表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

02

黒入に女王様と呼ばれた彼女は、何を隠そう生徒会長だ。

栗色の腰まであるロングヘアー。

パッチリとした両目。

スラッとした脚。

スタイルは抜群である。

しかし、天は彼女に二物は与えないというのは本当の話である。

「汰丞、今から明日の集会で使うプリント刷るからちょっと手伝いなさい」

両腕を組み、黒入の前に仁王立つ。

「あ、なのなぁ…。いきなりそんなこと言われても俺にも予定ってもんが」

と、最後まで屈しない姿勢を見せる黒入だったが、

「手伝いなさい」

顔はニッコリ笑顔だが、凄まじい圧力を掛けてくる。

「はあ、参りました。手伝います」

本の数秒で心は屈しましたとさ。

これが、彼女の性格である。

絶対王政と言っても過言ではない。そこまで酷いわけではないが、彼女は人使いが少々荒いのだ。

まぁ、それなりの見返りもある、とは聞いており、そこが彼女の魅力でもあるのだろう。

「すまんが今日は一人で帰ってくれるか?」

申し訳なさそうな顔をする黒入だったが、理由がソレなので仕方があるまい。

「そうするよ。まぁ、頑張ってくれ」

ごめんなさいね、と生徒会長からも謝罪の言葉が飛んできた。

「それじゃ、汰丞。職員室に行くわよ」

はいはい、と生返事を返し一階にある職員室を目指し階段を下りて行った。


二人が階段を下りた階段を下りずに、まっすぐ進む。

下駄箱が設置してある場所まで直接行ける廊下を進んで行く。

文化部が練習しているのであろう。

近くの教室からは、吹奏楽の演奏が聞こえてくる。

ギターや、ドラムをたたく音も聞こえてくる。

そんな喧騒の中、一つだけ教室が開いていた。


その前を通るときに、ふと横目でチラッと覗いてみてしまった。

パイプ椅子に座る少女が、何やら本を読んでいた。

分厚い本だった。

少女と目が合った。合ってしまった。

彼女の目は、冷たい目。まるで、誰にも寄せ付けない鋭い眼光だった。

思わず、動きが止まる。真っ直ぐに歩を進めていた自分の脚が止まった。

が、少女は直ぐに本に目を落とす。

何だったのだろうか?

あの一瞬でとてつもない衝撃が体を穿つ。


あの出来事から歯車は狂い始めたんだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