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学園生活日記 アン編

今回はアン編です!!

 私は、夏休みにダイアナと一緒に、ピクニックに行きました。その時の事を記します。


 8月の後半。夏休みも終わりに差し掛かって来た日のこと。私とダイアナはピクニックに、エスカロッティで一番見晴らしのいいジェニーの丘に来た。


「ダイアナ。もうお昼だし、シートを広げて、お弁当にしましょう。」


「いいわ!アン!じゃあ早速……。」


 私とダイアナはレジャーシートを敷いて、その上に座り、持ってきたバスケットの中身を取り出し、並べた。


「……わぁ!丘の上で見ると、余計に素敵に見えるわ!」


「寮のキッチンでも、素敵だと思ったけれどね。」


 朝、私達は早起きして、女子寮のキッチンを使い、寮母のレイチェルさんに教えて貰いながら、ピクニックのための料理をたくさん作った。


 爽やかなレモンのパイ。バタークッキー。プラムの砂糖漬けを使ったパウンドケーキ。そしてサンドイッチ。

どれも素晴らしい出来上がりで、歩き疲れた私達の食欲をそそった。


「レイチェルさんの教え方は素晴らしいわ。私達でも上手に作れたもの。」


「そうね。感謝しなくちゃ。……ねぇ、アン。そんなことより……。」


「ええ。分かってるわダイアナ……。」



「「早く食べましょう!!」」



 私達は顔を見合わせ、息を揃えてそう言うと、食材の恵みに感謝して、料理を食べ始めた。


「……!!ダイアナ!あなたのパウンドケーキは絶品だわ!!」


「アン!あなたのサンドイッチだって!!」


 私達はそんな他愛のない話をしながらお昼を楽しんだ。


「……そう言えばアン。知ってる?」


「……何を?」


「演奏学の優等生、プリシー・ロッツォは、どうやらネロの事が好きらしいわよ。」


「……プリシー・ロッツォがネロを……?」


 ダイアナから聞いたその話。一瞬、私は何故かムッとした。


 プリシー・ロッツォ。演奏学の優等生。フルートが上手な優しい淑女。私とダイアナは2人とも演奏学の授業を取っているから、プリシーとは顔見知り。


「……そうなのよアン。あのね、ネロ、1学期は演奏学の授業取ってたでしょ?でも、どれだけ練習しても、上手くならないからって、結局ネロ、演奏学の授業、2学期はもう取らないことにしたらしいの。」


「……そうなの?私、知らなかったわ。」


「……それでね。それを知ったプリシーは、もう一緒に授業を受けれないって、泣いてたんですって。演奏学の授業は、プリシーが唯一ネロと一緒に受けられる授業だったから…。」


「……でも、おかしいわよダイアナ。プリシー・ロッツォのような優等生が、ネロみたいなバカを好きになるなんて。全く持って、馬鹿げているわ。私、ずっと、プリシーのことは、頭が良いと思っていたのに。まぁ、私は、全ての授業で成績が一番だけどね。勉強ではプリシーに負けたことないわ。」


 いつもはこんなこと思わないのに、ちょっと強情になって、嫌な態度を取ってしまった。ダイアナの前なのに。プリシーの顔を想像するだけで、なんだかちょっとモヤモヤする。


「……ア~ン~…。」


「……な、何よダイアナ。……そ、その顔は何?」


 ダイアナはニヤニヤした表情で私を見てくる。


「…意外とあなた、隅におけないわね。」


「…な、何が!?」


「……アン。1つ忠告よ。あなたはもっと、周りを見た方がいいわ。自分を信じるのは大切なこと。親友とこうして楽しく過ごす時間も大切よ。でもね、もうちょっと……周りを見てみて…。あなたも気付いていない大切なことに気付けるはずだから。」


 ダイアナは立ち上がって、腕を組みながら、私にウィンクをした。


「…何が言いたいのよダイアナ。」


「あら。鈍感なアンにはまだ分からないのね。私がプリシーの話をした時、あなた眉間にシワが寄ってたわよ?」


 得意気に言うダイアナに、私はムッとして、立ち上がって彼女を追いかける。


「……そんなことないわよー!!」


「……わぁ!大変!いいわ!アン!追いかけてごらんなさい!でも、あなたは私に追い付けないわ!だって私の方が足が速いから!!」


「……何ですってー!?」



 それから、私達は無謀なおいかけっこの末に、疲れ果て、帰った。私は、ダイアナからあの話を聞いてから、ずっとモヤモヤしていた。ピクニックは楽しかった。新しいワンピースを来て、自分達で作った美味しい料理を食べて、遠近法で遊んで写真を撮ったりもした。だけど、なんだか腑に落ちない。寮に帰ってからすぐに、プリシー・ロッツォがネロに話しかけているのを見た。ネロの隣には驚いたような表情のコゼットと、気まずそうにするジムがいた。


「……あら、噂をすればプリシーよ。」


「……フン。あんな面白味のない女の子にへらへらしちゃって。ホント馬鹿ね。ネロって!!」


「……あ、アン!!」



 なんだかここからの続きは書きたくないので、日記はここで終わります。




 追記


 あれから勉強がはかどらない。どっかの馬鹿のせい。次会ったら学食のデザートセット奢らせる。絶対。

次回もお楽しみに!!

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