?」
そのあまりの奇妙ぶりに、思わず彦之進は声をあげてしまった。
その金色の桂が三メートル程上昇してメルヘンチックで乙女チックなステッキが現れると同時に、その男の隠されたハゲ頭が見え、それがスネ毛の輝きに反射して、ピカリ!と、輝いたのである。
男がそのステッキを手にする頃、彦之進は、あまりの変態ぶりに、しばし身動きが取れなくなってしまった。
と、その隙を見逃すような敵ではなかった。
”サッ!!”
いきなり、ゴスロリ男の大きな斧が彦之進を直撃したのだ。
彦之進は軽い動きで後方へ飛ぶと、地面に着地し、ゴスロリ男を睨みつけた。
と同時に、くノ一の男が、背中にしょっている剣を抜き、福衛門のいるお籠に向けて飛び掛かっていった。
”危ないっ!!”
彦之進は、ゴスロリ男に目を配ると同時に福衛門のいるお籠の側へ行き、くノ一男の長い剣を交わしたのだ。
その時に、わずかにくノ一男の剣がお籠の幕に触れ、バッサリとその幕が切れた時に、中にいる福衛門のその太った姿があらわになった。
「ひいっ!!!バ・・・化け物ぉぉぉぉぉ~~~~~!!!」
そのオカマ集団のあまりにも下品なコスプレぶりに、福衛門は、恐怖と同時に、嫌悪感を覚えたのだ。
「オ・・・・・お前たちは一体全体、何者なんだぁぁぁ~~~~~!!!」
その変態ぶりに裏声になりつつ、震えながら言う福衛門に、妖精オヤジが言ったのだ。
「私たちは、この鎖国している東東国に、異文化を持ち込み、異文化に触れさせようとした者たちだ!!だが、異文化を伝えるために全国放浪して歩く賃金を全て、お前は奪ったのだ!!しかも、私たちの活動拠点の建物を攻撃して、私たちを追い出し、そこに自分が楽しむためだけに、100人以上の女性を住まわせたハーレムまで作りやがって!このスケベ福衛門めがっ!!その活動拠点を奪われ、女という生き物に私たちの居場所を取られ、そして、あんたに金をとられた、その恨み、今日こそ、晴らしてみせようぞ!!!」
そう言うなり、震えている福衛門に向け、セーラー服のオヤジがステッキを無造作にぶんぶんと振り回しながら、近づいてきたのだ。
そして、決定的な事をおやじは言ったのだった。
「このステッキにはね、貧しさで苦しんだ者たちの、その涙と共にたらした鼻水が全て、注ぎ込まれているのよ!福衛門、あんたのようなケダモノなんかね、そうした鼻水におぼれてしまいなさいな!!!」
そう言うなり、そのステッキを振るいながら呪文を唱えると、そのメルヘンチックなピンク色のステッキから、灰色っぽい液体が福衛門に向け、迫ってきたのである。
「ひぇぇぇぇ~~~~、鼻水に、殺されるぅぅぅぅぅ~~~~~~~~~~!!!」
そう、大声で悲鳴をあげる福衛門を、彦之進のその身軽な体が猫のように飛び、そして、福衛門を鼻水攻撃から救ったのだ。
・・・・・しっかし、この福衛門という男、ろくな事をしない男であるな。・・・・だが、今はわしは、この男に用心棒として雇われている身。いたしかたない・・・!!
福衛門を抱えながら、鼻水攻撃を交わす彦之進の心は、実に複雑なものだった。
「その上にね、この福衛門という男は、私たちオカマの敵なのよ!!んもうっ酷いのよ、この福衛門ってぇ~男!私たちが素敵な夢見るような乙女心を持っている事を良い事に、私たちの活動拠点に、たっく山のイグアナや、ヤモリやカエルを、いっぺんにいっぱいいきなり入れてきたのよ!!純粋な乙女に対し、何て酷い扱いをするのかしらね!!」
そうセーラー服姿のオヤジが、まだ鼻汁の残っているステッキをぶんぶん振り回しながら言ったのだ。
その時、そのオヤジがあまりにも鼻汁のついたステッキを振り回すもので、その鼻汁が、ヒコノと福衛門の所に飛び散ったので、彦之進は福衛門を抱え、少し遠くへ飛んだ。
それに対し、福衛門は言った。
「そ・・・・それはだな、お前らのような妙な奴らの所へ、人を最初に入れるのが、嫌だったからだ!
わしの家来は、お前らのその奇妙な格好を見て、誰一人として、お前たちのいる建物には、不気味すぎて入ろうとはしなかった・・・・・。だから、最初にお前らを、爬虫類等を入れて追い出したのだっ!!」
それに対し、ゴスロリ男は言った。
「全く、私たち乙女に対して、失礼しちゃうわよねっ!!」
ゴスロリ男は、そう言うと同時にカマを向けてきたのだ。
「イグアナとかを活動拠点にぶち込まれたりした、あまりの仕打ちに、あたしたち秘密結社のパーティーを侮辱したからって、福衛門、あんたに魔法をかけたのよ!あんたが、悪人に襲われ、その体をたくあんのように、切り刻まれてしまうようにねっ!!
