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第三章 僕とゲーム
その時初めてゲームというものを知ったんだ。この家は、東京の養護施設から借りている。いずれ働かなくてはならないことは分かってるけど、あの時見たゲームというものにひかれて、死に物狂いで働いた金も費やした。得はなく、自分の人生を変えてしまったゲーム。世間はゲームを楽しんでる。でも僕はゲームに殺される。だいたい自分は何者なのか。一人で育ち、一人で住む。一人で遊び、一人で死んでゆく。僕はもうここから抜け出せないのかな・・・そう思うと・・・
僕はあれから何時間も動かなかった。いや、動けなかった。そしてずっとコントローラを濡らしていた。自分にとってゲームとは・・・。ずっと考えてた。でも、自分の正体すら分からない僕が考えられる訳がない。明らかに普通ではないことは分かってるけど・・・。僕は・・・何者なんだ・・・