でも、あんた!その度に腕の良い剣豪を大枚はたいて雇ったもんだから、あたしたちの魔法もめっちゃクチャ!!
だから、こうして、あたしたちが、直接に反撃に来たのよっ!!」
ゴスロリ男がそう言うと同時に、他のオカマ変態オヤジ三人も、福衛門を襲ってきたのである。
彦之進は何とか剣を振るってこのどうしようもない主である福衛門を守ったのであった。
が、ふとした事から、彦之進の頭上近くをゴスロリのそのカマがかすり、そして、彦之進のその長い髪を束ねていた紐がほどけたのだった。
と、その時!!!
「コラ!このオカマ共!!我が恋人に何をするつもりかっ!!!」
そう、大きな声がして、何者かが、忍者のように、大木の上から飛び降りたのだ。
「サネヒコっ!!!」
そこには何と、サネヒコの姿があったのだ。
そのようなサネヒコを目にし、くノ一男とゴスロリ男とセーラー服男、それに妖精オヤジは、目をハートマークにしたのだった。
「きゃぁ~♡素敵な王子様ぁぁぁぁ~~~~~♡❤♡!!!」
そのオカマ集団四人が、サネヒコへと一気に向かってきたのである。
サネヒコの色気に満ちたその男らしい顔立ちに、もうオカマ四人はメロメロになり、勿論隙だらけであった。
サネヒコが二人をみね打ちにし、そして彦之進が、残りの二人をみね打ちにし、オカマ四人は気絶してしまった。
「さ・・・・・サネヒコ、何でお前がここにいるんだっ!!??」
サネヒコの彦之進に劣るとも勝らないすご腕の剣術に驚きつつ、彦之進がそう言うと、サネヒコはポッ♡と真っ赤になり、そして言ったのだ。
「彦之進♡可愛い君が、一人で用心棒なんてするから、助太刀に来たのさ♡」
そう、熱を帯びた表情で言うサネヒコに、彦之進の顔からみるみる血の気が引いてゆくのが感じられた。
「・・・・・お前、いつから、わしについてきていたのだっ!!?」
そう言うと、サネヒコは照れたように、だが、嬉しそうに
「ヒコノ❤君が、私の子を妊娠する夢を見た時から、さ❤」
とそう言った。彦之進は、それを聞くなり、顔が青ざめたのだ。
何とサネヒコは、彦之進が屋敷から出てきて、ぶつぶつと夢の独り言を言いながらこの福衛門の屋敷へ向かっていた、まさにその時からくっついてきていたようであった。
「さあ、ヒコノ❤私と共に護衛の旅に出かけようではないか~❤!」
「断る!!」
そう、強く断固とした口調で彦之進は言ったのだ。
「なぁ~んで、ひこのぉ~❤寝言で私の名前を呼んでいたくせにぃぃぃ~~~!!!」
「なっ・・・・・!!何故お前がわしの寝言を知っているっ!!?」
驚いた表情でそう言う彦之進に、得意げな表情でサネヒコは、さらりと言ったのだ。
「ヒコノ、お前の事が胸にずっとあって、眠れぬ夜だったのだ。
だから、お前の匂いを追いかけて、お前の屋敷まで行き、それから、屋敷の連中にばれぬよう、適当に細胞分裂して、アメーバのようになりながら、ヒコノのお屋敷全体に私はいたのだ。だが、大切なアソコの部分だけは、ヒコノ❤お前の部屋にアメーバと化しておったぞ❤」
何と、この変態であるサネヒコは、細胞分裂してアメーバのようになり、彦之進の屋敷のすみずみまでくまなく、そのアメーバと化した肉体をはびこらせて、彦之進の様子をうかがっていたのだという。
ここまでくると、もう人というよりも、宇宙人のようである。
変態というよりも、化け物だ。
「この変態ヤロー!!とにかく、サネヒコ!お前に出会ってから、わしは何故か変態に出会う確率が増しているっ!!
だが、私は変態は嫌いだっ!!だが、お前の太刀筋も、なかなかのもの!よって、この福衛門の護衛は、サネヒコ、お前に任せるっ!!
よって、わしは、ここから、退散するっ!!!」
そう言うやいなや、折角の大金の依頼の話にも関わらず、彦之進は、またもや、チーターのようにどこまでもどこまでも、早く、サネヒコから去り、駆け抜けていったのだ。
今の彦之進にとっては、お金の事などよりも、自分の身を守る方が先であった。
「あぁ~~ん、待ってよ、愛しのヒコノぉぉぉ~~~!!!」
そうして、彦之進を追いかけんとするサネヒコの袴を
”ガシッ!!!”
誰かが後ろから掴んだのだ。
それは、福衛門であった。
「護衛する人は変わってしまったが、護衛の仕事の合間に、用心棒にいなくなられては困るんだよねぇぇぇ~~~!!!」
そう言う福衛門にサネヒコの頭の中は真っ白になったが、時既に遅し、サネヒコはこのまま彦之進とは関わらずに、護衛しなければならない、そのような立場となってしまったのであった。
またもや変態ぶりを発揮し、彦之進の前に現れたサネヒコ。
彦之進は、やはりこの変態男と男同士の恋愛をして、男同士結婚してしまうのであろうか!!?